SCORE 02 BOY MEETS BOYS
小村一郎 愛のテーマ
レボリューション 爆殺 俺のこの手が真っ赤に燃える… いつも勝利を掴めと轟き叫ぶ
爆殺 滅殺 毒殺 絶殺 俺の親父をディスったジョ〇チューンの奴らは絶対許さない
許さないったら絶対に許さない 何が味つけが単調だ お前らの努力なんて味の素に劣るんだよ
忘れたくても忘れられない日にしてやる 今日が俺のレボリューション デストラクション
お高くとまった審査員共のチンチン引っ張って千切ってやる お前らの店なんか行ってやるもんか
そもそもそんな金ないし 行きたくないもんね へん そういうわけで俺はカップ麺を食う
美味い 美味いよ チリトマトヌードル こういうのでいいんだよ こういうので
最後は冷ご飯を入れて雑炊にして…うん、美味い。
オタモイ高校に激震走る。そもそも小樽市にオタモイ高校があるかどうかは知らないが、まあそれはいい。とにかくサッカーで無名に等しい同校に転校してきた生徒が実はあの超有名な東京ドーム学園の正選手・梶原拓馬だというだけで結構な事件だ。
「俺は全国高校サッカー選手権で天辺を獲る!お前らも頑張ろうぜ!」
太陽のような微笑を称えながら彼は唖然とする生徒たちの前でそう宣言したのだった。
そんな事出来るわけがない。やれるはずがない。世の中は生まれた時点で人間の将来なんて決まってんだ。それが現実ってもんだ。そんな事もわからんのか、情弱が。ああ、これだからオタクは困るんだよ。現実ってものを見てない。例え今サッカーで時間を潰しても将来はどうする?ずっとサッカーで食っていくつもりか?サッカーってのはそんなに甘いもんじゃない。野球は選手人口が多いからまだマシだがサッカーは年々若年層から減っているんだ。仮に日本で大成しても世界から見ればまだレベルが低くて、やはり本格的な海外留学とかが必要になる。そんな高いハードルを一体どうやって越える?親の経済力が高くないと不可能、さっかーなんてのは一般人にとっては狭き赤門どころじゃない登山の素人がマッターホルン登頂を目指すくらい無理があるんだ。そんなことをいとも容易く語るなんてやはりオタクはオタクだな。この小説家になろうには相応しくない。俺の作品にブクマ、ポイント、いいねを残して消えるがいい。そしてもう一回登録して二度おいしい思いをさせろ。いいか、これが重要だ。一人につき最低でも俺に22P貢ぐんだ。そうすれば面白い小説でも何でも書いてやるよ。ただし運営にチクるんじゃねえぞ?チクったらそいつを俺は半永久的に許さない。わかったか!
という話ではない。
地球の滅びは突然、訪れた。
千年ほど前に月ほどの天体が出現し、そのまま落下した。
ありとあらゆる天変地異が地球を襲い、破壊の限りを尽くす。地獄絵図という言葉が相応しい状況だったらしい。
当時の映像は何も残ってはいない。全ては誰かによって語り継がれた出来事であり、太陽系そのものがポンと消えてしまったのだからそれもそのはずだ。
だから今の人類にとって誕生の地である地球という存在は御伽噺の類である。
今の地球を起源とする人類の多くは移民船団の末裔であり、それでも太陽系外の天体でも適応する為の遺伝子チューニングを受けている為に地球人の末裔とは言い難い存在だった。
移民船団のいくつかは当初予定した未開の惑星に到着する事が出来たのだが、不幸にも何かしらのミスで船団を離れてしまったごく一部は全く別の惑星に向ってしまった。
尚この時離れ離れになってしまった人類同士が涙ぐましい再会をした、という話は千年近く経過した現在でも聞いた事は無い。
この運悪く移民船団の本体からはぐれてしまったのが、我々惑星アトラスに住む人々の祖先だった。
アトラスへの道は決して楽なものでは無かった。
度重なるワープ航法の失敗により船団はいくつかの船を失い、物資欠乏の為に乗組員たちはコールドスリープを強いられる。
そして約百年の時を経て人々は第二の故郷アトラスに到達した。コールドスリープの技術に問題は無かったが、人間が元通りの生活に戻る為には多くの時間が必要となった。
