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そして計画が動き出す

 計画を実行し始めてから1週間が経過した。


 コブスの資金集めは苦戦しつつも順調に兵士募集の噂は広まりつつあった。

 自由の獲得という響きは戦争で戦うマイナスの言葉を差し引いてもプラス効果だったようである。


 同じく、ジェリドによる食料・工具類、家畜の調達もコブスの集めた資金を充てて調達が進んでいた。食料、工具類は宿の裏側に集めてはアイテムボックスにしまっていく。


 ウサギの時に思っていたことだが、やはり生き物に関しては食料だと認識されないのか、それとも生きているものはダメなのかアイテムボックスに入らなかった。

 そのため、予定を変更し、ミランダとミケットは移動で必要となるであろう食事を先に用意してもらい一足先にトルガへ移動してもらった。

 また、それと同時に簡易的な家畜の飼育場なども必要になると考え、家畜の運搬に合わせて建築が出来る職人達も雇い、一緒に同行させた。


アイネに付いてはこの準備期間で驚くほどに成長していた。毎日ひたすら訓練場に通い詰めて、習得が出来るであろう全ての魔法を覚えるという快挙を成し遂げていた。

スーン家が遠い昔に偉い立場にいたのはこの力があったからなのかもしれない。

しかし、この力が外部に漏れるのは良くないと、ノエルが全ての情報をもみ消したと、後々聞いた。


 一番予想外の展開はノエルとリリアがトルガに駐屯するという話だった。

アイネの魔法の件で呼び出された本郷が、その事実をノエルがもみ消したこと知った。そして突然、自分もトルガに行くと言い出したのだ。


「こっちでの仕事はいいんですか!?」


本郷はこのことは全く計画になかったので正直に驚いていた。


「ん? レッグスが何とかするだろう。お前があいつに教えた知識は面白かった。開発局には不眠不休で働くように言っておいたから楽しみにしておくといい。ここにいても豚どもの話を聞き続けるのだけだからな。お前に付いていった方が面白そうだ」


『ゴメン、レッグス。何かあったときは出来る限り手伝うと誓おう。きっと満足そうな顔をしながら必死にノエルの命令を遂行してそうな気がするけど……』


「私は少佐が行くところが仕事場ですから。それと不敬なことを考えたら首を跳ね飛ばします」


『見ないでほしいなら隠そうとするそぶりはやめてほしい。そっちの方が逆に強調されて気になる。殺されたくないし、今後から絶対、多分、ちらりぐらいにしか見ないようにしよう』


2人の言葉に心の中だけで答えた本郷だった。


こうして多少の計算違いはあれど、計画は比較的順調に進み、迎えた実行の日。


「100人ぐらい集まればいいかなと思っていたんだが……」


本郷の予想を遥かに超えて、獣人族が数百人規模で集まってしまったのだった。

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