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ミッドフィルダー タクマ ~強豪校のエースが田舎の学校でサッカー始めました~  作者: 或 真土
おっさんに転生したおっさん異世界に転移して、自分の人生が無駄なものだと悟り全世界を道連れに消滅する
13/25

第三話 異世界に転移したおっさん、異世界のおっさんと遭遇して電話番号を教えてもらう。しかし異世界ではスマホが使えない(絶望)。もう死ぬしか…

  かつてないおっさんブームに便乗して、あわよくば国民的アイドルになろうとしたふじわらしのぶは黄金聖闘士双子座の佐賀との激闘の末(※嘘情報)、異世界に転移した。しのぶは溢れる人望(溢れすぎてゼロ…涙)を武器に森の中に不思議スポットがあることを知り、早速現地に直行する。

 果たしてしのぶを待っているのは…。


 でろーん。


 大きな木の枝に一人の男が吊るされていた。年齢は四十代後半くらいの小太りの中年。白目を剥き出しにして、苦悶の表情のまま息絶えている。

 ――男の顔は自分と瓜二つ、ふじわらしのぶだった。


 「何だよ、コレ。異世界に来て何で自分の死体に遭遇するんだよ…」


 それまで私の中にあった英雄願望や未来への期待感は消え失せ、代わりに人の使った後の便所でウンコが流されていなかった時のような圧倒的絶望感が圧し掛かる。ていうかもう死にたい。


 「クソ。首吊り自殺はやめろってんだ。後始末が凄く大変なんだよ、畜生。テメエの死をやたらと美化するとかアホか⁉そういうのは○○〇〇だけにしておけってんだ」


 私は頭上にてるてる坊主の如くぶら下がる自分の死体と地面に散らばった小便とクソを見ながら早くも異世界に来たことを後悔していた。自分がどれほど高潔な人間であったとしても、人間である以上は飯も食べるし、糞と糞尿を出す。

 釈尊の尊い教えを軽んじるナルシストどもは、なぜ”誰もがひと皮むけばクソの詰まった肉袋であること”を自覚しないのだろうか?

 二十歳過ぎてシンデレラみたいなメンタルのヤツがいたらただ気持ちが悪いだけだ。


 だが私も元は公僕の端くれ、熟練の手際で吊るされたブタの死体を地面に降ろし、ブルーシートの上に寝かせた。


 「糞が、糞が。異世界で遭遇した最初のイベントが自分の死体の死祀ってどういう事なんだよ⁉」


  私が悪態をつきながら自分の死体を始末していると冒険者風の姿をした一行が森の外の方からやって来る。果たして彼らとの出会いが私の人生にどのような化学反応を引き起こすのか?(続く)




 今日はここまで‼はい、解散。解散。お疲れー。


 もうこれっきりにしてくれよ。お前らはリゼロ読め。マジで面白いから。それか無職転生でも読んでろよ。きっと秋くらいから始まるアニメ第三期がもっと面白くなるぜ?俺のウンコ臭い文章なんて呼んでも全然為にならないからさ。善意で言ってるんだぜ?




 さて帰ったか。


 ここからは大人の時間、「斬光のエスペランザ」の続きが始まる。今回のタイトル「マツダ」が話の減点だったりする。一度やりたかったんだ、これ。




PHASE 08 GOOD MORNING MAZDA(※誤表記ではありません)




