ドSなんてそんなにいいものじゃない!
約1ヵ月ぶりの投稿⋯⋯
次もそのくらい空くかも⋯⋯
「討伐をしに森へ行き何をしてきたのですか?」
「⋯⋯蛇と話を」
「頭も働くのをやめたのですか?」
「⋯⋯」
蔑んだ眼差しで俺を眺め毒を吐き捨てる受付嬢⋯⋯
いつもの優しい方の後輩に当たるこの受付嬢はある特定の部類の方々にとてつもなく人気だ
今日は、優しい受付嬢の方が休みの為この人に話しかけたのだが⋯⋯
見ての通りである
言い返すことも出来ずただただ罵られる
「聞いているのですか?
まさかその顔の両端のものもニートに?」
「違いま──」
「あら、耳と口だけは働いているのですね」
「ぅ⋯⋯」
この人、嫌いだ!
カゼノコ討伐から帰ってくるなり、これだ⋯⋯
いいじゃん!蛇三匹やったんだからいいじゃん⋯⋯ニートじゃないもん冒険者だもん⋯⋯ぐすん
元神の義妹はというと⋯⋯
今現在、絶賛アルバイト中!
昨日、俺を助けるために仕事を投げ出したらしい
うれしいが、ほめられたことではないため昨日の分も働いて来いと言ったそのため、いつも以上に元気に笑顔を振りまいている
「はぁ、あなたと話すのは時間の無駄でしかありませんので私は私の仕事に戻りますね
あぁ、用がないのであれば出口はあちらですので」
ニコニコしながら含みのある言い方で、出口を手で示す
「あっー」
「それではお気おつけて」
営業スマイルで俺を見送る
俺はもう反抗する気にもならなかった
※
太陽も沈み切り、静まり返った小さな町の路地
薄暗い物陰に月明かりが差し込み影が揺らめく
「むっここが冒険者の町ウィクリフ⋯⋯
ククク、クハハハハやっと着いたぞ
待っていろ、ゴミどもこの私直々にお前らに呪いをかけてやろう」
陰から漏れた声は街に響く
「でさ、そのニートが⋯⋯」
「ふっ、来たか馬鹿な人間どもめ
運がいい、貴様らによってこの町は腐敗するのだからな」
黒い影が一つ
帰路に就く人間へと飛び出した
※
朝日が差し込む早朝
小鳥たちが夜が明けたことを知らせるためさえずり空中でダンスする
人々が鳥たちの声音に聞き入り、可憐なダンスに魅入られている中
宿の一室では悲鳴がこだましていた
「うぐぐぐぐぐっ」
「そんなぁ、お兄様ぁぁぁあぁぁぁぁ」
首を抑えもだえ苦しむ俺の体を、義妹である恋愛神が揺する
「だっ誰がこんなむごいことを⋯⋯」
顔を手で覆う妹の袖をつかみ必死に訴える
「あぁ、お兄様私にお何でもおっしゃってください」
俺の手を取り胸元絵と引き寄せ大事そうに抱える
不快感がまし、変な汗が出始めた俺はのどを震わせ訴えた
「ま゛ほゔ」
「まほう⋯⋯ですね、わかりました」
義妹は少し低めの声で答えた
ゴゴゴゴゴッと地面がうなり空気が振動する
「お兄様もう少しだけ我慢してください
お兄様に対し呪術を使った輩を⋯⋯惚れ薬を無駄にした輩を全滅し、魔法を解いて見せますので⋯⋯」
義妹は悲しげに床に散らばった自作の朝食に目を向け、俺の手をほほにあて立ち上がると部屋の外へと出て行った
いもしない術者を探しに⋯⋯
〜
「ごめんなさい⋯⋯お兄様⋯」
「「「「すみませんでしたぁ!」」」」
義妹に続いて謝る男達⋯⋯
「まさかっ⋯⋯毒薬だったなんて⋯⋯
私はほれ薬だと思って⋯⋯」
少し青ざめた様子の義妹
ベットに横になっている俺は手に持つ瓶をマジマジと眺める
『誰でも1発で落とせる!』
『あなたのターゲットのハートをゲットだぜ!』
『超強力!!』
とまぁ、勘違いするようなキャッチフレーズが書かれていた
俺はゆっくりとため息をつき、男達を見る
義妹の早とちりによってフルボッコにされた方々
服の端が焦げているもの
服が切り裂かれたもの
ずぶ濡れのもの
顔が腫れたもの
皆、異なる方法で理不尽な目にあったのだろう
俺は被害にあった方々の顔を見れなかった
怒っているに決ってる
だが⋯⋯血が繋がっていないとはいえ、義妹の不始末
兄として謝罪し責任を取らなければならない
「お兄様!!」
起き上がろうとする俺を止めようと駆け寄る義妹を拒否し、ベットから降り正座し深呼吸して目をカッと開く
「こっ今回のぉ」
謝るとした俺の視界に入ってきたのは、義妹に命令され嬉しそうに傷ついた体で正座する男たちだった
「さぁお兄様準備ができましたので、ご教授ください
後ろにいらっしゃる方々も聞きたいらしいので、そうですよね?」
「はっはい!もちろん、でございます!」
「ぶひぃ、オデも聞きたい」
「ハァハァ、いぃ⋯⋯」
「くっ、お前らそれでも男かっ
俺は野郎の汚い声なんて好き好んで聞きたかねぇよ」
「なっ!お前逆らうのか!?」
「ぶひぃぃぃ、ご褒美いらないのか軍曹!?」
軍曹?
