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貴族はゲスな召喚者を得る

M1ガーランドと、M14どっちにしようか迷いましたが、M14がモデルです。ピストルはM1911です。

※話用にちょいちょいアレンジしていますので、本物と違うじゃねーか!というのはご遠慮ください。

「何やら街で貴族派打倒の話が盛り上がっているそうですよ、イイーダ殿」

「おぉサイス殿か。全く、身分の分からない連中の相手をするのは疲れますね」


 高級感の溢れる部屋で、サイスと、イイーダと呼ばれた男が話していた。


「イイーダ殿が現れてからというもの、貴族派の資金集めは更に効率化し、今では軍も我々の言いなり。市民共が反乱しようものなら見せしめに何人か殺してしまえば大人しくなるでしょうな」

「その辺はお任せしますよ、私は知識の提供は出来ますが、戦いに関してはからっきしなのでお役に立てそうにありませんから」


 お互いのはははという笑い声が室内に響く。


「今日のパーティは臭い獣人どもを一掃して、我々人類が統一する国家を作ることが目的です」

「サイス殿は本当に獣人がお嫌いですな。まぁ私はお金が入るのであれば何でもしますよ」

「本当にお金に貪欲の方だ! むしろそこまでハッキリしてくれた方が信頼できるというものです」

「ありがとうございます。では、後ほどのパーティで……」


 イイーダは部屋を後にし、カーペットが敷かれた通路を歩いていく。


「バカは煽てれば簡単に動くから楽でいいな。やっぱり楽して生きるのが一番だ」


 込み上げる笑いを必死に抑えつつ、通路を歩き続ける。


「ホンゴー・タイチか。あいつには悪いけど、このゲームに勝っても負けても俺は遊んで暮らしたいんでな。せいぜい役に立ってもらおうじゃんないか」


 歩くのを止め、近くの窓から眼下を歩く人々を眺める。


「馬鹿正直に働くなんて可哀相な奴らだな! あっはっは!」


 堪えていた笑いが抑えきれなくなっていた。


 ◇  ◇  ◇

「イイーダ?」

「そうだ。それが私が掴んだ相手の情報だ。少なくとも最近までの記録しか存在せず、貴族派も頑なにこの情報を流さないようにしている。資金が豊富になったのも、軍に口うるさく要求する等になったのもこいつの存在が明るみになってからのようだな」

「なんかどっかで聞いたような名前なんだけど誰だっけな……」


 城壁内のノエルの執務室でその話を聞いていた。

 ノエルから出た名前に聞いたことがあるような、ないような感覚に本郷は頭を悩ませていた。


「ホンゴー。パーティは今日、城壁内の迎賓館で開催される予定だ。一般市民は前に行かせるなよ。戦闘はお前たちと兵士達で固めるんだ。バカだからいきなり撃ってくる奴がいるかもしれんぞ」

「流石にそこまでバカだとは思いたくないんですけどね……」


 コンコンとドアがノックされる。


「失礼します!」

「入れ」

「レッグス伍長であります! おぉ、ホンゴー伍長もいましたか、ちょうどいい」


 レッグスが部屋に入ってきてやけに長いケースを持ってきた。


「なにこれ?」

「出来たんですよ! 新しい銃が!」

「マジか! 早過ぎない?」

「大まかな基本の構造はホンゴー伍長が書いてくれましたからな。後は形にしていくだけです」


 取り出された銃は、基本の形こそこれまでと似ているが、長くなり、少し重くなった


「ホンゴー。これはなんだ?」

「とりあえず、試写室に行きましょう。レッグス、小さい方も出来てる?」

「大丈夫です! ばっちりですよ!」


 レッグスの誇るような顔を確認し、試写室に向かった。


「最大の特徴は、レバーアクションが無くなり、下からこのマガジンと呼ばれる弾倉をセットするタイプの銃です。弾も5発から20発になり、装填もマガジンを変えて初弾をレバーで装填するだけなのでかなり一人当たりの戦力が上がるはずです」


 本郷はそういうと銃を構えて遠くの人型の的に狙いを定める。


『バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ!』


「こんな感じです。本当は色々バリエーションがあったりするんですけど、急いで作ってもらったのでとりあえずこの形で」

「素晴らしい性能だな……」


 ノエルが恍惚とした表情をしている。恐らくこれをもって戦う自分の部隊を想像しているのだろう。

 笑いながら敵に向かってぶっ放す姿が容易に想像できる。


「えっと、それでこっちが拳銃、まぁピストルって言われてるやつです。どちらかと言えば護身用です。射程は短いですし、弾も小型です。7発マガジンですが、先に1発装填してれば8発まで撃てます。心臓や頭の急所であれば火力は十分ですし倒せると思います。剣も不要になるでしょうね」

 そういうと本郷はピストルを構えて、少し近い標的を狙う。


『パンパンパンパンパンパン』


「こんな感じです。まさかこんなに早く試作が出来上がるとは思わなかったので驚きですが、魔法の力ってすごいですね……」

「うちの兵器局は世界一ですから!」


 兵器局の人間ではないレッグスが鼻を高くしていた。


「レッグス、今作っている銃の生産をすべて止めてでもこれを量産しろ! 人手が足りないなら勝手に雇っても構わん!」

「は、はひぃ! すぐに!」


 見慣れた全力ダッシュでレッグスが試射室から出ていった。

 ノエルが、机に置いてあったライフルを持って構えると的に撃ち始める。


『バンッバンッバンッバンッ!』


「ホンゴー、これさえあれば国を盗れるぞ!」

「本気で全部ひっくり返すつもりなんですね……」


 自分から言い出した計画の一つであったが、国が変わればいいぐらいの考えだった。ノエルにとっては完全に国を盗りに行く織田信長のような武将感が漂っている。


『後で、本能寺みたいに反逆とかされなきゃいいけど……』


 不安に思う本郷に対し、銃の威力を満足げに見ていたノエルがいた。

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