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ダメ女のエール ~笑顔のキセキ~  作者: F'sy
第四章・闘病
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自信

「結構歩いたから、疲れちゃったね〜。でも楽しかった! 今日もありがとう♪」

 陽が沈んでゆく中、助手席のシートを少しうしろに倒して体を伸ばしながら、シュウに感謝の気持ちを伝えた。

「ホント、いろんなとこ行ったねー。喜んでもらえたなら良かったよ」

 彼も笑顔で応えてくれる。

「これで次の治療に向けての充電はできたかな?」

「うん、バッチリだよ!」

 それはまったくの本心だ。三週間の休みだけでも体力的には準備万端なのに、こうしてシュウと出掛けたり、家で子供たちと楽しく過ごせたことが、精神面に大きく働いたのは間違いない。

 自然を見て、好きな物を食べて、家族や彼と楽しく会話して……。

(やっぱり楽しい! 楽しい、楽しい! こんな日がずっとずっと続けばいいのに!)

 生きてるなぁ、と実感する。これが〝生活〟だと思う。

「──シュウ」

「何?」

「……ううん、なんでもない」

「なんだよ、気持ち悪いな」

「ありがとね」

「ん? うん」

 言いかけたのは、本当は違うことだ。少し前から持ち続けている、彼に対しての不安。今なら聞ける──そう思ったのだが、いざとなると言葉が出てこない。

(やっぱりやめよう。雰囲気、壊したくない……)

 私は今日の出来事を振り返って楽しい話題だけを選び、そのことを一旦忘れようと努めた。


 自宅近くに車が停まる。少し彼に寄り添うと、彼も優しく肩を抱いて頭を撫でてくれる。

「四クール目も頑張るね」

「うん、次で最後だもんな。今までの治療を乗り越えてきたサユなら、大丈夫だよ。ちゃんと薬も効いてるし、ここまで頑張ったんだから絶対治る!」

「──うん! ありがとう、シュウ」

 やはり今は、病気を治すことに専念しよう。彼の車が走り去ったあと、もう一度自分に言い聞かせた。

(私は、絶対治る! 次も頑張るぞ!)

 うまく気持ちを切り替えられた私は、自分でも驚くほど自信に満ち溢れていた。

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