 バードマンコックピット内部。隣席に身を置くアドラーはわざとらしく手袋をはめ直して、様子見に徹していた。


 「うわ…気持ち悪い。おっさんのナルシストだよ。兄貴はああいう風にならないでよね?」


 アンナは口に手を当て、吐き気を堪えている。彼女はキザったらしいセリフが何よりも嫌いだった。


 「私もちょっと苦手かも…」


 リリも似たような意見を述べる。しかし敵陣営ではふじわらしのぶ信者のジークフリードだけが身悶えしながら聞きほれていた。


 「ああ、中尉殿。最高です。このまま敵を鎧袖一触してくださいまし…」


 下半身が馬に良く似た四足歩行の人型戦車が自身の身体を抱き締めながらくねくねと身悶えしていた。彼の士官学校時代からの同窓生たちはそれなりの距離を取っている。

 だが老練なオブライエンだけはリ・エスペランザから一時たりとも目を離す事は無かった。


 「勝算はおありで?」


 秘密回線を開き、ふじわらしのぶと接触を計る。


 「まあ、五分というところかな。敵の実力は未知数ゆえに油断は微塵も無いが」


 そこまで言いかけてふじわらしのぶは言葉を止める。

 輸送用の大型トラックからモーターの駆動音が響き、荷台が自動ベッドのよいにせり上がる。そして上に乗っている防塵用シーツをかき上げて、灰色の人型戦車が姿を現した。

 リ・エスペランザはベッドから起き上がるように巨体を起こし、バードマンの前にまで歩いて行く。

 身長は小型のバードマン、重層型のオルトロスもよりもやや高いといった様子だ。頭からは五本の動体感知カメラを搭載したアンテナが角のように生えており、さながら古の神を思わせる。

 オルトロスに負けず劣らずの太い主腕メインアーム、脇からは精密動作にも適した細長の複碗が見える。特筆すべきは指先が鷲の鉤爪のように尖っている事だ。

 背中から生えたもう一つの頭部は襟巻のように首に巻き付き、相対する者を睨みつけている。


 (典型的な機鋼軍神(メルカバ―)だな。文献通りだ)リ・エスペランザの異形を目の当たりにして困惑する部下たちを置いて、ふじわらしのぶだけは合点のいった表情をしている。彼は脂肪の乗った尻をかきながらほくそ笑んでいた。どれほどカッコつけてもおっさんはおっさんである。


 「中尉殿、奇襲はよろしいので?」


 隣に座るアドラーが険しい目つきでふじわらしのぶの尋ねる。いつもの彼ならこのような茶番に応じる事無く敵の首を刈り取ったはずだからだ。

 アドラーは普段とは違ったふじわらしのぶのように苛立ちさえ感じていた。


 「極上の夕餉ディナーだ。時間が許す限り楽しもうではないか、監査官殿」


 ふじわらしのぶは目の前にあるハンドル型の操縦桿を握り、リ・エスペランザを見据えた。


 その時、リ・エスペランザは突如として右手、即ち主腕の方を頭上に掲げる。


 「えーと…当方は人民憲章の名において、殺戮ではない節度のある闘争に興じる事をここに誓います」


 蔵人はダマスカス陣営に向って回線を開き、宣言する。これは人々がかつての”裁きのジャッジメントディ”のような災厄を繰り返さぬようにあらゆる闘争の根絶を誓った由緒正しき意思表明だった。

 兄のいつもながらの生真面目さに隣席のアンナは呆れた様子になっている。


 「おい、アンナ。それとリリちゃんも復唱はどうしたの?学校で習ったよね」


 蔵人は至って真面目な顔つきで妹と直近で知り合った少女に向って言う。


 「それ傭兵相手にいう事?やらなきゃなんない事?」


 「アンナ、それは聞き捨てならないな。いいか人民憲章はだな…」


 一方、ダマスカス陣営の方は蔵人の意外な一面に触れて爆笑の渦と化していた。


 「人民憲章って、俺ら相手に…ッ‼」


 「笑い死ぬ…いや笑い殺される…ッ‼」


 チャーリーとロジャーはコックピットの中で笑い転げていた。


 「中尉殿、いかが致します?」


 オットーとマリアは表だって笑うよう事は無かったが他の面々と同じく蔵人たちの正気を疑うような様相を隠そうとしない。

 ジークフリードはしのぶの許可が下りれば、すぐにでも待機から攻撃に移行するつもりだった。


 そんな状況で蔵人の堂々とした態度に一人、感銘を受けたのがオブライエンである。


 「無論、私との決闘が終わるまでこの場に待機していてくれ」


 ふじわらしのぶは長剣を鞘に収め、リ・エスペランザの近くまで移動する。

 

 そして蔵人に向って言った。


 「人民憲章を持ち出したからには結果に異議を唱える事は許されない。これはお互い同意の上での決闘、それいいかね?」


 この時代の惑星アトラスにおける人民憲章を持ち出しての交渉事とは基本的に決定された事案に対しては如何なる異議の申し立ても許されない、というものだった。即ちそれは本決闘においての勝者は敗者に対してどんな要求を通す事が出来る。

