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トートバッグ『ラムネを口に入れたら』

作者: 物語のあるリボン / いろいと

物語のあるリボン作家『いろいと』です

私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります

手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています


関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております



小説は毎朝6時に投稿いたします

ぜひ、ご覧下さい♡



Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい

hhtps://www.instagram.com/iroit0

騒がしい教室は、3限が始まるチャイムと共に静かになる…

と言いたいところだが、なかなかそうはいかず、先生が来るまでは休み時間がお決まり

ガラリと重たい引き戸が勢いよく開けば、全員の視線はドアへと集中する

先生の顔を見るやいなや、立っていた生徒達は、ダラダラと歩き出す



『ほら、早く座る!5分前行動!』

教室に来て早々、学年のスローガンが持ち出され、それぞれ生返事をしながら着席した

中学2年生になった私達のスローガンは

『何事も5分前行動!遅刻しない!』

去年3学年の中で、一番遅刻者の多い学年であった為、今年は遅刻0を目指そう!を掲げている

もうすでに何人かは遅刻気味なのは内緒にしておく

中学校生活にもだいぶ慣れ、気が弛むのはだいたい2年生

1年生は初めてばかりだし、3年生は受験なので一番のんびりしているのではないだろうか

それに加えて今年の2年生は、ちょっとばかし問題が多いとも言われていた



·

そんな事を言われているとも知らず、私は『トートバッグ』に、こっそり忍ばせていたラムネを一つ口の中へと放り込む

それを見ていた友達は、手のひらを私に向けて笑顔を振りまく

もちろん私は、どうぞと渡すのだが

こっそりお菓子を堪能する私達は今日も上機嫌に数学の授業を聞く

もうすぐ夏も終わりだと言うのに、じりじりと暑い太陽は、クーラーの入った教室を少しずつ程よい温度に変えてくれる



数学の授業は、心地よいメロディーに変わり、ゆっくりと私をまどろみの世界へと誘う

とろんとした目は次第に重くゆるりと閉じてゆく

何事かと思う音にハッとして顔を上げた私は、周りを見て状況を一瞬で把握する

授業が終わり挨拶の為、全員が席を立った椅子の音が、今日の目覚まし時計



·

すっきりした目を輝かせ、楽しく過ごす休み時間も、次の授業の合図で終わってしまう

再びラムネを食べてから授業へ挑もうと『トートバッグ』に手を伸ばす

友達に一つ渡した後、ポンと口にラムネを含むと、口いっぱいに広がる薫りで、つい頬が緩む

ふと顔を上げ、たまたま空気の入れ替えで、開いていた窓を何気なくチラリと見た



『あっ。』

私の開いた口から、小さなラムネが可愛く挨拶している事に、窓の外にいる大人は満面の笑み

まずい、先生だ。と思っている間もなくラムネを飲み込む

ちょうど先生も何気なくこちらを見た瞬間だったようで、タイミング良く私が口に入れこちらを向いたので、心のシャッターを下ろしたようだった

しかし、なぜ授業始まりに先生が?という問には、どうやら授業態度が悪い私達の学年は、授業直前、休み時間、授業中と見回りが開始される事になったらしい



抜き打ちで、見回りが始まるなんて聞いてない

窓から覗く天女のような笑顔の下には、般若がいることを私は恐る恐る伺う

愛想笑いで誤魔化そうにも誤魔化せない

窓から手が伸び、おいでおいでと招かれる恐怖の時間

しまった。もう手遅れだ。

友達と私は手招きに抗うことなく教室を後にした

校長室に呼び出された後、私達がどうなったかは、想像に任せることにしよう

最後まで読んで下さり、ありがとうございます


色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです


また明日、6時にお会いしましょう♪

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