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依存する二人は醜い  作者: 白色真
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四話 滲むカーペット

読んでもらえたら嬉しいです。


誤字脱字あったらすみません。

学ランが重く肩にのしかかり汗で肌に張り付くカッターシャツが気持ち悪い。美紀は美しい花に囲まれ笑顔を見せていた。彼女に手を合わし一歩前に出る。お焼香を炊きもう一度手を合わせる。目を開け美紀の写真を見た時涙を抑えることができなくなった。後ろの母に肩を優しく叩かれた。母は優しく「戻るよ」と言い背中を軽く摩った。


その後自分は火葬場までの記憶を思い出せない。


「高貴大丈夫?」


椅子に座っていたのは由紀の体の美紀だった。いやどうだろう、所作は明らかに美紀であり由紀の仕草は彼女からは感じられなかった。目が回り目頭を押さえると彼女が心配そうに見つめる。


「あ、悪い少し眩暈がしたんだ」


彼女は椅子から床に座りベッドにもたれかかった。何か息を軽く吐いた。由紀は足を無防備にさらけ出すが今はしっかりとスカートで隠されている。


「あのさ高貴、私由紀の体に移ったみたい」


どこからか鐘が鳴った気がした。


「私、美紀になったみたい」


彼女は視線を斜め下に向け唇の下を噛んだ。

俺は自分がどんな顔をしているのか気になった。嬉しい顔をしているのか、驚きの顔をしているのか、それとも悲しい顔をしているのか。掌を見ても顔は反射して映らず顔を上げ彼女の顔を見るしかなかった。


「美紀になったのを知ったのは昨日の夜だった。トイレに行こうとしてベッドから出ると由紀の部屋だった。暗闇に目が慣れず最初は疑ったけど、電気を付けたらやっぱり由紀の部屋だった」


部屋の中には彼女の細々とした声が反響し脳を揺らす。


「何が何だか分からなくて急いで階段を下りて洗面所の鏡を見たら由紀だった」


悲しげに下を向く彼女に何をすれば良いかわからず、ただ黙っていた。


「そんな時リビングから怒鳴り声が聞こえたんだ、私はその話の内容で察したの。私が死んだことを」


彼女の右の頬には雫が垂れ一直線に滲んだ。


「内容を聞いて頭が痛くなったよ、あんなに仲の良かった親が私の49日の予定で喧嘩をしているんだから。悲しくなったよ。お寺を出た後に行くお店、そこで振舞われる料理、料理の値段、着る服にアイロンをかけていない、一度始まった言い合いはきりがなかったよ」


彼女は膝を畳みお腹と太ももに頭を入れた。スカートが下がりカーペットに水滴が落ちていく。落ちた雫は音もたてず滲み消えていく。

彼女の顔にはクマができており夜の惨状を物語っている。


「私さ、自分が死んでこんなにも迷惑をかけてるなんて知らなかった。多分昨日までの由紀にはもっと迷惑をかけているかもしれない。朝なんてさ、会話が一度も起こらなかったんだ。機械みたいに動く二人を見て声を掛けれなかった、美紀になったなんて言ったら彼らのネジが外れてどんな誤作動を起こしたかわからない」


彼女の声は震え先ほどよりもカーペットの滲む速さが上がった気がした。


一話あたり文章少ないですかね?

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