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怖い話ねぃ。

実話怪談を集めたって本は結構読むけど、実際に聞かれたのは初めてだよ。

でも、あれだろ?本にして出すときって、プロが文章直すんだろ?素人の語りをそのまま載せてるわけはないよな。

前にネットで短い怪談の募集があって、みてみたら主催者が文章を「ここが駄目」と添削しまくっていて、興ざめしたよ。

まぁなぁ、俺もここまで生きてきて、そりゃ不思議な経験の一つや二つはあるよ、でもさ、今になって思い返すと、事の不思議さそれ自体より、なんであのときの俺はあんなこと思ったのかなとか、何も感じなかったのかなとか、自分のことなんだよな。

子供のころさ、一度夏休みに、じいさんの家に預けられたんだけどさ、その家に連れて行かれたのは一度だけなんだよ。

後になって、父方の親も母方の親も全然違う人だってのが解って、知り合いの人に預けられたんだろうけど、親とその人がどんな関係なんだか解らないんだよ。なんか聞けなくて。

なんで預けられたのかも解らん。単に仕事の都合だったのか、夏休みにどこにも連れて行けなかったからなのか、よく解らないんだけどさ、そういう、親のよく解らない行動がどうってより、その時の俺が何も気にしなかったことのほうが、まぁなんというか。

車に乗せられて山の中に連れて行かれて、じいさんから「よく来たな」と言われて。

じいさんしかいないんだよ、その家。別にいじめられもしなかったしちゃんとご飯も作って食べさせてくれてお風呂にも入れてもらって、ふーんと思うだけで他には何も思わなかった。

今の俺にとってはそっちのほうがよっぽど(なんだかなぁ)だよ。

親は俺を置くと、すぐに帰っていったよ。

でさ、こういう環境って、離れているにしてもご近所さんっているとか、同じくらいの歳の子供がいてとかさ、あるもんじゃない。

だーれもいないの。周りには。

翌朝ご飯食べ終えると、じいさん仕事があるらしくていなくなって、俺もそこら中歩き回るんだけど、誰一人会わない。暑いから玄関も雨戸も窓も、開けっ放しだし、そのまま外に行っても何も言われない。泥棒だって来ないんだよ。

さすがに火事は起こさないように、火には触らなかったけどね。ガスもつけなかったしマッチも擦らなかったし。

冷蔵庫から麦茶だして飲んでたから、電気は来てたのか、熱い飲み物は自分で飲んだ記憶はないな、電気ポット、あったかな。


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