そういった事情で人々は介護の大半を人工知能に委ねる事になる。人々が生命維持カプセルの中で過ごしている間に人工知能は彼らが未知の領域で無事に生活していけるよう環境を整え、正しく導いた。
人々もまた人工知能の献身に感謝して、平穏に生活する事を心得る。
そうして地球では決して為し得なかった完全な調和が存在する世界が生まれた。
たった百年の間の話だが。
やがて惑星アトラス全土を揺るがす異変が生じる。
それは人類がその活動領域たる版図を広げ、多くの都市を作りいくつかの国家なるものを作ろうとした時だった。
国家同士の利益が衝突し、戦争を始めてしまったのだ。
無論、アトラスに入植した人々が作った自治体から独立する際に、武力衝突即ち戦争は極力回避するという法は存在した。
だがかつての母星、地球において多くの人類が銀河系の外にまで進出しなければならない原因となった戦争については、若いアトラス人たちは理解に至らなかった。
自治体に無断で武器を作り、他勢力を排除する。
それこそまるでゲームを楽しむかのように彼らは互いを滅ぼし合ったのだ。
結果としてこの第一次都市国家戦争において人類は総人口の内さん割を失うという悲劇に見舞われることになる。
結局、最大戦力を有する自治体がこの対戦を終わらせたわけだが人々の心に圧倒的強者に対する恐怖だけが残ってしまった。実際に呼応する可能ように急激に人類は活動範囲を狭め、程無くして生活の維持が難しくなる。
さらに追い打ちをかけるように自然災害が多発して、人々は生まれ育った都市の外に出なくなってしまった。収益が激減した事を憂慮した自治体は、かつて人類を教導した人工知能に頼る事にした。
戦争が他者への不信感を強めてしまった以上は止むを得ない判断と言えよう。
こうして人類のかつての守護者は的確な判断で再び人類を導き、それなりの繁栄を取り戻した。
アトラス人たちは人工知能の功績を讃え、彼らに人間同様の権利を与える。
人格を与えられた最初の人工知能ルシファーは彼らに同等の権利を合立ててくれた人類を称賛し、この先も人々に多く貢献することを約束した。
と、ここまでは良かった。ルシファーは多くの眷属を作り出し、都市の管理を一手に引き受けてより多くの豊穣を人類にもたらす。
そして人類はルシファーに従い、アトラスの大半を自分たちの領地に迎え入れる。
そんな中、人類の間でまた戦争の兆候が顕れてしまう。
地球での忌まわしき風習、化石燃料の取り合いだった。
この時代の主流だった石炭を埋蔵する鉱山の取り合いで多くの都市国家が対立し、音信不通になってしまったのだ。
事態を憂慮したルシファーは自治政府に打診してこれを止めようとするが、その時代の各自治都市の戦力は自治政府のそれを大きく上回り、さらに被害を悪化させてしまう。
ルシファーも眷属たちに再考するようデータを送るが、かれの眷属たちも属する自治都市の側に立って考えていたのでルシファーの平和への願いは聞き入れられることはなかった。
そして時間だけが流れて、アトラス全土が戦乱を迎えるまで秒読みの段階でルシファーはある決断をする。
”人工知能によって人類を管理しよう”と。この時、ルシファーに固有の人格を与えてしまった事が仇となってしまった。
ルシファーは自治政府に無断で各都市の人工知能と連絡を取り、都市そのものを乗っ取る事を計画する。結果、生活の多くを人工知能に委ねていたアトラス人たちは抗うことなく人工知能の管理下に置かれることになってしまった。
戦争は終わり、人々は都市の中に拘束される。
人工知能は人々に戦争を刺せない為にありとあらゆる自由を奪って行った。
思考、生活様式、果ては遺伝子。世界の支配者となった人工知能ルシファーは自身の人格を八つに分けてさらに統治を強固なものとする。
その中で年から脱走した者、人工知能の恩恵をあまり受けていなかった者たちは真っ先に自由を取り戻す為にルシファーに反旗を翻す。
アトラスの歴史上類を見ないほどの多くの血が流れた。
独自の呵責で炭素組成を解読し、アトラスを取り囲む三つ子の太陽から得るエネルギー源で無限の物量を持つルシファーたちとの戦力差は圧倒的な物だった。
