第一話。「脱出開始」
少女は目が覚めた。
ここは何処だろう。
ボーとする頭で辺りを見回す。
段々ハッキリしてゆく意識。
「あー!。私又さらわれたのね」
彼女の名前は桃姫子。16歳。とある良家のお嬢様である。
世界一さらわれる少女。
そして世界一脱出が得意な少女でもある。
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冷静に今居る場所を確認する。
どうやら六畳位の部屋の中らしい。
部屋の中には何もない。
出入りするドアもない。
姫子は壁、床を念入りに確認する。
そして綺麗な黒髪を束ねている、髪飾りをそっと髪から外し左腕に取り付ける。
髪飾で壁、床、天井をサーチする。
すると少女の目の前に浮遊するディスプレーが浮かび上がる。
少女は表示されている各項目を確認してゆく。
「ようやく部屋の確認が終わったわ」
少女は小さくつぶやく。
「はー。これで何回目かしら?」
少女の声にディスプレーから返事がくる。
(これで丁度100回目です)
「そっかもうそんなにさらわれたのね」
「記念すべき100回目。今回も無事脱出するわよ。アシストよろしくね?」
(お任せ下さい姫)
声の主は髪飾りに内蔵された姫子専用装備、髪飾り8号である。
とにかく良くさらわれる姫の為王国の技術者が開発したサポートコンピューターだ。
改良を重ね現在8号である。
そんな技術があるなら姫子をしっかり警護しろと言うツッコミが聞こえるが、その辺は又後日。
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「この部屋の位置をおしえて?」
(高度100メートルの塔の最上階にいるようです)
「では始めましょう。作成ツール起動」
(起動しました)
「梯子作成」
(作成開始します)
すると姫子の前に天井まで届く梯子が現れた。
姫子は梯子を上ると天井を再度サーチする。
「やはり天井に通風口があるわ」
通風口は人間の目では見えないよう偽装されていた。しかしサーチによりバレバレである。
「ツール作成」
(作成完了)
姫子の手に一つの工具が握られていた。
薄いナイフのような工具だ。
姫子はサーチした天井の通風孔に差し込み蓋を外し、天井の穴に左手を差し込みサーチする。
「どうやらこのまま外には出られない様ね」
(通風口内部安全確認出来ました)
「では進みましょう」
姫子は横穴をほふく前進で進む。10メートル程で行き止まりになる。
そこから縦穴になる。
「ワイヤー、グローブ作成」
(作成完了)
姫子はワイヤーを引っ掛け縦穴をゆっくり降下してゆく。
途中に金属製の網があり、最初に制作したツールで外す。
左手をさしいれサーチする。
(塔の中の階段です。現在最上部から15メートル降りました。付近に警備の人間は居ません)
「これ以上は腕力がもたないわ階段にでましょう」
姫子は階段に降りる。塔のなかをぐるりと回る螺旋階段だ。
「武器作成」
「スタンガン拳銃型」
(作成完了)
姫子はスタンガンを右手に構え、階段をゆっくり降りてゆく。
階段を下りてゆく姫子。
しばらく行くと階下から声が聞こえ階段が終点になる。
「サーチ」
(ここからは部屋のある階層になります。各階に階段があります。ディスプレーに配置図を表示します)
姫子はディスプレーを確認しこの階の様子を探る。
「どうやら警備は4人ね。廊下に二人、階段の前に二人。ここからが本番ね。」
気合を入れ廊下に出る。
処女作です。ゆっくり連載してゆきます。よろしくお願いします。