オリエント人について
これは2019年にクリスマス企画兼資料集として投稿したものです。
「スターライガ」「スターライガ∞」に登場するもう一つの人類についての設定を纏めています。
本編のストーリー進行に伴い加筆修正されると思うので、その時は再度ご確認ください。
※現在は「スターライガ∞」MOD編開始時点の情報を掲載しています。
一般的にオリエント人と呼ばれる人種は、「ホモ・ステッラ・トランスウォランス(Homo stella transvolans)」という学名を持つサル目ヒト科ヒト属の一種にして、現生人類を構成する種族の一つである。
スターライガシリーズの世界観における「人間」とは、我々ホモ・サピエンス・サピエンス及びホモ・ステッラ・トランスウォランスの両方を含む場合が多い。
一方、日本では生物学的な「ヒト」という和名はホモ・サピエンス・サピエンスのみを指し、ホモ・ステッラ・トランスウォランスには「オリエントヒト」という別の和名が与えられている。
このページでは主にホモ・ステッラ・トランスウォランスの生物学的側面、そして我々ホモ・サピエンス・サピエンスとの大きな違いについて述べる。
なお、表記の煩雑化を避けるため、以降ホモ・ステッラ・トランスウォランスは「ホモ・ステッラ」、ホモ・サピエンス・サピエンスは「ホモ・サピエンス」と省略する。
・概説
ホモ・ステッラは栖歴2000年に地球を襲った隕石災害「終末の5日間」の直後から存在を確認されている新人類であり、この時命名された学名は「流れ星の民」といった意訳を持つ。
分布域は汎存種であるホモ・サピエンスよりも遥かに狭く、オリエント連邦及びその周辺国――所謂「オリエント圏」や人工的に作られたスペースコロニー内に限られる。
生物学的特徴としてはホモ・サピエンスに一致ないし類似する部分が多数見受けられる反面、全く異なる形質も少なくないことから、学界では「共通の祖先から分岐していった人類」「元々は全く異なる祖先を持っていたが、進化の過程でホモ・サピエンスに近い形質を獲得した」などといった説が有力である。
他方、ホモ・ステッラの中には多数の民族(オリン族、アカバ族、エルフ族など)が存在するが、これらに生物学的な差は確認されておらず、複数の民族の血を受け継いでいる個体も珍しくない。
ホモ・サピエンスと同じく極めて高い学習能力を持ち、行動や習性のバリエーションは非常に多岐に亘る。
ごく稀に獣耳や尻尾の出現といった「先祖返り」を起こす個体がいるのも特徴で、ホモ・サピエンスほどでは無いにせよ形質の変化は比較的大きい。
なお、ホモ・ステッラとホモ・サピエンスは限定的ながら混血可能とされ、この交雑種は「ホモ・ステッラ・サピエンス」と俗称されている。
詳細は後述するが、祖先に由来するホモ・ステッラの大まかな性質としては「(サル目の中では)大型」「雌が圧倒的に多い母系社会」「縄張り意識が強く単独行動を好む」「比較的狭い行動範囲内で活動」「肉食性に近い雑食性」「低温環境に適応しており、高温多湿環境には弱い」といった点が挙げられる。
・種としての特徴
サル目としてはゴリラやオランウータンに次ぐ大型種であり、雌の平均身長はホモ・サピエンスよりも高い。
成人の場合は大柄な個体であれば200cm・85kg近く、平均以下の小型個体でも160cm・55kg程度には達することが多い。
体重が若干重いのは全体的に筋肉量が多く、尚且つ低温環境へ適応できるよう脂肪をある程度蓄えているためだと考えられており、温暖な土地へ移るほど体格が小型化しやすいというデータが挙がっている。
一方、ホモ・サピエンスとは逆にホモ・ステッラは雄のほうが小柄且つ非力な傾向が強く、平均サイズであっても雌の小型個体より多少大きい程度にとどまる。
ただし、雌に比べると個体差は狭い範囲に収まっており、地域差もあまり見られない。
・頭部
頭部の構造は基本的にホモ・サピエンスと同じだが、個々の部位を観察していくと祖先が「夜行性の捕食者」であった名残を見ることができる。
