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冒険者に役職なんていらない!

義妹の性で異世界に飛ばされました⋯⋯

うっすらと目を開けると、目の前に広がっていたのは木やレンガでできた街並み


「うぉ、すげー」


「ふふふ、お兄様

私のおかげで可愛い妹と異世界旅行というお兄様の夢が叶いましたね!

ささっ遠慮せず私の頭を撫でてほめ──」


「お前のせいで、異世界に行くはめになったんだろうが

それに俺はそんな夢描いた覚えはない!」


ちょんと手刀を頭に乗せる


「いたぃですぅ」


「そうかそうか、じゃいくぞ」


茶番に付き合うのはもうごめんだ


「ほら行くぞ、まずは情報収集しないと⋯⋯

あのナニ神の説明役にたたなかったからな」


あたりを見渡し、優しそうな青年をマーク


「あのすみま──」


「いって⋯⋯」


ぶつかってきたのはスキンヘッドの大男


「あっ、アニキ大丈夫ですか!?」


「あっ、あぁ大丈夫だっぅー」


「あっ、アニキー

これ、腕いっちゃってますよ」


うわー、来てそうそう当たり屋かよ


スキンヘッドは右腕を抑え苦しげな表情をしている


「おい、ワレェ何してくれとんじゃ」


「ウェンディー、いく──」


「きゃーっ、お兄様助けてぇ」


義妹が()()()男達の方に倒れた

男達も、状況が理解出来ていない


「何してんだ、関わるとろくなことな──」


「10万アンク出さないと私にエッチなことをするって言ってますぅ」


当たり屋は顔を見合わせ⋯⋯


「そっそうだなっ、金払わねぇならこのガキを売っぱらうぞ!」


「大事な妹が泣いて助けを呼んでるんだ

さっさと金だしな」


付き合うのも面倒だし⋯⋯

やるのは癪だが、しかたないっか⋯⋯


「いいだろう、これを持って⋯⋯

あれ?あれあれれ」


「どうした!早くしろ!」


「⋯⋯」


まさか、言いかけたのって⋯⋯


「お兄様?」


「⋯⋯(ニコッ)」


「「「⋯⋯」」」


「お金ないや」


「⋯⋯なら有り金全部だ──」


「無一文だ⋯⋯」


「1アンクも⋯⋯?」


「ない⋯⋯」


「「「「⋯⋯」」」」


静まり返る4人

4人の姿を通行人がチラチラと見てくる


「金目のものは?」


「着てる服しかない⋯⋯」


「あっアニキもうそいつ売っぱらった方が⋯⋯」


「バカ言ってんじゃねぇ、見られてんのにんな事できっかよ」


「あのー、無かったことにしません?

