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ダメ女のエール ~笑顔のキセキ~  作者: F'sy
第四章・闘病
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隔離・四日目

 隔離されてから四日経ったが、熱はまだ三十八度以上ある。白血球の数値も上がる気配がまったくない。数値を見るために採血が毎朝になり、白血球を増やす注射も今日から朝晩二回になった。

「もう少しの辛抱だから、頑張ろう!」

 先生は注射や回診のたびに励ましの言葉をかけてくれるが、以前と同じく気休めとしか受け取れず、何度も聞くうちに苛立ちすら覚え、疑問も抱くようになっていた。

(もう少しって、いつよ……)

(このままで数値上がるの……?)

(本当はもう、手遅れなんじゃないの……)

 この数日間、前向きな気持ちになったことなど一度もない。そして治療が始まった頃の予想どおり、今はもう誰にも会いたくない。誰とも話したくない。この姿を見られたくない……。ここにいるかぎりは望んでも叶わないことだが、この気分はもとの病室に戻ってもしばらく続くかもしれない、と思った。


 採血の時間。腕は針の痕だらけで刺せる箇所がない。それでも毎日、看護師さんは注射器を持ってやってくる。私は看護師さんの姿を横目で見るなり、向き直りもせずに腕だけ放り出した。

「……もうどうでもいいや、って感じかな……」

 私の腕を消毒しながら、看護師さんが困ったように言う。──はっとした。

「そんなこと、ないよ……」

 そう言ってはみたものの、本心でないことは誰が聞いても明らかな言い方だったので、看護師さんは黙ってしまった。申し訳ない気持ちにはなったが、それ以上の気を遣う余裕などない。


 私は、私のことで精一杯──。心の中でした言い訳が本心だった。

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