 普通に考えれば圧倒的に有利な立場であるダマスカス軍の側がこのような提案を受ける可能性は極めてゼロに等しかった。


 「貴方にその気があるなら、俺はどんな要求でも受けるつもりですよ」


 「ちょっと兄貴っ‼」


 真ん中の座席に乗っていたアンナが蔵人の襟首を締め上げる。普段なら「許してください、お嬢様」と言って妹に折れる場面だが今は違った。


 「アンナ、俺の予想だけどこの人は俺たちが逃げ出せば多分どんな手段を使っても追ってくる。その辺の盗賊のような甘い人間じゃない。下手をすればジェノバのリリちゃんの家族だって容赦なく巻き込むつもりだよ」


 温厚かつ柔和な印象の、いつもの蔵人からは想像もつかないほどの切羽詰まった顔つきを見てアンナは言葉を詰まらせる。アンナがもう少し幼い頃から兄の蔵人は大人を相手に一人で立ち回ってきたのだ。


 「了解。アタシも覚悟を決めるね。でもそう考えるとリリっちは…」


 怖いもの知らずのアンナもこの時ばかりはリリの事を心配していた。


 「ちょっと待ってよ、二人とも。もともとここにトラブルを持ち込んだのは私よ。最後まで責任を持って関わらせてもらうわ」


 リリは頑なに操縦席から離れる事は無かった。

 彼女とてダマスカスの手にリ・エスペランザが渡れば、どうなるかぐらいの見当はつく。既に失われて久しい”裁きのジャッジメントディ”戦役以前の技術をかの軍事国家が戦争利用しないはずがない。覇権を求めてホライゾン、汎人類同盟といった二大勢力の抗争に介入してくるだろう。

 家族や友人たちの身柄を案じるならば、ここで彼らとの因縁に決着をつけるべきだと、リリは考えていた。


 「流石リリっち、いい女」


 「調子いいんだから」


 二人の微笑ましいやり取りを見て、蔵人も安堵する。そして決意も新たなに、ふじわらしのぶに向き直った。


 「こちらの覚悟は決まりました。あなた方を倒して前に進むってね」


 「良い覚悟だ。名前を聞いてもいいかね?」


 「岡嶋…蔵人」


 「…古風な、いい名前だ。それでは蔵人君、いつでもかかってきたまえ。先手を許そう」


 ダッ‼


 リ・エスペランザは大地を蹴って一気に距離を詰める。オルトロスを越える巨躯でありながら、目の前のバードマンに匹敵する速度にダマスカスの兵士たちは皆驚きを隠せない。


 「ふむ。速いな、――だがしかし想定通りだ」


 この男、ダマスカス軍きってのQD乗りを除いてはリ・エスペランザの奇襲に心を奪われてしまう。


 「潰て死ねッッ‼」


 アンナは豪快にハンドルを切り、主腕の左フックを直撃させる。当たればバードマンとて致命的な損傷は免れないだろう。


 「正確かつ緻密な動き、――それだけに軌道が読み易い…」


 一瞬の虚を突いた奇襲をバードマンは正面から受け止めた。

 いつの間にか腰の鞘から抜かれていた長剣で、嵐の如き横殴りの一撃を受け流す。重量級の攻撃に対しては有効な戦法である。だがリ・エスペランザの、岡嶋アンナの攻撃はそれで終わらない。

 眼下のレバーを前に倒してアクセルを吹かす。

 背部ギアボックスが起動して、脇から伸びている複碗がバードマンに向かって伸びた。


 手刀による刺突、アンナが実戦で好んで使う技だ。


 「もらいッ‼」


 この時、アンナは好戦的な笑みを浮かべる。リ・エスペランザの複碗が剝き出しの状態で攻撃に使用される場合は、指先の鋭い爪に注意しなければならない。先の戦闘で使用された兵器ヴェノム・ピアッサーと同等の薬品が塗られているのだ。

