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ラヴェンダー・ジュエルの瞳  作者: 朧 月夜
【ラヴェンダー・ジュエルの瞳】エピソード短編集
80/86

[γ]Pitan & Ravel 〈P♪〉+*+〈Y☆L〉

 ※以降は2015~16年に連載していた際の前書きです。


 過去エピソード三編目までようこそお越しくださいました!

 こちらにふさわしいイラストをグッドタイミングで戴きましたので、早速ご紹介させていただきます♪

 以前私に再びのピータンを描かせる気持ちにさせてくださいました(笑)ピータン好きの名瀬ほのか様より、とってもキュートなピータンです☆



挿絵(By みてみん)



 ほのか様! 可愛いピータンを誠に有難うございました!!

 すぐに目が行きましたのは鼻のハート模様でした* やはりラヴェルの事が大好きそうw

 勝手ながら枠や名前は私の方で加えさせていただきました~今年最後の更新、こちらのイラストと共に是非お楽しみください♪(本文最初の写真は昔私が旅したオーストラリアのマウント・オルガです。こんな地を想像して読み進めてくださいませ)



   朧 月夜 拝




◆ウェスティの二度目の殺戮が始まり、彼を追いかけながら遺された家族を癒す旅路のラヴェルに、訪れた運命的な(?)出逢い◆




※おそらく殆どの方がお気付きになると思いますが、是非とあるアニメ映画をイメージしてご覧ください(笑)。(二次作品という訳ではありません)

 



挿絵(By みてみん)


 飛行船の辿り着いた荒野の先では、滑らかな赤い岩山の間を、乾いた風が音を立て吹き抜けていた。


「ナラシンハ様!」

「ツパイか……!? おお、少しは成長したようだな」


 ナラシンハと呼ばれた老人は、岩山の片隅から弱々しく手を振った。彼は初めの事件の後にヴェルを出ていった【癒しの民】の一人だ。故にロガール同様、ツパイが依然時を止めていることも知っているようだった。


「十年振りですから。ナラシンハ様とお会い出来たとなれば、故郷の父も喜びます」

「お父上も健在なのだな、それは何より。ところでこちらのお方は……デリテリート家からお生まれになった新王であられるか?」


 ツパイの隣に佇む紫の髪の青年に目を留め、ナラシンハは長い白眉の下から、皺の寄った(まなこ)を見開かせた。


「ラヴェルと申します。残念ながら、王失格の身ではありますが……この度は本当に申し訳ありませんでした。彼の暴挙を、止められませんでした」


 そうしてラヴェルは深く老人に頭を下げた。自分がウェスティを止められていたなら──ナラシンハの孫娘と幼いひ孫は、命を落とさずとも済んだのだ。


「いいや、貴方様の所為ではありますまい。先代王さえ惑わされなければ……」


 ナラシンハは僅かに苦々しい声を上げ、彼の(おもて)を上げさせようと手を差し伸べた。その腕の裏側から灰色の何かが僅かに姿を現す。ラヴェルは体勢を戻しながら微かに驚いた。


「あ……」

「おや、これは失礼を致しました。ひ孫が大切にしていたモモンガでございます。どうか手は出さずにおいてください。ひ孫が亡くなってから、どうも見知らぬ人間には威嚇するようになりまして……チビでも凶暴でございますゆえ」


 ナラシンハの骨ばった細い腕を、スルスルと上下に往復しては立ち止まり、ラヴェルを見詰めるそのつぶらな瞳はとても愛らしい。威嚇するなどとは到底思えないその姿に、ラヴェルはゆっくり手を近付けた。


「いっ、いやぁ……」


 ナラシンハは思わず制止の声を掛けたが、ラヴェルは老人に目配せし、それをやめることはなかった。


「おいで……」


 優しい声でモモンガを(いざな)い、微笑みを(たた)え静止する。同時にモモンガも動きを止め、じっとラヴェルを見上げたが、恐る恐るその手に乗り、更に上腕まで上がっていった。


