仲間との別れ
帰り支度を整えて退院手続きも終えた朝、病室のみんなに別れの挨拶をした。
「みんな、二ヵ月間ありがとう。楽しかったよ!」
「うん、ウチらも楽しかったよ! 病院で楽しかったっていうのもヘンだけど〜!」
「あはは、そうだね! でも、そのほうがいいでしょ」
「もちろん♪ バイバイ、サユさん! 暇だったら遊び来てね〜」
「ホント、あんたの挨拶は学校みたいだね! でも時間がある時は来るよ、バイバイ!」
「バイバーイ!」
治療には何の未練もないのに、この病室には不思議な愛着が湧いてしまった。荷物を持って病室を出た私は、一旦振り返って入り口の名札を見る。すでに私のネームプレートは外されていて、少しだけ寂しく思った。
視線を病室の中に向け、最後にもう一度だけ「じゃあね!」と挨拶を交わし玄関へ向かった。
まだシュウからのメールは来ていない。彼を待つ間、エントランスのソファに座ってヨウちゃんやナミさんへメールを送った。
『本日退院しました! 今までいろいろとありがとう♪
これからも、何かと助けていただくことはあると思いますが〜(笑)
こんな私をよろしくお願いします!』
二人には、本当にいろいろとお世話になった。病気と闘う中で、二人の助けは必要不可欠だった。もしそれがなかったら、今頃はまだ病室のベッドで横になっているはずだ。
『これからも助けていただく』……それは本当にあることだと思うが、少しずつ恩返しもしていきたい。
ちょうどメールを打ち終えた時、シュウからメールが来た。
『着いたよ。』
──緊張が走る。軽く息を吐き、メールを返す。
『わかった、今行くね。』