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ダメ女のエール ~笑顔のキセキ~  作者: F'sy
第四章・闘病
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鎌倉行き、断念?

 外泊の日の朝、身支度を整えてロビーへ向かう。

(前よりは早く帰れるかなぁ? 今は……九時か)

 先月との差を計ってみようと思い、時間を確認してから病院の自動ドアを抜けた。しかし、歩き出してすぐに差など出ないことがわかって、時間を計るのをやめた。夏も盛りの八月半ば、この暑さは今の私には酷くこたえる。

(はぁ……はぁ……。やっぱり、動くと疲れる……。ゆっくり帰ろ……)


 ひと月前と同じくらいの時間をかけて家に着いた私は、またもやベッドへと倒れ込んだ。このまま寝てしまおうかとも思ったが、全身汗だくで気持ちが悪い。最悪なのはカツラで、帽子も被っているのでさらに中が蒸れて、こもった熱は相当なものだ。私は帽子とカツラを剥ぎ取って、少し休んでから風呂場へ向かった。

 くたくただったが、なんとか汗を流すことができて気分がすっきりした。先月も家に着いたら風呂に入ろうと考えていたのだが、あまりの疲労感に入ることができなかった。それを考えると、今回は体力の回復が若干早いかもしれない。


 この晩は、二日後に行く鎌倉のことばかり考えていた。何を着ていこう、どういう順番で回ろう、行き当たりばったりでも面白いかも。──楽しみで仕方がなかった。

 しかし、考えていたのは楽しいことだけではない。やはり体力は気になる。病院から家に戻ってくるだけでこんなに疲れてしまうのに……。しかもほとんどがバスの中で、歩いている時間などほんのわずかだ。

 そんな体力でこの暑さの中、鎌倉巡りなどできるだろうか? 往復は車なので心配はないが、現地に着いてからシュウに心配をかけるようなことはなるべくしたくない。


 考えた末、私はシュウにメールした。

『明後日、どうする?』

『どうするって?』

『今日も帰ってくる時、すごい疲れちゃった。鎌倉、歩けるかなぁ〜と思って……』

『鎌倉、やめようってこと?』

『うん……。シュウにあんま迷惑掛けたくないし……。』

『ゆっくり休みながら歩けばいいよ。隅から隅まで歩くわけじゃないんだし、病院から帰ってくるのと違って楽しいじゃん! きっと疲れないよ。』

 シュウは私のことを、すごくよくわかってくれている。

『そうだね、楽しければ疲れないよね♪ ありがとう、楽しみにしてるよ!』

『じゃあまた明後日ね。おやすみ。』

『うん、おやすみ〜。』

(シュウがいてくれれば、きっと大丈夫。思いっきり楽しもう!)

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