顔のサイズのわりに大きな瞳孔(比率はネコに近い)はホモ・ステッラを特徴付ける要素であると同時に、日没後や月夜といった暗い環境でもある程度視力を得ることを可能としているが、昼間の視力はホモ・サピエンスと大差無い。
ホモ・ステッラに対し遠くから照明を当てると俗に「眼が光る」と言われるが、これはタペタムという痕跡器官が光を反射するためであり、フラッシュを焚いた写真撮影で容易に再現できる。
反射光の色彩には個人差が出るため、大雑把な個人識別に使用されることがある。
瞳孔の中では虹彩が大きな割合を占めており、ホモ・サピエンスに比べると白目の面積は狭い。
瞳の色は多い順に青、緑、金、赤(アルビノではない)、黄、茶、灰、黒、紫とされ、オリエント人の場合は青系統(青、碧、蒼、藍)の個体がおよそ3割を占めている。
なお、理由は不明だがホモ・ステッラには虹彩異色病――所謂オッドアイが全く確認されていないという。
耳は大半の個体はホモ・サピエンスと同じく左右2つだけだが、大昔は可聴域が異なる獣耳をもう一対持っていたとされている。
獣耳の痕跡器官は全ての個体に残されているほか、前述のように「先祖返り」の一例として稀に獣耳を残したままの個体が出現することもある。
獣耳の形状はイヌ型、オオカミ型、キツネ型、ネコ型、ウサギ型と呼称される5種類が存在し、この違い祖先の生息域に由来していると考えられている。
ちなみに、先祖返りした個体は獣耳を出し入れする能力を先天的に有しており、帽子を被る時などは耳を「消す」ことができる。
鼻は肺に入る空気を暖めるために高くなっており、表面にはホモ・サピエンスには無い洞毛と呼ばれる感覚器官が肉眼では見えないほど薄っすらと生えている。
この関係でホモ・ステッラは鼻が非常に敏感であるため、鼻を触られる行為を非常に嫌がる傾向が強いが、老化(120歳以上が目安)に伴い感覚が鈍くなっていくとされており、オリエント圏では「鼻に触れられても気にならなくなったら引退の時期」という慣習が広く伝わっている。
口腔はサル目でありながらキツネやオオカミといった肉食獣に近い特徴を併せ持ち、健康な個体であれば顎の筋力はホモ・サピエンスを大きく上回る。
ホモ・ステッラの歯は硬い肉を噛み千切るほどの鋭さから「歯牙」と呼ばれ、乳児期に生えた歯がそのまま成長し死ぬまで残るため、乳歯や永久歯といった区別は存在しない。
歯を失った場合は新たに生え変わるのもサル目では唯一の特徴であり、この性質が健康寿命を延ばし長寿命化へ貢献していると考えられている。
歯の構成はホモ・サピエンスと同じ32本だが、親知らずが確実に生え犬歯も発達しやすい点で大きく異なる。
唇は粘膜の露出がホモ・サピエンスよりも少なく、個体によっては内側の赤い部分がほとんど見えないこともある。
非常に奇妙なことだが、ホモ・ステッラは寒冷地帯での生活に適応していると考えられているにも関わらず、頭部以外には体毛が全く存在しない。
現代のホモ・ステッラは胴体以下の体毛――具体的には脇毛や陰毛などが生えることは無く、体毛に関してはほぼ完全に退化している。
雄はごく稀に髭が生える個体もいるが、生活環境によってはむしろ生えないことのほうが多いという。
その一方で髪色はホモ・サピエンスよりもバリエーションに富んでおり、青や緑といったホモ・サピエンスには見られない色合いを持つ個体も珍しくない。
瞳の色に比べると地域差が出やすく、参考までにオリエント人では多い順に金、青、銀、緑、黄、橙、赤、白(白髪とは別)、茶、黒、ピンク、紫があると云われ、金から緑までの4色及びその亜種が約半分を占める。
ごく稀にメッシュを入れたように髪色が2色(黄+黒など)に分かれた個体が現れるが、これも「先祖返り」の一例である。
なお、老化が進んだ個体は髪の先端部から徐々に色素が抜けていくものの、大抵は完全に白化する前に天寿を全うしてしまう。
・胴体
骨格や内臓の構造はホモ・サピエンスと同じであり、相互に骨髄及び臓器の移植手術を行うことができる。
事例は少ないが種族の垣根を越えた皮膚移植で患者の命が救われたケースもある。
ただし、同種族間での移植(同種移植)に比べると拒絶反応のリスクが僅かに高いとされ、万全を期す場合は異種移植は行われない。
