王国の道化師
王国の道化師
(王城の一室、第二王位継承権を持つ少年の部屋)
(扉を開き、一人の道化師がやってくる)
お呼びと伺い参上しました
わたくし道化師あなたの道化師
ご用命はなんなりとォ!
え?五月蝿い?こりゃ失敬
二の君様におかれましては御機嫌麗しゅう……え、麗しくない?
んもー、なんで呼んだんですか道化師なんて五月蝿くなくっちゃ商売あがったりですよォ!
……なんです
また真面目な顔しちゃって
いいですねえ顔のイイ人は黙っててもホイホイいろんなものが寄ってくるんでしょう私なんて喋ってナンボ汗水流し骨身を削ってようやく銭を頂ける御面相でよよよよよ
………チラッ
よぉよよよよよって止めてくださいよォ
本題はなんです本題は
……ほうほう
昨今の巷間に流布する噂を?お知りになりたいと?
なんっで吟遊詩人呼ばなかったんですかアイツらそういうの大得意ですよォ!
そもそも吟遊詩人の存在意義なんて噂話を掻き集めるかあることないことベラベラ喋ってバラ撒いてお上の御意向を国の隅々まで伝播させることにあるんでしょーがぁ!
っへ?あ五月蝿い?んんんまたまた失敬
ごほん
まあ?ご用命とあらばお答えするのがワタクシの仕事でございますれば?
包み隠さず申し上げます
(派手な帽子をぐるりと回し大仰に一礼)
(口上が始まる)
さて
いまだ立太子かなわぬ一の君
国王様はご高齢
歳の離れた二の君は聡明なれど妾腹
三の姫様お人形、四の姫様赤ん坊
さて王冠は誰の手にィ!
……いくら順当にいけば一の君、ったってねえ
立太式をやってもらえないってのは、そういうことでしょうよ
お願いしますよォ二の君ィ
(パァンと大きく手を鳴らし、一際ニタリと嗤う道化師)
血ばかり好む愚昧な王など民にとってはいい迷惑
かく言う私も貴方の国の愛する民のその一人
出来れば素敵な王様に、ア治めてぇ!欲しいィとォ!
まあ手でも足でもお貸し致しますよってことです
これでも貴方様のことは買ってるんですよ?
んんんさてさて今日のところはお暇させて頂きますが
わたくし道化師
あなたの道化師
御用命はなんなりと、お申し付け下さい
何時なりと、何処へなりと
参上致します
(扉を閉じて)
(道化師、退場)
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北の荒野はとある王国の終焉に、大規模魔法が行使された跡だと言う説がある。
その最後の王国の、終わりに向けての序曲のような………全体に戯曲のような形態で進むのだろうか。
抜けている(紛失している)頁も多いのだろうが、恐らく政変などの起こる前の時間軸だろう。
主要な登場人物としては、この道化師、第一王子、第二王子、第一王女、まあ赤ん坊も入れるなら第二王女。
先の序文は、大きな視点で描かれた第三者視点だろうか。
しかし、だろうだろうばかりで考察が進む。まあ仕方がないか。
他の頁もよく確認しつつ、取り敢えずは時系列の順に並べていくとしよう。
王国の道化師
ボイコネ一人用朗読台本/初出時台詞お題(性別不問・ガチ演技)