孫は全世界共通で可愛いと決まっているの。
仁奈の手のひらですぴーすぴーと気持ち良さそうに眠っている、諒太の見ていたアニメに出て来たうさぎの様な生き物に似ている何か。
そのうさぎのおでこに虹色の1本ツノ、胸元に赤い宝石、背中にリヒターくんの羽根と似た羽根のある生き物。
それが、わたしの孫。
リヒターくんが「せっかく作ったたまごを破壊するのはもったいないから」とリビングに置いていて、そこで誠一さんに爪切りをして貰っていた仁奈の爪がドボン。
たまごを作った時にうっかり混ざっていたリヒターくんの鱗。
たまごがふたりの遺伝子を読み取って作り出したふたりの子どもで、わたしの孫。
だっことかしてみたいわ、もふもふ、大好きなのよね。
「どうしてうさぎの姿なのかしら?」
『うさぎではありません。宝石獣です。母上の遠いむかしの親族に、宝石獣を番に迎えた者がいると聞いています。
竜人族の特徴である羽根と鱗もあるので、自我が芽生えたら人間態に変態する可能性はあります』
諒太や悟志をすっ飛ばして仁奈が、事故のようなものとは言え、お母さんになるなんてね。
まだ小学2年生なのに。
『お母さん、ウサちゃん可愛いねぇ』
うん、うさぎさん、仁奈の子どもだけどね。
自我が芽生えて、人間態になったらどっちに似てるとか分かるのかしら?
リヒターくんはイケメンだし、仁奈も可愛いし、両方の良いとこどり?
それとも、いわゆる「美男美女の子どもの顔立ちもそうとは限らない」みたいな感じかしら?
どちらにせよ、わたしの孫だし可愛がる気満々だけれど。
急ぎで読んだ魔族に纏わる本に1部の魔族は成人までにコロコロと性別が変化するとあって、宝石獣はそれに該当するんだったかしら。
ふたりの息子、あるいは娘はどう成長するのか楽しみだわ。
「ケイコ様、竜人族の血を引く者は無事に成長する確率が低いと学んだばかりでしょう?」
「あら、わたし、聖女よ?」
アノンさんには劣るかもしれないけれど、孫の健やかな成長の為に聖女の力が役立つかもしれないなら全力で頑張るわよ。
「ところで、誠一さんはどうしたのかしら」
『父ちゃんなら、何か、「カメラ買って来る!!」って車出してた』
誠一さんらしいわ。
諒太や悟志、仁奈が生まれた時にも「一瞬たりとも成長記録を逃してなるものか!」とバズーカみたいな一眼レフを買ってきて写真を撮っていたわねー。
「写〇ンですとか、デジカメじゃダメなの?ケータイのカメラだってあるじゃない」と聞いたら、
「当たり前だ!!(ドンッ!!)」
と、どこかの海賊漫画の主人公みたいに啖呵をきっていたわね、懐かしい。