「先祖返り」の一例としてごく稀に尻尾を持つ個体が生まれることがある。
獣耳に比べると尻尾が残っている事例は極めて少ないため、尻尾は比較的早い段階で退化してしまったと考えられている。
・生殖能力
ホモ・ステッラとホモ・サピエンスの最大の相違点は生殖能力である。
我々ホモ・サピエンスは基本的に雌雄両方を揃えないと子孫を残せないが、ホモ・ステッラは「雌同士の性行為でも子孫を残せる」という哺乳類では唯一無二の雌雄同体に近い性質を持つ。
この特殊能力は生殖器の構造に由来しており、「アンドロギュノス」と呼ばれる雌のホモ・ステッラの生殖器は通常時は雌性生殖器(卵巣や子宮など)としての機能しか持たないが、性的興奮を覚えることで雄性生殖器(精巣や陰茎など)の機能が現れる。
この時生成される精子はホモ・サピエンスの卵細胞と受精することができないため、「ホモ・サピエンス♀×ホモ・ステッラ♀」の組み合わせでは交雑種は生まれない。
もちろん、雄同士のペアは問題外である。
逆に言えば、それら以外の組み合わせである「ホモ・サピエンス♂×ホモ・ステッラ♀」及び「ホモ・サピエンス♀×ホモ・ステッラ♂」ならば交雑種が生まれる可能性を有している。
ちなみに、雌同士で繁殖できるのに雄が存在する理由は未だ明らかになっておらず、「人類学の七不思議」とされている。
「雌同士で繁殖するようになってから雄が激減した」とも「雄が減ったから雌同士で繁殖できるよう進化した」とも云われているが、その辺りは研究の進展が待たれる。
オリエント圏においては「女同士よりも男女ペアのほうが優秀な子どもが産まれやすい」という伝承があるが、それを裏付ける科学的根拠は見つかっていない。
・四肢
四肢の構造はホモ・サピエンスと同じであり、その機能も変わらない。
強いて言えば胴体が短く四肢が長い傾向にあるが、誤差の範囲に収まっているので生活環境を分ける必要は無いと考えられている。
非常に限定的だが四足歩行を行っていた頃の癖も残っており、性行為及び出産時に取る後背位や膝の積極利用(膝で物を移動させるなど)といったカタチで名残が見受けられる。
オリエント圏で時折発掘される古代人の化石の調査が行われた結果、氷河期直後の時代までは四肢を覆うように体毛が生えていたことが判明している。
これは寒冷地帯で体温を保持する凍傷対策及び紫外線に弱い皮膚を守る日焼け対策と考えられ、獲物の毛皮を加工した衣服の発明を境に体毛を減らす方向へ進化したと推測されている。
現代のホモ・ステッラの四肢からは体毛が失われているが、それに代わる物として上腕まで覆うほどの手袋やサイハイソックスを防寒具兼日焼け対策として着用する個体が性別問わず見られる。
・身体能力
前述の通り、基本的な身体能力はホモ・サピエンスとあまり変わらない。
大きな違いとしては持久力よりも獲物の捕獲を重視した瞬発力、高温多湿に対する脆弱化と引き換えに得た低温環境への適応力、紫外線が弱い日没後に活動できる程度の暗視能力、植物が育ち辛い環境で餌を得るための肉食化などが挙げられる。
よくホモ・サピエンスの間では「オリエント人(ホモ・ステッラにおける多数派)は肉食をしないと死んでしまう」と云われているが、厳密にはこれは誤解である。
寒冷地帯に暮らすオリエント人の大半が高カロリー且つタンパク質が豊富な肉や甘い果実を好み、口腔や消化器系もそれに適した構造となっているのは事実であるものの、何かしらの理由により肉の摂取量を制限し草食中心の食生活を送る個体も存在する。
ただし、ホモ・ステッラは本能的に肉食性の傾向が強いため、完全菜食主義への転向は困難だと考えられている。
・生活史
ホモ・サピエンスと同じく胎生であるが、妊娠期間は約12か月と僅かに長い。
その一方でホモ・サピエンスの新生児の体重が2~4kgほどであるのに対し、ホモ・ステッラの新生児は大きくても2.5kg程度と未熟な状態で生まれてくる。
これは天敵が存在しないので無理に成熟させる必要が無く、母体への負担を軽減させるために胎児が小さい状態で産むようになったからだと考えられており、未熟といえど健康な新生児ならば生理機能は既に備わっている。