義妹返してくれれば許すんで⋯⋯

それで手打ちにしましょう」


義妹は、当たり屋の顔を見て使えないとでも判断したのか男の腕を払い、服に着いた土を払って戻ってきた


「お兄様、怖かっ──」


「当たり屋に加担する義妹を持った覚えはない!」


抱きつこうとする義妹の頭を押し、体に抱きつけないようにする


「お、おい待てよ

何終わった感出してんだよ

まだ終わってねぇぞ

って無視すんじゃねぇ!」


小物が叫ぶ


「もうここで終わらせた方が互いのためだって」


「あっアニキ、こうなったら」


「そうだな、こうなったらやるしかねぇな」


ゴキゴキと指を鳴らし近寄ってくる


「腕抑えてたけど、治ったのかデカ物」


「あ?舐めてんじゃねぇぞガキ」


「ふん、俺とやんのか?」


「ほう、腕に自信があんのか?」


「まぁな、俺は道場に通っていたことがあんだ

テメェらみてぇなチンピラとは違って武術やってたんだよ」


鼻を親指で払いカッコつけ──


瞬殺された


「へっ、なにが俺とやんのか?っだ

そこら辺にいるガキの方がよっぽど骨があるぜ」


「道場言ってたとか武術習ってたとか言ってやしたけどあれも嘘なんじゃないですか、アニキw」


「うぐ⋯⋯」


俺が言ったことは嘘ではない

空手の道場に1週間通っていたのだから⋯⋯

理由は、友人の道場に人があまり来ず1人でも弟子が多くいてもらわなければ新たな門下生が入って来ないから⋯⋯

つまり、客を集めるため芝居をしに行っただけ⋯⋯

自信ありげに言ったのは異世界転移や転生の主人公ってチート級の力とかあって強いじゃん

だからそれを期待したんだよこんちくしょう


「つ、強いなお前ら⋯⋯」


「おめぇが弱いだけだよカス」


頭を踏みつけられる


屈辱⋯⋯


「あのー、ちょっとよろしいでしょうか?」


今まで沈黙を保ってきた義妹が動いた


「や、辞めとけ⋯⋯」


「おめぇはだまってっろっ

なんだい嬢ちゃん」


「少しこちらへ行きませんか?」


義妹が指さしたのは路地裏


「へへっ、いいぜ

たっぷり相手してやるよ」


「アニキ⋯⋯」


「なんだおめぇ、なら俺一人で楽しむぜ」


「やらないとは言ってないっすよ」


「まてっ⋯⋯」


路地裏に3人の影が吸い込まれて行った


「ウェンディー⋯⋯」


掠れた声で呟いた


「はい、なんですかお兄様

まさか、私なんかの心配を⋯⋯」


「え?」


目の前には笑顔の義妹の顔があった


「アイツらになにかさ──」


「あの方々なら、私が可愛いからと有り金全部出して消えましたよ」


ニコッと微笑む義妹の後ろから呻き声が聞こえる


「そっ、そっか⋯⋯」


一滴の冷たい汗が頬を伝う


「あぁ、お兄様傷だらけではありませんか⋯⋯

ささっ、私の唇にキスをするだけで全部なお──」


「やらないよ!」


「なら、人工呼吸をすればなお──」


「なんで俺がする側!?」


「あぁ、お兄様って受けな──」


「人工呼吸がいるほど重体じゃない!」


「では、どうすれば⋯⋯」


「悩むな!痛むけど、回復魔法とかがいるほど重体じゃないから、怪我してないから⋯⋯」


よろよろっと立ち上がる


「情報収集の前に宿屋さがすか⋯⋯」


「それなら私聞いてきました!」


「⋯⋯一応聞こう」


「宿の名前は夢のお城です」


「すみません、宿屋どこにあるか教えていただけませんか?」


「無視は酷いです!」


通りかかった女性に驚かれつつ宿屋の場所を聞きま宿屋に向かった


「⋯⋯」


「ほら、私の言った通り、

宿屋の名前は──」


「他のとこないか探すか⋯⋯」


デカデカと掲げられたピンク色の看板


もう、お腹いっぱいです⋯⋯



「いらっしゃい、おふたり様ですか?」


「⋯⋯はい」


「なんで間を開けるんですか!」


「なら、ベッドが2つあるとこと1つのとこがありますがどちらに⋯⋯」


「ひと、もごっ」


「別々の部屋とかできませんか?」


「あいにく、今先程説明した2種の部屋が1部屋しずつしか空いていませんので⋯⋯、出来ればどちらか一方に⋯⋯」


「もごもごもご」


「ならベッドが2つあるとこでお願いします」


「毎度」


当たり屋から奪った袋から金を取り出し払った

当たり屋も金がないのだろう

ほとんどの金がたった1泊で飛んだ


夢の城を後にし、宿屋のおっちゃんから冒険者ギルドというものがあることを聞き、冒険者となるため向かうことにした


冒険者

それは博打打ちと同じ、名声や金を欲しいままにするため身分関係なく、命を賭して夢を掴まんとする者達がなる職業


「新規の方ですね、ではまず登録料を──」


ギルドカウンターで受付嬢に金を渡す

重みのないただの袋とかしたボロくて汚い布をポケットに突っ込む


「はい、ちょうどですね

ではこの石像の口に手を入れてください」


どこかで見たことのある丸の中にオッサンの顔だけがある石像

だが、何故か目をつぶっている


オッサンの口に手を⋯⋯


「これに、ですか⋯⋯」


「はい」


恐る恐る右手を入れてみた

ひんやりとして冷たい


「これでいいんで──」


ガタン


「なっ噛まれたぁぁ!」


オッサンの上唇が下がり腕を噛まれた状態になった


「安心してください、ただ調べてるだけですから⋯⋯」


「はぁ、ってお前は何をしているんだ?」


「わはしも調べへいまふ」


「やめい」


左手の指を加える義妹から手を取り返し、石像の方を見た


何故だろう、心做しか表情に変化が⋯⋯


「おぇー、まっずっ」


「石像に味覚あんのかよ!」


石像は目を開け俺の腰のあたりを見ると⋯⋯


ガブリ


「いってぇ!何すんだよこのやろ!」


「この石像は女性とイチャつく男が嫌いなんです⋯⋯」


「どこがいちゃついて⋯⋯」


腰に抱きつき頬ずりする義妹


「こいつ義妹だから、兄妹だから!」


唇が元の場所に戻り、不機嫌そうな顔をする石像

手を口から出し、手首を回す


くそっ、瓦礫にしてやろうか


「かぁっ、ぺっ」


石像の口から出てきたのは埃やら土やらがついた1枚のカード


「へっ」


「あのすみません、ハンマーありませんか?

