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女の決意

 飯田を討ち取ってから一週間が経過していた。

 アウグスタでは貴族や軍の高官が消えたことにより大きな混乱をするかと思っていたが、そんなことはほとんど起きなかった。


 崩壊した軍組織はノエルとリリア(走り回ったのは殆どレッグスだったが)が反発する者を片っ端からねじ伏せていき、リック中佐を半ば強制的に軍のトップに挿げ替えていた。

 リック中佐も当初は「力の強いものが上に立つべきだ」と発言したが、「それだと好きな時に女と遊べないではないか」というノエルがゴリ押したのだそうだ。


 街中の奴隷解放も順調であった、当初は本郷たちが経験したように暴力的な行為を行うものもいたが、トルガで暮らしていた人々を徐々にアウグスタに戻すことで経済の安定と雇用を強化。そして軍でも正式に獣人を雇い街中での巡回をさせることで人も獣人も同じ立場であるということを少しずつ浸透させていく。


 今でも人間上位派の考えを持つものは絶えないが、コブスとジェリド、そして彼らが育てた人と獣人の混成部隊が取り締まりに奔走しているらしい。


 まだまだ見直す部分は多いが、少しずつ活気を取り戻しつつあった。

 しかし、本郷には深刻な悩みが増えていた。


「タイチさん! 私子供が欲しいです!!」

「よーし、分かったから一度落ち着こう。ね? 誰の入れ知恵だ?」


 本郷はミランダの経営する宿で休んでいた。そして、夜遅くに相談があると訪ねてきたアイネを招き入れると、服を脱ぎ始めたのが事の発端だった。


「入れ知恵だなんて酷いです! この間キ、キスだってしたじゃないですか!」

「あれは突然だったし、アイネが急にしてきたんじゃないか……」

「でも拒絶しなかったですよね!?」


 確かに嫌な気はしなかったが、呆然としていたところで唇を奪われただけだった。


「それでも、こんな事急にするようなタイプじゃなかっただろう!?」

「だって、ノエル少佐とリリア大尉が……」


 アイネを焚き付けたのはちゃんとした原因があった。

 このような行動を起こす少し前、書類を届けるためにノエルとリリアの所へ出向いた時だった。


「アイネ、ホンゴーとは()()のか?」


 書類を持ってきたアイネに唐突に尋ねた。

『寝た』という単語に最初は何のことか分からなかったが、すぐに自分が父親の書物で身に着けた余計な知識からその意味を思い出す。


「な、なんですかいきなり!?」

「いや、前に妄想を書きなぐっていた紙があったのを思い出してな。どうせホンゴーの事だろう?」

「それはそうですけど……」

「ガバッと押し倒してしまえばいいんだ。どうせ童貞なんて一度快楽の味を知れば向こうから求めてくるようになるだろう」


 ノエルがガバッと何かを押さえつける様な真似をしてこちらをニヤニヤとして見ている。顔が熱い、汗が止まらなくなりそうだった。


「タイチさんはそんな人じゃありません! それに私からなんて……」

「いらないんですか? だったら私が貰ってあげましょう。あれは調教すればいい声を出しますよ」

「リリア大尉も何を言い出すんですか!? 調教って何ですか!?」


 会話に参加していなかったリリアが自ら立候補してきた。

『この二人に渡してしまったら、きっとレッグスの様に自分から椅子になることを喜ぶような変態になってしまうかもしれない!』

 そんな不安が心の中にあった。


「リリアがやるならば私も混ざろうじゃないか。二人で女の良さを叩き込んでやるのも悪くない……。強くはないがここぞという時で動く奴だからな、私は気に入っている」

「いえ、私一人で楽しみますので」

「お前がそこまで一人の男に肩入れするなんてな。お前もあいつに惚れたのか?」

「そうですね。他の男を選ぶぐらいなら彼の方がマシとは思う程度にはそうかもしれませんね」


 あのリリアがノエルに意見をしているところを始めてみた。

 そして、リリアの柔らかな顔が本郷に対してどんな感情を抱いているのかもアイネは薄々気が付いていた。


「タイチさんは渡しませんから!」


 その言葉だけを残し部屋から飛び出していた。

 部屋に残された二人が少し驚いた顔をしている。


「良かったのかリリア?」

「略奪愛というのも悪くありません。少佐も同じ考えなのでは?」

「そうだな、ホンゴーがその気になったところで私がアイネを奪い、リリアがホンゴーを奪えばいい」

「相変わらず怖いお方ですね」


 本気か冗談か分からない会話を続けていた。

 そんな二人の影響もあり、アイネは実力行使に出だということだった。


「やっぱりあの二人か……。とりあえず一回落ち着こう。ね?」

「待ちません! どうせまたはぐらかして終わるじゃないですか!」

「おぐっ! 身体が動かない……! おい、魔法使っただろ!」


 本郷の身体が動かなかくなっていた。

 アイネの魔法は以前よりも更に威力を増していたのだ。

 動かなくなった本郷の身体をベッドに押し倒す。


「大丈夫です! 知識だけなら二人にも負けませんから!」

「そういう意味じゃねぇよ! やめてー! 犯されるー!!」

「えっへっへっへ……」


 アイネが何処かのスケベ親父みたいな声を出しつつ、本郷の上着のボタンが外されていく。

 そして魔法の拘束が解かれたのは朝になるころだった。



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