このため、ホモ・ステッラの母体は妊娠初期のつわりや出産時の激痛をあまり感じず、比較的安産で済むことが多いという。
生まれてから約2年半で歩行能力や言語能力を獲得し、身体の成長が緩やかに推移することから成熟には22~4年ほど掛かる。
生殖能力が得られるのは17~18歳頃からとホモ・サピエンスよりも遅く、オリエント圏では肉体的にも性的にも成熟を迎える22歳を境に「成体」として扱われるようになる。
生殖活動に対しては20代前半から100歳前後の約80年に亘り積極的な傾向が見られるが、雌の場合は妊娠出産を経験した個体は急激に活動が衰え始め、2回目の妊娠出産を終えてから数年(この短期間に3回目の妊娠を行うことも不可能ではない)で生殖能力を失う。
このパターンでは早ければ20代の時点で卵細胞を生成しなくなり、それ以上子どもを産むことはできなくなる。
一方、妊娠出産を1回だけに留めたりそもそも行っていない個体は100歳前後まで生殖能力を維持できるものの、この場合でも概ね110歳までには生殖適齢期を終える。
雄に関しては性成熟の完了後は寿命を迎えるまで生殖能力を維持するが、生殖活動に対する意欲自体があまり高くないとされている。
一体の雌が生涯の間に産める子どもの数は多くても6~7人にすぎず、寿命の長さと併せてホモ・サピエンスとは真逆の「少産少死」であると言える。
なお、ホモ・ステッラは双子や三つ子を産む確率が比較的高いことで知られており、これは出産回数の少なさを補うための適応だと考えられている。
平均寿命は時代によって多少変化するが、22世紀のオリエント連邦においては雌雄共に約160~70年と云われている。
最も長生きした個体は215歳で天寿を全うしているため、理想的な条件が揃えばこの程度までは生きる可能性があることが分かる。
特筆すべきは健康寿命の長さであり、ホモ・ステッラは「成長速度が遅い」という弱点の副次効果として老化の進行速度も極めて緩やかとなっている。
成長・老化共に早足で進むホモ・サピエンスは30代後半辺りから衰えが出始めるが、ホモ・ステッラの場合は20代前半で肉体の変化が急激に鈍くなり、以後は100年以上に亘り「若い時代」が続くことになる。
その老化自体もホモ・サピエンスほど目に見えて現れるものではなく、容姿は髪の先端部が退色することを除けば青年期からほとんど変わらず、身体機能の低下率も最盛期(20代中半~40代前半)の9割程度にとどまっている。
ホモ・ステッラの寿命は身体面よりも精神面の衰えが影響してくるとされている。
長い時を生きるということはその分だけストレスに晒されることを意味しており、特に時代の移り変わりに伴う様々な変化へ適応することは相応の苦痛を伴うことがあり、それに付いていけないと判断した時点で多くの個体は社会から身を引くこと――所謂「引退」を選ぶ。
中には一生涯に亘って盛んに社会活動を行う個体もいるものの、基本的には120~30歳を迎えた辺りで社会集団の中心からは退き、自身より若い個体へ世代交代を行うことになる。
引退した個体は精神面において急激な衰えが発生し、それを引き金に身体機能の低下が進行。
中枢神経系が青年期から変わらない肉体を維持できる限界――通称「デッドライン」を超えた時、ホモ・ステッラは昏睡状態を経て脳、心臓、肺の機能が停止していき、一般的にはこの段階で「死亡」と判断される。
・性格
この項における記述は個人差や地域差を含んでいないことに留意されたい。
本能的に縄張り意識が強いことから集団行動をあまり得意とはしておらず、特に必要が無い場合は単独行動を行うことが多い。
所謂「思春期」と呼ばれる精神的にデリケートな時期は攻撃性が強くなりがちだが、年齢を重ねるに従い肉食獣の如き獰猛さは徐々に鳴りを潜め、成熟期を迎えた個体の大半は闘争心を理性で制御できるようになる。
闘争心の凄まじさは戦争やスポーツにおける活躍などでよく知られており、時に自らの死さえ恐れないその姿はラーテルと並んで「世界一怖いモノ知らずな生命体」と云われている。