彫刻刀でもいいので持ってきてください」


「あの、なにを⋯⋯」


「シワを10本か100本くらい増やした方がダンディーかと思いましたので⋯⋯」


「⋯⋯⋯」


笑顔で言う僕に引いている受付嬢⋯⋯


「お兄様、次は私がやりますね」


「やめと──」


「えい!」


右手を肩まで全部突っ込んだ


「あが、あががが」


「早く調べてください、石像さん」


ニコッと微笑む義妹の顔を見て

石像の顔色いや岩色が変わる


石像にも恐怖という感情があったんだな

とても勉強になりました


土や埃を払いカードを渡す

子のカードには知力、体力、魔力などのステータスやレベル、名前が載っておりステータスにあった役職を手に入れることができる

ジョブチェンはできるらしいのだが、おすすめはしないとか

よっぽど低い役職しかなれなかった人がスキルポイントを使わず取っておくのであればした方がいいとか


「関崎 奏さんですね、あなたは──」


「俺は⋯⋯」


「遊び人と村人、肉壁にしかなれませんね⋯⋯」


「どんな役職だ!なんだよ村人って⋯⋯

冒険者じゃないじゃん!

それに肉壁って、人じゃなく肉扱い!?」


「この中では、村人が1番いいかと⋯⋯」


「遊び人も一応有名なゲームでは役職の1個なんだけどなぁ

なんで村人の方がいいんですか?」


「遊び人はですね、いつの間にかお金が無くなるという悲しい役職なんです⋯⋯

知らない間にお金をたまに変えスナップの修行をしたり、お金をメダルに変え回転する絵をボタンを押し揃える、動体視力の修行に使ったりしてしまうのです」


「それただのギャンブル依存症じゃん

遊び人てか、病人じゃん

なにが修行だ、ただス〇ットやパチ〇コしてるだけじゃねぇか!」


ツッコミを入れる俺の服をチョイチョイと義妹が引っ張る


「お兄様!」


「どうした?」


「伏せるところが違います!

ンではなくパを伏せ──」


「お前はなんの話しをしてんだよ!」


話についてけない⋯⋯


「あのー、病人って役職もありますよ」


「それは役職じゃねぇだろ!」


いらないフォローを入れられギルドでツッコミまくる俺は次第に注目を集めていた


「はぁ、あの、選ばないって選択肢ありますか?

役職保留みたいな」


「あぁ、できますよ

このギルド始まって以来、初のニート冒険者誕生ですね」


「なんで喜んでんだ、ニート産出とかダメだろ!」


カードを返してもらい、表記をみる

役職の欄には棒線が1本⋯⋯

学生からニートへと転職⋯⋯

なんでだろ、外は晴れてるのに雨漏りが⋯⋯


「はい、今度は私のをお願いします」


「わかりました、少しお待ちく、えぇぇ!」


受付嬢が大声を上げる


「どうしました?」


「あっ、あなた達本当に兄妹ですか⋯⋯」


「えっ?」


血は繋がってないけど⋯⋯

兄妹だよ⋯⋯、うん⋯⋯


「関崎 望さんあなたの役職は──」


あれ?名前⋯⋯


「エンペラーメイジ⋯⋯

魔法使いの最高ランクの役職が出ています」


「えぇぇ!」


「エンペラーメイジなら、全ての攻撃系の魔法は取得可能で、スキルポイントもほぼいりません

この役職は魔王に匹敵するほどの力があると言われています⋯⋯」


「へー」


なにこれ⋯⋯

神様だからか⋯⋯


「魔法使いであればどのランクの役職でも、なれます」


興奮気味の受付嬢に、義妹はニコニコしながら興味なさげに──


「なら、エンペラーメイジで」


ギルドないがシーンとしている


「お前凄いんだな⋯⋯」


名前の件など吹っ飛んでしまった


「お兄様ぁ、もっとほめてくださぁい」


抱きついてくる義妹


「もう、お前だけで魔王倒せるんじゃね⋯⋯」


そんな時浮かんだ疑問


自分を連れてくる意味などなかったのではないか


「俺いらなくね⋯⋯」


初日のうちに心が折れそうです⋯⋯

「読んでいただきありがとうございます」


「ありがとうございます」


「はぁ、ウェンディー次回予告よろしく⋯⋯

俺、今日はもうツッコ厶元気もないや⋯⋯」


「えぇ!お兄様!次は私達に取って大事なお話なんですよ!」


(嫌な予感しかしない⋯⋯)

「なんだ?」


「ナニってそれは⋯⋯(ポッ)」


「なんで頬を染めんだよ!」


「次回変神、義妹が可愛すぎるのに我慢できるはずがない!読んでくださいね」


「んなタイトルなわけないだろ!」


(もう閉めないと、変なことになる⋯⋯)

「次──」


『次話も呼んでくださいね』



「お前が閉めんのかよ!」

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