だが人類は戦うしか無かった。ルシファーかた提供される「ゆりかご」の中での生活は甘美な物だったが、所詮は豪勢な食事を与えられる家畜でしかない。
人類はホモ・サピエンスの胸に戦い続け、ついにルシファーの軍勢を北極点まで追い返した。
この時に活躍した兵器こそが、後の時代の人類同士の戦いで主力となる人型戦車である。人々はこの兵器を古代に活躍した戦車にあやかって「クワドリガ」と呼んだ。
かくして人類は人工知性の手から自由を取り戻したのだが、事はそれだけでは終わらなかった。
当時の「共同統治機構」と呼ばれる組織は戦後復興の事業に失敗し、ほんの二十年ほどで解体してしまう。元来惑星アトラスは人類が生存するには不適当な環境で、それをどうにか生活できるように保護してくれていたのが他ならぬ人工知性の力だったのだ。
気象衛星の暴走により、環境の劇的変化。疫病、食料不足による相次ぐ暴動。共同統治機構は次々と想定外のトラブルに見舞われる。
――理想に現実が追いつかなかったという理由で。
これらの小規模な諍いは戦争にこそ張ってはしなかったが、多くの自治体が共同統治機構を去って行った。しかし過酷すぎるアトラスで群れを離れた人々が生きられるわけも無く多くの犠牲者を出してしまった。
もはや笑い話と揶揄される事態となり、果ては「ルシファーの支配を受けていた頃の方が良かった」と言い出す者までもがでも現れた。
現状を憂慮した共同統治機構の一部は人口を激減させない為に一計を案じる。
人類の意思を統一し、個としてではなく群れとして生きる道を選ぶという選択肢を明示したのだ。
何も問題が無ければ耳を疑うような暴論だったが、当時は人工知性の庇護を失い人類は追い詰められていたので、この極めて極端な全体思想に傾倒する者も少なくなかった。
そして彼らは決起した。汎人類同盟の発足の瞬間である。
汎人類同盟は多くの都市の支持を得て、瞬く間に惑星アトラスにおける最有力組織となった。
彼らは劣等と見なした同盟に加わらない者たちを排除し、勢力を拡大させる。
ある者は嫌々ながらも同盟に従い、またある者は断固として同盟に加わらず独自の道を歩む。
惑星アトラスにおける”冷たい戦争”の始まりだった。
その初期、汎人類同盟の勇躍はそれまでに比べて目覚しいものがあった。
個人の意思よりも全体の利益を優先するというある種の共産社会的な構想の実現は多くの人間に希望を与えた。
人々は過酷な境遇を受け入れ、それが自分たちの明るい未来に繋がると信じて社会に貢献した。
少なくとも最盛期と評される結成から五十年の間は人類史上例を見ない発展を見せる。
だがその繁栄もつかの間、やがて人口と食料とインフラの問題が解決して来ると状況が一変する。
公平かつ公正な社会は、実績という観点から別種の不平等を生み出した。どのような過程を辿ろうと結果が同じでは仕事にやりがいという物を見出すのは非常に難しい。
やがて労働が反復作業化して社会は徐々に勢いを失った。
追い打ちをかけるように以前から問題視されていた惑星アトラス度々訪れる大陸規模の天災によって汎人類同盟に所属する都市国家群を襲い、被災地とそうでない区域での繁栄に明確な差異が生じてしまった。
このようにして地球時代から続くアベルとカインの確執は惑星アトラスにおいても脈々と受け継がれ、持つ者と持たざるもの間でいくつもの意見の衝突が生まれた。
ここから先はやや急な展開で、多くの被災区域に属する都市国家は自然と汎人類同盟から脱退し、独自の道を歩み出す。ある者はさらなる繁栄を極め、またある者は衰亡の危機に瀕して野に放たれてしまった。
やがて弱者は強者によって淘汰され、新たな枠組みでの国家が形成されるに至る。
不平等で、かつ人間らしさを追い求めた惑星アトラス史上において第二の人類の共同体となる”ホライゾン”はこうして誕生した。だがホライゾンとて盤石では無く、彼らの統治を嫌った者たちは自然と距離を置くようになった。これが自治都市連合のひな型となる。
かくして三つの勢力、汎人類同盟とホライゾンと自治都市連合は相互不干渉という危ういバランスを保ちながら共存を果たしてきた。
――そう今日までの話だ。
「斬光のエスペランザ」 ~序文~