第10章 爆発
形が変わってきていますが気にしないでください。
「結局あいつらは勢いだけなんだな。たいして強くもないのにどうして拘るのやら。」
「初めてじゃないんだ。」
「そうだな。何回かこうしてやってきてる。実力の差は分かっていると思うんだがな。」
確かにそれは謎だ。人間としてはそこそこ強いだろうが、彼と比べれば天と地の差がある。
「ま、大方自分たちの持つ武器の威力を信じ切っているんだろうな。」
「そうだ。そういえばあの人達がくる前にあった爆発、あれは何?」
「あれは単なる爆弾だ。火薬は使ってないがな。」
「火薬を使ってないって、じゃあ何を使えばこんな大規模な爆発が起きる?この都市ほとんど壊滅してるじゃないか!」
「何を使ったか。それについては実は向こう側もよく分かっちゃいない。」
向こう側というのは組織のことだろう。でも、よく分かっていないというのはどういうことだ。
僕が疑問に思っていると、彼は、
「聞きたいか?」
と言った。
僕が、もちろん。と答えると、
「退屈な話だぜ。」
と前置きしてから話し始めた。
「組織結成当時の頃だ。俺は今こそ裏切り者としているが、その頃は立派に組織の一員としてやっていた。組織の目的は“あるもの”の研究。そして、その研究の途中で、不思議な物質を発見した。その物質はその大きさではあり得ない大量のエネルギーをため込んでいた。エネルギーは分かるな。その物質はエネルギーをため込んでいながら放出しなかった。だからため込んでいられたわけだが。そして、その物質は“ブラック・コア”と名付けられ、“あるもの”の研究と平行線で研究された。だが、」
彼はそこで言葉を切った。
「どうしたの?」
「疲れた。ちょっと休ませろ。」
「……」
数分後
「たまに空白を入れないと疲れるだろう。」
「初めの方はそうでもなかったと思うけど……」
まあ、いいか。
再び彼は話し始めた。
「だが、その研究中に事故が起こった。“ブラック・コア”がなにかの弾みでエネルギーを一気に放出したんだ。」
「つまり……爆発したんだ……」
「その通り。結構大規模な爆発だった。そのときの研究所は端から端まで2kmほどあり、核爆発が起こってもびくともしないくらい頑丈な建物だった。だが、その爆発で70%ほどが崩れた。研究所のデータはすべて連動していて、マザーコンピューターが1台でも残っていたら大丈夫、と言う状況だったから何とか無事だった。だが、そんなことより不思議だったのはそれだけの爆発で死者がただのひとりも出なかったことだ。」
「えぇっ!死者が出なかった!?」
「そうなんだ。なぜこんなことが起こったのかは分からない。崩れた建物の下敷きになり、大けがを負った人はいた。だが爆発の時に発生した熱エネルギーが原因でやけどを負った人はいなかった。そのくせ建物の方には焦げ跡が残っていたし所々火事もあった。まったく訳の分からない事故だった。まあ、いずれにしても研究所が受けたダメージは大きかった。爆発の際に真っ黒な閃光が発生したことからこの現象は“ブラック・エクスプロージョン”と名付け、“ブラック・コア”の研究を禁止。そのときの爆発はそれでも根本的な危機には届かなかったがそのとき爆発した“ブラック・コア”はたった1個。もし全てが爆発したらどうなるか分からない、研究所のデータが消えてしまっては元も子もない、と言う理由だ。当たり前だな。そして“ブラック・コア”は封印された。」
彼はそこまで言うとまた言葉を切った。
僕はその話を聞き、また疑問が生まれた。
空白入れなかったな。と思いつつ彼に質問した。
まだ半分といったところでしょうか。