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有能な妹

 実家に到着すると、玄関で出迎えてくれたのは母親だった。


「和也あんた久しぶりね。珍しいじゃない、なんかいい報告でもできた?」


「なんもないよ。ほら赤福」


「……ちゃんと三重県で買ってきたでしょうね?」


 一応三重県内で購入しことを伝えると許してもらえたようでホッとする。夕食の支度をしに台所に戻る母親と入れ替わるようにして


「お兄ちゃん、久しぶりー。元気してた?」


 ひょっこりと居間から顔を出してきたのは妹だ。


「相変わらずだよ。お前も仕事どうだ?」


 妹は銀行で働いている。志望理由は半沢直樹が面白かったから、らしい。

 馬鹿げた理由だとも思うが、期待してた倍返しする機会はまだないそうだ。


「まー、ぼちぼちやってますよ。それよりお兄ちゃんお盆に帰ってくるのなんて珍しくない?

私結婚するとかいう話かと思ったんだけど! 違う? 名推理?」


まくしたてるように話す我が妹。


「お前、母さんと同じこと言ってるぞ。残念ながらまったくそういうことはない」


 まあこいつには言っといてもいいか、隠してもどうせすぐばれるだろうし。

 母親に聞かれると面倒なのでこそっと話す


「……まあ気になってる人はいるんだ。細かい説明はしないけどそれ関連で帰ってきたわけ」


「お~~やりますな兄よ」


 ペチペチと軽く拍手をしながらも驚く妹。


「まあそんなわけで今回はちょこちょこ出かけるからな。あんまり遊ぶ時間はないぞ」


 妹とは昔から結構仲が良く俺が一人暮らしをする直前までよく遊んだ。

 基本的に対戦ゲームが多かった。お互いに対しては負けず嫌いではあるため、かなり熱中してやったものだ。


「えー、スイッチのスマブラあるよ?」


「却下、そんなのやったことないから、勝てるわけないだろ、64かゲームキューブにしろ」


 昔はそんなにたくさんのソフトは買えなかったため一本のソフトが磨り減るまでやりこんだもんだ。中でもスマブラはお互いかなりやったほうだろう。

 妹は結構なゲーマーだったため、今だに色々やってるようだが、俺はゲームやる時間はあまりとれないので、最近はほとんどやってない。


「ちぇー、まあ全然いいですよ。久しぶりに64にしますか、私のカービィに勝てるかな。ふふふ」


「ファルコンパンチで返り討ちにしてくれるわ」


 馬鹿話をしていたら母親から早く食事を取れと怒られた。




 夕食後5日後の詳細を相談しようと一ノ瀬さんにメールした。


『何時くらいに集合にしようか、行く前に昼飯でも食べる?』


 数分たって返信があって。


『お昼は家でとろうと思うので、代わりに夕食にしませんか?集合は2時くらいに現地でいいですか?』


 ディナーは仰々しいかなと思ってランチだけの提案にしておいたが、こっちのほうがデートっぽくて嬉しいぞ。なんか気を使われているような気もするが……


 ささっと返信する。


『了解、夜どうしよう。お互い懐も暖かいことですし贅沢しますか。回らない寿司が食いたい』


『いいですねー、ザギンでシースーですか!?』


 お、乗ってきたな。


『そりゃいいな、どっかいいとこ予約しておくよ』


『お願いしちゃっていいですか。それでは楽しみにしてますねー』


『こちらこそ、それじゃおやすみ』


『今日はありがとうございました。おやすみなさい』


 さてさて、予定も決まったことだし明日から準備にとりかかりますかね。

 

 人心地ついたところで部屋のドアがノックされる。


「おにいちゃーん、スマブラやろ!」


 勢い良く開いたドアの向こう側には64を抱える妹の姿が


「お前……返事してからあけろよ、まあちょうどいいや相談もあるし、話しながらでいいか?」


「ああさっき言ってた彼女さんの話?」


「付き合ってはないから彼女ではないな」


 そういうと、妹は驚いたような表情をした。


「マジで?どういうこと、片思いってこと?」


「まあそんなところだ」


「おいおいー、高校生かよー。お前30過ぎのおっさんだろー。なにピュアなこと言ってんだよ」


 この妹ほんと遠慮ないな。俺の繊細なハートをガシガシ削ってきやがる。


「まあいいや、悩める兄の相談にのってあげようじゃないの」





「……っていうわけでさー。あ、お前下スピンキックは反則だぞ。まだ10%しか削られてないのに死んだじゃないか」


 スマブラをやりながらこれまでの経緯を説明する。ファルコンパンチは使わないほうがよかったな・・・


「腕が鈍ったねー。まあちょっと判断できないね。人としては好きって思われているってところじゃない?男女としてはどうかなー」


「お前もそう思うか。俺も今回は慎重に行きたいんだよな。お、コンボ決まったな」


「くっそー、もっとファルコンパンチ打ってこいよー。まあ慎重すぎるような気もするけど・・・そんな進め方でいいんじゃない?」


「取り合えず明日は服でも買いにいくかー」


 こうして六本木家の夜は更けていくのであった。


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