 この鋼の装甲を引き裂く魔の爪に対してバードマンが取った行為とは意外な物だった。


 「⁉」


 まずふじわらしのぶの隣に座っていたアドラー監査官が驚愕の余り大きく刮目する。前方に左手を出して魚鱗装甲スケイルを展開。

 同時に鳥男(バードマン)の名の由縁の翼を広げ、魚鱗装甲を任意解除。


 「まさか”バックドラフト”で緊急回避とは…ッ‼」


 オブライエンは双眸を開き、歯噛みする。


 一度展開した魚鱗装甲は基本的二時間が経過しないと灰塵ジンには戻らない。故に稀なケースではあるが魚鱗装甲を即座に解除する時は灰塵を少量の爆薬を用いて爆破する。この動作を人型戦車戦においては物理現象のバックドラフトになぞらえてそう呼ぶのだが、副産物として衝撃波に見舞われる。

 そのせいもあってかバードマンのような軽量機体では爆発時に吹き飛ばされてしまうので推奨されない行為なのだが、ふじわらしのぶは違った。あえて爆風を浴びる事によりリ・エスペランザの強襲を寸前のバックスウェーで回避したのである。


 しかしその対価として二人は座席に背中を強かに打ちつけてしまった。

 

「今のは労基に違反していますよ、中尉殿。後で貴方の管轄内での手当てを要請します」


 アドラーは冷や汗を拭きながらふじわらしのぶを窘める。彼とはもう半年くらいのつき合いになるが、たまにこういった博打のような真似をするので現実主義者のアドラーとはよく意見が食い違っていた。


 「すまない、アドラー。君がいる事を忘れていたよ」


 ふじわらしのぶは悪びれる様子もん無く、モニターで腰部の損傷の確認する。そして左の大きなレバーを引いてバーニアを点火する。

 直後、バードマンは翼をはためかせ、その名のように荒鷲のような鉤爪をリ・エスペランザにお見舞いした。


 「くっ‼なんて機動力だっ‼」


 蔵人は左右のレバーを切って、バードマンの二段蹴りをガードする。強化カーボナイト製の主碗の装甲に三爪痕が出来上がった。すぐに灰塵ジンを噴出して傷を塞ごうとするが同じ場所に向ってバードマンはハンドガンを撃つ。


 ダラララッ‼


 「クッ‼しつこいな、もう‼一回離れるぞ、アンナ‼」


 「了解ッ‼」


 魚鱗装甲と修復用の灰塵ジンは併用出来ない為に、再度腕部装甲を傷付ける結果となってしまった。


 「数に物を言わせるような戦いは好きではないのだが、時と場合によるな」


 「ええ、全くです。中尉殿」


 ふじわらしのぶはレバーを手前に引いて姿勢制御に移る。一瞬の隙を狙いすましたかのようにリ・エスペランザのストレートが入った。


 「クッ‼やるッッ‼」


 事前予測と準備動作の両方が間に合った。後方へストレートの衝撃を逃がし、さらにその場からバックステップで離れる。

 アンナはさらに長剣フラガッハでバードマンの右肩に打ち込むが、これも何なく躱されてしまう。二者の操縦技術は神技の域に達していた。


 「さっさと死ねよ、クソ虫」


 アンナはモニターに映るバードマンに向って呟く。性能差で勝っている以上、敗因は自分にこそあった。だがそれらを全て受け止めて、前に進むような真似は今のアンナに出来るはずもない。生まれて初めての”強敵”だった。


 「アンナ、フラガッハの使用は控えて。エネルギーが自動回復装置の限界を超えてるから」


 リリはエネルギー・コントロールの推移状況をデータにしてアンナに送った。


 「ウソーん…」


 残り15パーセント程度だった。仮にここで全てを使い果たせばリ・エスペランザとて元通りに動ける様になるまではかなりの時間を要するだろう。

 光のフラガッハとはリ・エスペランザに使用されている技術と同様に”裁きの日”以前のロストテクノロジーの産物だったのだ。


 「中尉殿、バードマンのエネルギーも残り少ないですよ」


 アドラーは既に危険信号が出ているモニターを指さす。元から隠密行動と偵察を目的として作られたバードマンはエネルギーの貯蔵量自体が他の個体と比べて少ない。まして天と地ほどのスペック差がある敵機との戦闘など論外である。


