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一ノ瀬さんとお出かけ(2)

 お盆の10連休の二日目の朝、東京方面に向けて出発するため、俺は一ノ瀬さん宅に到着した。


「おはよう」


「おはようございます、すいません迎えに来てもらってしまって」


 休日なので当然いつもの見慣れたスーツ姿でなく、一ノ瀬さんも私服だ。

 私服姿は初めてみるが、なかなか新鮮だ。

 デニムに白いトップスでベーシックな組み合わせながら品よくまとまっている。

 しっかし手足が細いなー。


「気にしなくていいよ、荷物多いんでしょ?積めるかな?」


「車おっきいですねー!」


 スキーやら自転車に凝っていた時期があり、大型のSUVに乗っていた。

 最近は乗る機会も少なく駐車場代だけ馬鹿に食う。

 維持費だけかかる金くい虫でしかなかったが、こういうときは助かる。


「んじゃ行きますか、って荷物本当に多いね。海外逃亡でもするの?」


「実は日本にいられなくなってしまいまして……ほとぼり冷めるまで少しガラかわしたいんですよね。って違いますよ!」


 本当にノリがいい子だ。最近はウ○ジマ君を良く読むらしい。


 彼女の荷物を後部に積み込み出発。しかしあのスーツケースには一体何が入ってるんだ?

 尋常じゃない重さだった。


「途中で休憩したくなったら言ってね」


「はい、よろしくお願いします」


 走り出してすぐに阪神高速に乗ると、やはり普段より交通量も少なくスムーズに進めることが出来た。



 ◇



 途中休憩もかねて滋賀県の大津SAに寄る。

 そういえば朝食がまだだったなと思い、551蓬莱の豚まんを買って食べる。


「それおいしいですよねー」


「なんとなく食べたくなる味だな。

 個人的にはスーパーで売ってるやつのほうが脂っこくなくて好きなんだけど」


「あれ実は全然関係ない別会社らしいですよ?」


「マジか! 知らんかった!」


 思わぬところで賢くなってしまった。完全に同じものだと思っていたよ。恥ずかしい。


「あんまりゆっくりしても着くのが遅くなっちゃうし行きますか。……母親の三重県赤福指定がなければここで用事が済んだのに」


「私はぜんぜん平気ですよー、寄り道楽しいですよね」


 再び車に乗り込み走り出す。

 赤福は御在所あたりで買えばいいかと思ったため、赤福を手早く購入し、少し走ったところで、

 ジェットコースターや観覧車が風景に写ってきた。


「六本木さん、遊園地ですよ!

 うわー、あのジェットコースターこわそう……」


「あー、なんだっけ、ナガシマスパーランドだったか。外からは見るけど行った事ないな。

 というか遊園地なんてもう10年以上行ってないな」


「私もです。学生の時にディズニーランド行った以来ですね、

 観覧車とかたまに乗りたくなりますね。さすがに一人では乗れませんけど」


「そうだなあ。

 あ、そろそろ昼食にしようか。この先もうちょっと行ったところのサービスエリアでいいかな」


 ◇


 三重県から愛知県に入りしばらくすると刈谷ハイウェイオアシスに到着した。


 何気にここはサービスエリアながら年間入場者数がディズニーリゾート、USJに次ぐ3位だった年もあったらしい。


「人多いですねー!あ、トイレめちゃくちゃきれい……観覧車ありますよ!? ここサービスエリアですよね?」


 はしゃぐ彼女


「やたら施設が充実してるよな、あの観覧車の奥側に温泉があったはず。

 炭酸でしゅわしゅわして気持ちいいんだよな・・・人多すぎるのが難点だけど」


「へー、すごいんですねえ。あ、何食べます?」


「俺はそばでも食べるかな……

 あ、一応愛知県だからきしめんにしとくか」


「私味噌カツ食べます!」


 混雑したフードコート内で食事を終えた後、コンビニで飲み物などを補充した後ふと思いついたことがあったので提案してみた。


「あー……観覧車乗ってみる?」


 言っちゃった!言っちゃったよ!さっき観覧車乗りたいって言ったから不自然じゃないよね?

 調子乗っちゃったかな……



「いいですね!」


 助かった。勘違いおじさんにならなくて済んだ。やさしい彼女に敬礼だ。

 券売機で二人分のチケットを購入して列に並ぶ。結構にぎわっているな。


「この観覧車床が透明なやつもあるけど、どうする?」


「……普通のでお願いします。高いところそんなに得意じゃないんですよね」


「それは激しく同意する」


 二人で観覧車に乗って少しづつ高度が上がっていく。天気が良かったためか、遠くの山脈が良く見えて非常に景色がいい。


「いい景色ですねー!やっぱ観覧車はいいなー。」


「ああ、きれいな景色だねえ」



 ……とは言ったものの景色なんてほとんどみないで彼女の横顔ばっか眺めてたのは内緒だ


 ちくしょう付き合いてえなあ。


 身の程知らずなことを考えながら少しづつ下っていく景色を呆けながら見ていた。

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