「俺はこんなお兄ちゃんの話聞きたくなぶベラ」
男の体が中に浮かび回転しながら部屋の壁に激突した
「「「軍曹ぉぉぉぉぉ」」」
「聞きたくないのなら命いりませんよね」
軍曹は血を流しながら、拳を掲げ親指を立て、拳はその形を保ったまま落ちていった
⋯⋯
「軍曹⋯⋯お前っ」
「軍曹⋯⋯おでまちがってだ」
「ハァハァ⋯⋯俺にもご褒美」
そんな3人の声が聞こえ⋯⋯俺は布団を被り耳を塞ぐ
3人の姿は軍曹に敬礼し、アイコンタクトを取り3人で息を合わせ唱えた
「「「お兄ちゃんの話なんか──」」」
その後、俺はその3人がどうなったのか知らない
ただわかっているのは地響きが聞こえ部屋が揺れたことだけ
~
「はぁ⋯⋯」
「お兄様まだ体調が⋯⋯
ささっ、服を脱いで私に抱きつもごっ」
ツッコム気力もない俺は服を脱ぎながら動く口を塞いだ
三日前の件で俺らは有り金全てを宿に支払い今現在(夜)依頼遂行のためモンスターが住まう森の中で野宿していた
ぎゅるぎゅる〜
お腹が鳴き、すきっ腹に響く
唯一の持ち物に手をかけてしまおうかと思うほど俺は腹が減った
義妹から手を離し、はぁっとため息をつく
腹が減った
口から出かけた愚痴を頭の中だけで始末する
ふざけているが義妹も同じく三日三晩何も口にしていないのだ
宿屋の修理費用で依頼遂行で手に入れた金のほとんどは飛んでおり金銭面的に厳しいのは確かだがしかし、一人の⋯⋯小さな義妹の腹を満たす程度の金ならあるのだが義妹は一向に使おうともせず、買ってきたところで食いもしない
そこに俺だけ愚痴をこぼすのは⋯⋯
ちらりと義妹の方を見た、さすがに責任を感じているのか気落ちし下を向いている
「はぁ」
俺はまたため息をつくと立ち上がり義妹の方へと歩みよった
こちらをバツが悪そうにちらりと見る義妹
俺がどんな顔をしているのか分からないが義妹の反応から察するに疲れた顔、無に近い顔をしていたのだろう
義妹は顔を逸らし
「どうされましたか?」
と聞いた
応えることなく、手を義妹に伸ばす俺
義妹はビクッと体を縮めた
「⋯⋯まぁ気にすんな」
頭を撫で、俺は言った
「はい」
最近よく見せるひどくへたくそな笑顔だった
俺は義妹が喜ぶ言葉を知っている
こんな顔されるぐらいなら、言えばよかったのかもしれない
その後俺の口から音が出ることはなく夜が明けた
「読んでいただきありがとうございました」
「ありがとうございました」
「では、今回は作者の私用により後書きはまき──」
「だからあなたはニートと呼ばれるのです
作者が無理ならあなたが考えればいいじゃない」
「いやいや、僕らのセリフ考えてるの作──」
「はぁ⋯⋯
これだから⋯⋯
あなたの頭の中にあるのはただの重し見たいですね
使えないのなら捨ててしまえばいいのに⋯⋯」
「それじゃぁ俺が死──」
「それがなにか?」
「⋯⋯」
「あら、心だけは無駄に働いているようですね」
「⋯」
「それでは⋯⋯
次話 俺以上のシスコンなどいない!
シスコンキモ豚共、鼻血出して喜び悶え死になさい
誰かが死に様くらいは見てくれるでしょう」
「⋯⋯」