2.王女から出された条件。
次回でオープニング終了、かな?
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「そんな貴方を見て、私は師として仰ぎたいと思ったのです!」
「あー、うー……困るんだよ、本当に……!」
人気のない体育館裏にて。
目をキラキラと輝かせている王女様を前にして、ボクは思い切り頭を抱えていた。
先日の一件で助ける結果となった少女が、まさか王女様だったとは。しっかりと確認した上で、十二分に注意をした上で、細心の警戒をした上でドラゴンを討伐するべきだった。
アリス王女といえば様々なものに対して興味津々、好奇心旺盛な人物として貴族の間でも有名だ。一部では落ち着きがないと評する者もいたが、本人は至って気にしていない。
「なにが困るのですか!? 身分なら気にしなくても大丈夫です!!」
「そうじゃない、そうじゃないんだよ!」
それを証明するように、彼女はボクが困り果てている理由を勘違いしていた。
たしかに一国の王女様が貴族とはいえ、下の者を師とするのは珍しい。しかも学園の同学年となれば、奇異の目に晒されるのは明らかだった。そう……ボクにとっては、その『奇異の目』というのが大問題。
「だったら、いったい何が問題なのですか?」
「ボクは目立ちたくない、それだけなんだ」
「目立ちたくない……?」
だからボクは、正直にそれを伝える。
下手に目立ってしまえば色々と面倒なことになってしまのだ、と。
父を含めた親類の者たちが、それこそ目の色を変えて飛んでくるに違いなかった。さすがに家の事情までは語らないにしても、これでこっちの気持ちは理解してもらえるだろう。
そう思っていると――。
「なるほど……!」
アリスは両手のひらをパンと合わせて、またも瞳を輝かせた。
そして、こう言うのだ。
「能ある者は実力を隠すという、あれですね! つまりリュードくんは、陰ながらガリア王国を守護する、素晴らしき御仁であると……!」
「違うっての!?」
思い切り見当違いの方向へと、会話をぶん投げられてしまった。
なんだよその『影のヒーロー』みたいな、どこかの物語にしか出てこないキャラ付けは。しかしそれをツッコむのは、何故かはばかられてしまった。
何はともあれボクはこのド天然王女に対して、必死の断りを入れる。
「申し訳ないけど、師事だの何だのはナシ。……それと先日、ダンジョンで見かけた一件については絶対に他言無用で」
「むー……?」
だが、やはり彼女は納得できないという表情を浮かべるのだった。
愛らしく頬を膨らしたかと思えば、なにかを思いついたようにハッと目を見開く。そして立ち去ろうとするボクの行く手を遮って、こう口にしたのだ。
「だったら、取り引きしましょう」
「……取り引き、だって?」
その言葉を耳にして、頬を嫌な汗が伝う。
上手く誤魔化せたと思ったりしたが、やはり相手もそこまで抜けてはいなかったらしい。にっこりと満面の笑みを浮かべて、こう言うのだった。
「見てしまったものは、忘れようがありませんから。……そして、リュードくんは目立ちたくないのですよね?」
「それは……」
「でしたら、私は先日の一件について他言いたしません」
「…………」
そして嫌な予感が的中する。
アリス王女は、こちらを試すように目を細めるのだった。
「その代わりに、秘密の弟子にしてくださいねっ!」――と。
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