なお、前述の性格は主に雌に当てはまるものであり、雄は大人しい性格で闘争心もあまり強くない。
ホモ・ステッラの社会集団の中では成熟した雌が圧倒的に優位であり、リーダー格となる個体が非常に大きな影響力を持つ。
次いで成熟した雄、未成熟個体、老齢個体というような序列が形成されやすいが、一時的に代理を務める場合を除けばこれらがリーダー格として扱われる機会はほとんど無い。
かつては絶対数が少ない雄の立場は非常に狭かったが、近年は欧米から「男女平等」の概念が流入してきているため、優秀な雄が社会集団において台頭することも決して珍しくない。
自らと遺伝的な繋がりが強い個体に情を抱き、それ以外の個体よりも深い配慮を示しやすい傾向はホモ・サピエンスと同じである。
子どもを持つ雌は冷静沈着さが増すと云われているため、妊娠出産を経験することで性格が大きく変化する個体も少なくない。
ただし、ホモ・ステッラは両親、配偶者、子ども、兄弟姉妹の状態について特に敏感な一方、それ以外の親族に対する関心は多少薄くなる傾向が見られる。
・分布
現在でこそ地球各地及び宇宙空間に広く分布するホモ・ステッラだが、彼女らの祖先は寒冷地帯で発生したと考えられており、その子孫にあたるオリエント人などはユーラシア大陸の高緯度地域及び中央アジアに国家を構えている。
分布域があまり拡大しなかったことから形質もホモ・サピエンスほど多様化しなかったと思われ、「人種」として区別できるほどの差異はほとんど見られない。
・その他の特徴
肌の色はコーカソイド(白人)よりも更に白い肌を持つ個体が大半を占めるが、オリエント連邦東部やラオシェン共和国といった一部地域ではモンゴロイド(黄色人種)を薄くしたような肌色が優勢である。
温暖な地域においては褐色や小麦色といった肌色も多少見受けられるものの、ネグロイド(黒人)ほど濃い色の肌を持つ個体はいない。
これはホモ・ステッラの祖先が寒冷地帯に住んでおり、太陽光を体温調節へ積極的に利用するには白い肌のほうが好都合だったからだと推測されている。
血液型はAB型が99%以上を占めており、国籍や民族によってはAB型以外の血液型が見つからないことさえある。
純血のホモ・ステッラ同士の輸血ではあまり問題にならないが、交雑種では稀にAB型以外の血液型を持つ個体がいるため、このようなイレギュラーに対する輸血態勢の確立が世界各国で課題となっている(AB型はホモ・サピエンスでは少数派である)。
ホモ・ステッラの利き手は右利き及び両利きしか存在せず、純粋な左利きの出現率は都市伝説レベルとさえ云われている。
そのため、オリエント圏の伝統文化は左利きの存在を認めていないことが多い。
なぜ左利きが全くいないのかは未だ解明されていないが、交雑種では左利き個体の発生確率が生じることは明らかになっている。
知能に関しては教育制度などに差があるため一概には比較できないが、極端な差異は無いという検証結果が多数を占めている。
狩猟民族だった本能として勉強よりも運動を好む傾向が強く、知識量よりも情緒及び人間性の育成を重視することから学力自体は中の上程度と云われているものの、知能指数はホモ・サピエンスと同水準であり知識人や文化人として活躍する個体も決して珍しくない。
メンタリティの違いを根拠に優劣を決めようとする行為が時々見受けられるが、これは無意味で不毛な行いと言えるだろう。
ホモ・ステッラの亜種としては栖歴2132年に地球人類と戦争状態に陥った「月の民(地球側名称:ルナサリアン)」が挙げられ、彼女らには「ホモ・ルナサリア」という学名が与えられている。
ホモ・ルナサリアの生物学的特徴はホモ・ステッラに極めて近く混血も可能だが、ウサ耳型の獣耳が一般的に備わっていることや雄が存在しない点で大きく異なる。
逆にホモ・サピエンスからは系統がかなり離れているらしく、純血のホモ・ステッラを除く地球人との混血はできないと考えられている。
「大半の地球人との性行為ならば妊娠しない」という点は戦時中に少なからず悪用され、捕虜となった個体の中には凌辱を受け心身共に傷付けられた者もいたという。