ダンシングフォックス
鳥居から、可愛らしい狐耳の巫女装束の少女が現れた。
彼女こそは、アメノウズメの眷族・舞稲荷である。
舞稲荷は、自分の神社のシステムの一部を電子化。
そうして、その姿を配信し始めたのだが・・・
「何よコレ!?」
本殿の自室にて、パソコン画面を閲覧する舞稲荷。
そこには・・・
「ウェーイ!」
「「「ウェーイ!!!」」」
本殿の鳥居の下でダンスをしまくる外国人観光客。
「うぐう・・・
ヤツら、神聖な鳥居の下で!
境内で参拝客に、ステージ開放してるだろうが!」
最近、日本に観光にくる外国人。
アピールせんと、日本の神仏は名乗りを上げた!
が・・・
最近では、地蔵寺のお地蔵さんが盗まれ、主である地蔵菩薩が監視カメラと迎撃システムを搭載した「自動菩薩」なるロボットを開発したというほどだ。
「負けるか!」とばかりに、観光新規産業に参画した舞稲荷だったが・・・
すると・・・
「着信!」
舞稲荷は、パソコン机に置かれたスマホを見る。
そこには、上司の名である「アメノウズメ」の名が・・・
「は、はい!
もしもし!」
とりあえず、電話に出るが・・・
「オラァッ!
なんなんだ!
あんたんとこのナメ腐った外国人は!?
あんなクソ異人は、神罰だっつーの!」
キンキン声のアメノウズメ。
どうも、最近の一部の観光客が、鳥居の下でダンスをしているのだ。
一部の神々は、キレかかっているらしい。
「なんだよ。
あんたは◯◯◯丸出しで、ストリップしたじゃねーかよ!」と言う言葉を飲み込んで、舞稲荷は考える。
「えーと・・・
鳥居入り口と境内に、「ダンスはステージにてお願い致します。」という貼り紙を・・・」
「舐められとるんじゃおのれは!」
そこで、舞稲荷は・・・
手をポンと叩いた。
「くくく・・・
このまま配信するだけなら許しましょう。
が、反論にアホ発言で返したり、他の神々を侮辱するならば・・・
境内のステージで「ボン・ダンス」を踊っていただきしましょうか。」
「ボン・ダンス?
盆踊りですか?」
「いいえ?
真夏の炎天下のドイツ国のボンにて、ロシア民族衣装で耐久24時間コサック「ダンス」をする大会でございますよ。
盆踊りは、「ボン・ステップ」にごさいます。」
舞稲荷は、かわいらしい「狐」神とはかけ離れた「妖狐」の表情で笑っていた。