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1.目立ちたくない少年と、好奇心旺盛な王女。

今日はもう一話予定(*'▽')?

続きが気になる方は、ぜひあとがきも<(_ _)>








 ――特別な存在になるなんて、絶対に嫌だ。


 そう思ったのは、物心ついてすぐのこと。

 ボクは俗にいう天才だったらしく、その頃にはもう自在にあらゆる魔法を使いこなしていた。周囲の大人たちは誰もが目を丸くし、口々にボクのことを褒め称える。そして将来が楽しみだと、異口同音に語り合っていた。

 そのことについて、最初は誇らしく思っていた節もある。

 しかし、とあるキッカケでボクはやる気をなくした。



『周囲の期待なんて、クソ食らえだ』



 幼いボクはそう考えて、人前で魔法を使うのをやめたのである。

 大人たちは途端に何もしなくなったボクを見て、それはそれで目を丸くしていた。原因を突き止めようとして、いくつもの医者をたらい回しにされた。高名な魔導師たちにも色々調べられたが、結局のところ原因は分からない。


 それもそのはずだ。

 ボク自身が意図的に、拒絶しているだけなのだから。

 そんなわけで、いつしか周囲の大人たちはボクに期待しなくなった。父だけは先日のように学園での成績を確認しているが、出てくるのは平均値だけ。


 平均、あるいは普通を演じていれば、少なくとも期待はされない。

 邪険に扱われることもないし、ボクにとっては良いこと尽くめ。



 ……そのはず、だったんだけど。






「リュードくん、私に魔法を教えてください!!」

「…………」



 王都立学園にて、ボクは一人の女生徒に付きまとわれていた。

 肩ほどまでの金色の綺麗な髪に、好奇心旺盛な印象を受ける赤の眼差し。目鼻顔立ちは非常に整っており、小柄ながらスタイルも良かった。さぞかし男子から人気だろうと思われるが、彼女にはそれ以上に衆目を集める要素が含まれている。

 ボクはそれを気にしつつ、苦笑いしながらこう答えた。



「あの、アリス王女……? 人違いではないでしょうか」



 そう、ボクに迫ってくる少女――アリスは、このガリア王国の王女。

 しかも容姿の端麗さに加えて、学業成績も非常に優秀ときている。そんな存在が、なにも特徴がないはずの男子学生に教えを乞うていた。

 その異様さに、廊下を歩く他の学生たちは口々に何か言っている。

 好意的な内容ではないだろう。奇異の眼差しが、全身に突き刺さっていた。



「人違いなどではありません! 貴方はあの日、ダンジョンで私のことを助けてくださったではありませんか!!」

「うわ、大声で言うのはやめ……!」



 だが、そんな周囲の反応に気付かないのだろう。

 アリスは嬉々として、先日起きた出来事を口走るのだった。







「うわー……マジか」



 その日は魔法の実戦授業として、王都の近くにある低級ダンジョンにやってきていた。本来であればスライムなどの弱い魔物を相手にするはずだったのだが、ハプニングが発生。

 それというのも、ボクの目の前にいる奴が問題だった。



「どうしてここに、大型のドラゴンが? ……まぁ、いいか」



 突如として出現したのは、凶悪な存在感を放つドラゴン。

 生徒たちはもちろんのこと、教員たちも大慌てでダンジョンから撤退していった。だけど状況を鑑みるに、誰かが囮にならなければ全員の生還は不可能。パニックになっていたらしく教員たちもそのことに気付かなかったようで、この場に残ったのはボクだけだった。



「適当に足止めしたら、さっさと合流しよう」



 そうなってくると、自分がドラゴンの相手をしなければならない。

 もっともこの程度の相手であれば、苦戦することはないように思われた。だが――。



「あぁ、もしかして一体だけじゃない?」



 どうやら、ドラゴンは一体だけではないらしい。

 本来的に集団で活動しないドラゴンが、どうして複数体同時に出現するのか。そのことが気になりはしたが、今はひとまず時間を稼ぐことを考えよう。

 そう思って呼吸を整えようとした。

 その時だ。



「きゃっ……!」

「……きゃ?」



 自身の後方から、女の子のものらしい悲鳴が聞こえたのは。

 振り返ると、そこには逃げ遅れたらしい女生徒の姿。腰が抜けてしまっているようで、膝から下が震えてしまっていた。

 ボクはそんな状況を判断して、一つため息をつく。

 どうやら――。



「こればかりは、仕方ないかな……!」



 彼女にだけは色々とバレてしまうが、覚悟するしかないようだった。







「す、すごい……!」



 少女――アリス王女は、信じられない光景を目の当たりにした。

 自分と同い年であろう少年が、身の丈二メイル以上あろうかというドラゴンを屠っていく。その動きや魔法は、まさに常軌を逸していた。

 王宮の優秀な魔導師、魔法使いなどの比ではない。

 彼こそ、この少年こそが王国において至高の存在であると思った。だから――。



「私は、この方を師事したい……!!」




 好奇心旺盛な彼女は、そう目を輝かせたのだ。


 


面白かった

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