「ほら……怖くない」


 寄せられた逆の手に、咄嗟に威嚇を示すモモンガ。灰色の背中を盛り上げ、その毛は緊張したように逆立った。


「怖くない……」


 目の前まで近付いた人差し指に、モモンガはとうとう噛みついてしまった。一瞬ラヴェルは片目を細め、その痛みに耐えたが、


「ほらね……怖くない」


 逃げようとしない彼の気持ちが伝わったのか、モモンガはそっと口を放し、詫びるように(にじ)み出た血液を舐めた。


「怯えていただけなんだよね」


 笑いかけたラヴェルの表情に、途端嬉しさを隠しきれず彼の肩を走り回る。目の前の光景にポカンと口を開けた老人へ、ラヴェルは一つお願いをした。


「ナラシンハ様、この子を自分に戴けないでしょうか?」

「あ、ああ……構いませんが……これは驚きましたな!」


 老人は我に返り、了承と感嘆の言葉を口にした。


「君は今日から自分と……ジュエルのパートナーだ。その(あかし)にラヴェンダーの力を授けるよ」


 ラヴェルは隣で口角を上げたツパイを見下ろした。意を察したツパイは下げた鞄から革袋を取り出し、その中の薄紫の粉を彼の掌にほんの少し広げた。


 噛まれた指から依然しみ出す血液とそれを合わせ、モモンガの口に含ませてやる。その刹那、灰色の身体が一瞬紫の光を(まと)い、そして──




 ──ラヴェルだよ。君の名前は?




 モモンガの小さな耳がピクピクとはためき、首は右へ左へと何度も振り向かせてしまった。が、やがて聞こえた声が心の通った証拠だと気付いた『彼女』は、ラヴェルの頬に自分のそれをすり寄せた。




「え? ピータン??」




 『彼女』と同じ黒曜石の瞳を瞬かせたラヴェルは、すっとんきょうな声を上げ、


「……まるで何処かの卵料理みたいだね」


 と楽しそうに呟いた。にこやかな笑みを乗せた頬と掌で、愛情深く『ピータン』を撫でる。


「これから宜しく頼むよ、ピータン」




 こうしてピータンは、ラヴェルの無二の『パートナー』となった──。




◆続編でもピータンは、ユスリハに負けない(笑)ラヴェルのパートナーです。




◇ラヴェルにぞっこんのピータンを再び◇

挿絵(By みてみん)




 ※以降は2015~16年に連載していた際の後書きです。


 急遽作成致しました過去エピソードまでご覧くださり、誠に有難うございました!

 今年はこちらにて終了し、年明け七日より「続編に続く未来の物語」(全六話)をお送りする予定です*

 それを機に二年前までと同様「週一回更新」に戻そうと思います☆

 今後はのんびりとお付き合いいただけましたら幸いでございます♪


 さて・・・この三編はユスリハが登場する以前のお話でしたので、ユスリハ・ファン(その様な方がいらしたらですが(苦笑))の方には寂しく思われたかも知れません?

 こちらに“凸凹キャラ達が試行錯誤しながら冒険する、ドタバタ長編小説”『不揃いな勇者たち』を連載中の、「としよし」様とのコラボレーション・イラストを置かせていただきます☆

 どうしてコラボであるかと申しますと~『不揃いな勇者たち』のヒロイン「ルーウィン」もユスリハと同じく「ピンク色のポニーテール」だからなのです♪

 ユスリハをとしよし様に描いていただき、僭越ながらルーウィンを私が描かせていただきました*

 が! お互いモノクロ絵しか描かない私達(笑)、お手数ですが想像力を全開で働かせてご覧ください!!



挿絵(By みてみん)



 としよし様! 可愛らしいユスリハを誠に有難うございました!!

 それでは皆様も、また来年お会い致しましょう!

 今年一年、本当にお世話様になりました!!

 どうぞ良いお年をお迎えください*



   朧 月夜 拝




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