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ダメ女のエール ~笑顔のキセキ~  作者: F'sy
第三章・発覚
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不安だらけ

 桜はとうに散り尽くし、生暖かい風が樹々を揺らす五月の末。私は二週間の検査入院のため、朝から病院へ向かった。



 先日の診察から数日後、シュウと会っていた私の携帯に病院から連絡が入った。病室の空きができたことの報告だった。

「はい……はい……わかりました。じゃあ、朝一番で行きます。……はい。よろしくお願いします」

 電話を切り、となりで話を聞いていたシュウに伝える。

「明日から入院、決まったよ」

「そっかぁ。ちゃんと調べてもらったほうがいいもんな。頑張ってな、見舞い行くよ」

「──うん。ありがとう」

 私の症状や病院へ行っていること、入院しなければならないことなど、もちろんシュウには話していた。だが、あまり詳しくは話していない。まだ確実に重症と決まったわけではない今は、無闇に心配をかけたくなかったから。その思いの中には、何事もなく検査が終わってほしいという願望も含まれていた。

(大丈夫。なんでもないよ。きっと、なんでもない……)

 そういった願望を持つということは、それに見合った不安があるのと同じことだと思う。いくら自分に言い聞かせても、簡単に拭えるほど小さな不安ではない。それがシュウに伝わらないよう、彼が帰るまでその気持ちを隠さなければならなかった。


 保育園へジョウを迎えに行って──ユヅキはこの春で小学生になった──家に戻り、父と子供たちに明日からのことを話す。ここでもシュウに話した時と同じく、子供たちに不安が伝わらないようにする必要があった。

「ちゃーちゃんね、明日から病院行ってしばらく帰ってこないから、おじいちゃんの言うことちゃんと聞いててね」

 ジョウはテレビに夢中になっていたので、私はユヅキに向かって言った。

「病院行くの〜? しばらくって、どれくらい?」

「ん〜と、二週間ぐらいかな〜」

「え〜、二週間も〜?」

「うん。だから、ジョウと仲良く待っててね」

「う〜ん……」

「あっという間だよ! 毎日電話するからさ」

「……うん……」

 やはり寂しいのだろう。──当然だと思う。以前は生活のために寂しい思いをさせていた。就職したことで少しは一緒にいられるようになっていたのに、こんなことになるなんて……。

(ごめんね、ユヅ……)

 私はまた幼い頃を思い出し、当時の自分とユヅキを重ねていた。



 病院へ着くと、看護師さんが病室まで案内してくれた。私の入る病室にはすでに名札が付けられていて、ユヅキやジョウを産んだ時のことを思い出させた。

 だが今回は、喜びなど微塵もない。数分先のことさえ不安で仕方がない。悪い考えしか頭に浮かばない。自分がこんなにもネガティブだったことを、改めて知った。

 大学病院の先生方は、チームを作って私を診てくれた。心強く思う反面、それほど重い病気なのかと心配にもなった。受けた科は、やはり呼吸器内科。

(やっぱり、心臓の病気なのかな……。私、どうなるんだろ……)

 しかし、恐れてばかりもいられない。

(まだ検査もしてないんだから。きっとなんでもないよ……大丈夫、大丈夫)

 意識して思い直してみるが、以前と同様、それに力がないことは自分でもわかっていた。

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