表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

プロローグ 普通の少年。

新作です!

続きが気になる方は、ブックマークなど(*'▽')!








「本当にいつもながら、可もなく不可もなく……だな」

「そうですね」



 ボクの学園での成績を見る父は、少しばかり呆れた様子でそう口にする。

 対してこちらは、これといって感情のない声でそう答えた。



「いや、そうですね……ではないぞ。伯爵家の嫡男として、恥ずかしく思ったりはしないのか? このままでは、名門アクゼリュス家に泥を塗ってしまう、とか――」

「そうは言っても、ボクの実力ではこれが限界なので」

「………………」



 そんな自分の言葉に苦笑しつつ、父はそう続ける。

 しかし、いかに名門家系の子息だとしても『できないものはできない』のが現実だった。そんなわけなので、ボクがしれっと返すと父も黙ってしまう。

 こんな話をしているが、自分の成績が『極めて平々凡々な平均ど真ん中』なのは、今に始まった話ではなかった。王都立学園に入る前から現在に至るまで、教員の方々から下される評価は特徴のないものばかり。見事なまでに、すべてが平均値だった。



「リュード……確認するが、本気でやっているのだな?」

「はい、もちろん」



 だが、そのような偶然はいつまでも続かないはず。

 そう考えたらしい父は、口角を微かに痙攣させつつそう訊いてきた。でもボクの答えには、よどみがない。いっそ清々しいまでの言い切り方で、ハッキリとそう告げた。


 自分の実力は、奇跡的なまでに平均だ――と。


 だからこそ、こんなボクに期待するのはやめてほしい。

 そんな願いすら込めながら。



「ふむぅ……ならば、仕方ないな」



 すると、こちらの祈りが通じたのか。

 父は軽くため息をつきながら、成績表をボクに返して言うのだった。



「不出来な息子を持つよりは、まだマシか。今日のところは不問にするが、これからはもっとしっかりと勉学に励むのだぞ……?」

「分かりました、お父様」

「ならば、部屋へと戻って休みなさい」




 ボクは成績表を受け取り、一礼をして父の私室を出る。

 そして自室に戻って、こう呟くのだった。



「本気なんて、出すわけないだろ。……目立ちたくないんだからさ」




 ベッドに潜り込んで、一日の疲れを吐き出す。

 ボクはあくまで普通の学生。


 貴族の家に生まれたのは誤算だけど、それ以上でもそれ以下でもない。

 平均ど真ん中で、どこにでもいる目立たない存在なのだった。



 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。

創作の励みとなります!


応援よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