プロローグ 普通の少年。
新作です!
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「本当にいつもながら、可もなく不可もなく……だな」
「そうですね」
ボクの学園での成績を見る父は、少しばかり呆れた様子でそう口にする。
対してこちらは、これといって感情のない声でそう答えた。
「いや、そうですね……ではないぞ。伯爵家の嫡男として、恥ずかしく思ったりはしないのか? このままでは、名門アクゼリュス家に泥を塗ってしまう、とか――」
「そうは言っても、ボクの実力ではこれが限界なので」
「………………」
そんな自分の言葉に苦笑しつつ、父はそう続ける。
しかし、いかに名門家系の子息だとしても『できないものはできない』のが現実だった。そんなわけなので、ボクがしれっと返すと父も黙ってしまう。
こんな話をしているが、自分の成績が『極めて平々凡々な平均ど真ん中』なのは、今に始まった話ではなかった。王都立学園に入る前から現在に至るまで、教員の方々から下される評価は特徴のないものばかり。見事なまでに、すべてが平均値だった。
「リュード……確認するが、本気でやっているのだな?」
「はい、もちろん」
だが、そのような偶然はいつまでも続かないはず。
そう考えたらしい父は、口角を微かに痙攣させつつそう訊いてきた。でもボクの答えには、よどみがない。いっそ清々しいまでの言い切り方で、ハッキリとそう告げた。
自分の実力は、奇跡的なまでに平均だ――と。
だからこそ、こんなボクに期待するのはやめてほしい。
そんな願いすら込めながら。
「ふむぅ……ならば、仕方ないな」
すると、こちらの祈りが通じたのか。
父は軽くため息をつきながら、成績表をボクに返して言うのだった。
「不出来な息子を持つよりは、まだマシか。今日のところは不問にするが、これからはもっとしっかりと勉学に励むのだぞ……?」
「分かりました、お父様」
「ならば、部屋へと戻って休みなさい」
ボクは成績表を受け取り、一礼をして父の私室を出る。
そして自室に戻って、こう呟くのだった。
「本気なんて、出すわけないだろ。……目立ちたくないんだからさ」
ベッドに潜り込んで、一日の疲れを吐き出す。
ボクはあくまで普通の学生。
貴族の家に生まれたのは誤算だけど、それ以上でもそれ以下でもない。
平均ど真ん中で、どこにでもいる目立たない存在なのだった。
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