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ベルフェゴール「私のために戦いなさい!」本郷「なめんな!」

【ゴツッ】


 何か堅いもので思い切りわき腹を蹴られ、本郷は目が覚めた。

 真っ白い空間。そこは間違いなく最初にベルフェゴールがいた部屋だ。


「胸にケガしてんだから蹴らないでくれよ……」

「そんな傷もうないわよ。戦いは終わったんだから」


 確かにロイザーに刺されたはずの胸の傷が消えている。


「そっか、終わったんだよな。あー! 疲れた! 何度死にかけたと思ってるんだ!!」

「いいじゃない勝ち残ったんだから。私もまさかアンタが生き残るとは思わなかったわ!」


 ベルフェゴールは満足そうな顔をしていた。


「うふふ、これで私も出世が決まるわ! ボーナスが出たら天界で贅沢しまくって豪遊して、堕落した生活を送るのよ!」


 既にこの後の予定を楽しみにしているようであった。


「良かったじゃないか。これで神様の中でもかなりの地位になるんだろ?」

「何言ってるの?この先数百回はやらないとトップになんてならないわよ」

「は?」

「アンタの世界でいうところの、アルバイトが時間帯責任者になった程度の出世よ。神だって数億人はいるんだから」


 そんな話聞いてない。でも確かに出世と聞いて勝手にそう思ったのも間違いではないので、ポカンと口を開けたまま何も言葉が出てこなかった。


「俺の血と汗と涙の決勝が時間帯責任者とかマジかよ……。泣きたい」

「少しは喜びなさいよ! とてもすごいことなのよ!」

「わーい……」


 乾いた笑いしか出てこなかった。

 そして次の疑問が頭を過る。


「もしかして! このまま俺が戦い続けるなんてことないよな!? これで帰れるんだよな!?」

「毎回同じ人を選んで戦わせるなんて聞いたことがないし、多分そうじゃない? それとも向こうに残りたかったの?」

「そうじゃないけど、別れの挨拶もろくに出来ないままだったし……」


 アイネの事が気がかりだった。最後にあんなに泣かせてしまうとは思わなかったし。

 コブスやジェリド、ノエルやリリアがいるからきっとサポートしてくれるとは思うけど。


「それにしても、強くなったじゃないタイチ。少しは毛が生えた程度に感心したわ」

「初めて名前で呼ばれた……。てっきり忘れられたんじゃないかと思ってました……」

「そこまでバカじゃないわよ!」


 ドカッと、またわき腹を蹴られた。しかも手加減がないのでかなり痛い。


「うごご……」


 蹲り悶えだす。そんな本郷をよそにベルフェゴールが誰かと話し始めた。


「はい、はい。私です。私が選んだ人間は優秀だったでしょう!」


 自慢げに話を続けている。


「え? あー……。まぁ救済措置と言いますか、だって勇者とか賢者と戦わせるにはちょっと力が足りないかなーと思いまして……」

「おい、なんか不味いんじゃないかこの流れ……」


 ベルフェゴールの笑顔が引きつったまま動かない、むしろ冷や汗をかいていないだろうか?


「そのあたりはこう、なんと言いますか、臨機応変……。そう『臨機応変』な対応ですよ! 神の素質としては重要な部分だと思うですよね! え? ダメ……?」

「まてまてまて……。こういうお約束は聞いてないぞ……!」


 引きつっていた顔が焦りの表情へと変化していく」


「え? 今回のは無かったことにする……? いやいやいやその条件はいくら何でも! ちょっと!? もしもーし!」

「切れたみたいだな……」


 怒りにも、悲しみともとれる表情で本郷の方を見た。


「アイテムボックスこっそり追加したの、バレちゃった……」

「おいおい、マジか……」

「それでね、もう一回今回の神達で選別からやり直すんだって……」

「そうか、じゃあ俺は関係ないから帰らせてくれ!」


 ガシッと腕をベルフェゴールに掴まれた。

 正直神様とはいえ、これ好みの姿をしているので少しドキッとする。


「あのね。非常に申し訳ないんだけど……」

「なんだよ、今更帰れないなんて言うなよ?」

「私たちだけ、このままやり直せって……」

「ふざけんな!」


 少しでもドキッとした自分がバカだったと思う。


「そりゃ、向こうの連中と別れたのは寂しいけど、もう一度死ぬ覚悟をしてこいってか!?」

「そうなるわね。しかも今回の件で相手も更に強い奴を選別してくると思うわ……」

「難易度上がってんじゃねぇか!?」


 これまで一般兵士にも殺されかけたというのに、そのハードルが意図もたやすく上げられたのだ。


「安心しなさい。アンタが消えた直後の場所から再開されるし、傷は治した状態で送り返してあげるから」

「いや、そういう問題じゃないんだけど!?」


 ベルフェゴールがスクッと立ち上がり、本郷から離れていく。


「さて、タイチ!私のためにもう一度戦いなさい!」

「なめんな! 人間にだって主張と抗議する権利ぐらいあるだろ!」

「ないわよ。だって私は神だから」

「アルバイトクラスの神のくせに偉そうにするな!」


 本郷は胡坐をかいて断固拒否する姿勢を見せた。


「まっ、アンタが何と言おうと決定事項だから!」

「おい待て! その紐は……!!」


 天井からスルスルと一本の紐が下りてきて、ベルフェゴールがその紐をがっしりと掴む。


「三回目はちょっと卑怯じゃないですかねベルフェゴール様……?」

「私これ気に入ったのよね。じゃ! 行ってらっしゃーい!」


 グイッと紐が引っ張られ、本郷のいた地面がパカッと割れる。

 一瞬の浮遊、そして綺麗な垂直落下。


「おいぃぃぃぃ! ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!!」


 落ちていく本郷の声が暗闇に響き渡っていた。


「さて、今度はばれない様にイカサマしないとねー」


 ベルフェゴールが本郷に与えたシステムを弄りだす。

 感動の別れ、そして振出へと戻される本郷。

 暗闇を落下し続けて、自分を落とした神を恨みながら、また会える仲間との再会に口元が笑っていた。

一旦これにて完結です。

プロットもほとんど書かず勢いで書いてしまったり、他の作家さんの表現を取り入れようと文章がごちゃごちゃになったり、誤字や矛盾もありますが、初の長編作品でした……。


ここまで読んでいただきありがとうございました!

次はもっと面白いと思って頂ける作品を作りたいと思います。


むしろこの話もいつか作り直したいなと思っています!

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