 「相手は素人です。さっさと止めをさしてしまっては如何ですか?」


 「君も酷い事を言うな、アドラー」


 バードマンは人型戦車用の小型の手榴弾をリ・エスペランザに向って投げつける。爆発音と同時に魚鱗装甲が自動展開し、有用だが極めて無駄なエネルギーが消耗された。


 「野郎…」


 アンナは機体操縦に悪戦苦闘中の兄、蔵人を見た。彼の技量には何も問題は無いのだがこの時ばかりはいつもの慎重さが仇となっていた。


 「何さ?」


 「兄貴、エペのオートガードのスイッチ切ってよ。エネルギーの無駄だから」


 前方から蛍光色の弾丸が数発、撃ちこまれる。磁気を帯び、桁の違いの威力を発揮するマグネットコーティング弾。蔵人は咄嗟の判断で主碗で胸部を隠す。


 ガッ!ガッ!ガガッ!


 何とか当たる寸前で魚鱗装甲が発生してこれを防ぐことが出来たが、完全にでは無かった。


 「あん畜生…。パパとママの形見をキズモノにしやがって」


 アンナは悔しさに歯噛みしながらもさらに距離を取った。ここで反撃すれば回避能力に長けたバードマンに体力スタミナを削られるだけだろう。


 直情的ながらも、先頭はあくまで冷静にこなす。岡嶋アンアンは生粋の戦士だった。


 「大丈夫よ、アンナ。多分あっちもジリ貧だから。さっきからご立派なハネを使ってないし」


 リリは不敵な笑みを浮かべながら戦場を指さす。


 「ッ⁉」


 リリの言う通りだった。バードマンはブースターと背中の羽を使って短距離を滑空しているが、空は飛んでいない。


 「なるほど。回避に全振りして…じゃなくて回避しか出来ないのか」


 「そうそう。向こうが本当に有利なら一気に攻め込んでくるはず。エネルギーの残量だってゼロに近いはずよ」


 「ふーん」


 アンナはその直後、ライフルの先端をバードマンに向けて撃った。


 ズダダダダンッ‼


 バードマンは横に向って飛んでこれを回避する。その後は特に動く様子も無く、リ・エスペランザの動向を見守っていた。


 「…なる。動きを極力減らしてエンジンのオーバーヒートを避けたいって事かー。所詮はお飾りの羽って事ねー」


 アンナはバードマンとリ・エスペランザの性能差による優位性を理解しながらも相手に対してある種の不気味さを感じていた。


 「あのおっさんがすごいパイロットだって事は認める。けどさ、兄貴これって何か変じゃない?」


 蔵人は妹に言われて再度バードマンの様子を観察する。ごく自然に体勢を整え、こちらに向かって仁王立ちしていた。

 これが人間同士の対峙ならば今の状況にある程度は説明がつく。しかしQDの、人型戦車を操縦している人間同士の戦いとなれば違和感を覚えずにはいられない。


 (まさか…)


 蔵人は危険性に十分留意しながら目を閉じて、聴覚を研ぎ澄ませた。彼は幼い頃に妹のアンナ同様に特殊な手術を受けている為に人型戦車のレーダーとに同調シンクロする事が可能なのだ。


 動悸、鼓動によく似た波状の反応。


 それは紛れもなくリ・エスペランザと同様に自らの意思で動く機械の持つ特性である。


 「でかしたぞ、アンナ。確かにアイツの中には”いる”。多分マツダさんみたいのが…」


 「なるほどね。わかりー」


 「???」


 アンナはレバーを引いて手持ちの銃器をギアボックスに収納し、代わりにスパイクのついたナックルガードを装備した。


 「ええと、私にもwかるように説明してもらえると嬉しいんだけど…」


 リリは一人話題に取り残された事に寂しさを感じながらも状況の説明を求めた。


 「あ、そうだね。紹介するよ。俺たちの仲間のマツダさん。マツダさーん、ちょっと出て来てー」


 蔵人がモニターに向って呼びかけると、すぐに笑顔のスマイリーバッジのようなアイコンが表示された。


 「蔵人坊ちゃん、どうしました。アッシに何か御用で?」


 リリは唖然とした表情で画面を見ている。


 「自立型人工知性…何で?」


 自らの意思で行動する人工知性、――それは裁きの日以前に人類を支配していた禁忌の存在だった。

 マズルフラッシュっていう言葉の使い方わかんねえ。誰か教えてくれ。

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