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第壱話:祭具神社

シリアスなコメディーを書いてみました。

描写が苦手なので読みにくい表現や誤字、脱字等があるかも知れませんが。

最後まで、お付き合いください。

どこまでも続く、真っ暗な空間。

全てを包み込むような闇。

その中に、一つぽつんと白と赤が浮かんでいる。

それは、かつては人だったが、今では人とは形容しがたいモノだった。

暗闇の中で人だったものは今では、死んでしまった動物のようにも見える。

かろうじて、赤と白の服……巫女の服だけがソレがかつて人だったと示している。


………………………

………………

…………



「……なぜだ?………なぜ、ここに動物がいるのだ?……」


暗闇の中で人が……いや、人ではない人がソレを見つけた。

人ではない人は、何千何万もの時を生きた。

……生きたという表現は正しくない、正確には生かされたと言うほうが正しい。

人ではない人は、ありえないものを見た。




ここは、全ての動物に忘れられた場所。

ここは、全ての始まりの場所。

ここは、全ての終わりの場所。




「……なぜ、だ…」


人ではない人は混乱していた。

この場所は、私が自分で自分の罪を償う場所。

だって、

私は…………

私は、全てを間違えてしまった。

私は、全ての罪を犯してしまった。

私は……わたし、は…………。


「………まさか…あなたなのですか?……」


どこまでも、続く暗闇の中に人ではない人の声はよく響いた。でも、すぐにその声は暗闇の中に溶けて言った。まるで、全てを包み込むかのように。


「あなたは、私に何を望むのです。………私はここで罪を償います……邪魔、をしない、で」


人でない人は、最後には涙を流しながらそうつぶやいた。

そして……………消えた。


最後に残ったのは、どこまでも続く暗闇と亡骸だけ。



…………………

……………

………


まだ、ほの暗い日の出前。


「ん、ん〜〜」


そんな中、一人が活動を始めた。


「……いま……何時だ………?」


もう6月なのに、早朝のせいなのか少し肌寒かった。

布団にまるまったままで一樹かずきは、手を伸ばして枕もとの目覚まし時計を取った。


「まだ、4時前かよ…」


一樹は、ゆっくりと体を起こして大きく体を伸ばした。


「ちょっと、早いけど起きるか」


一樹は、腰まで伸びた黒い髪を後ろで縛って部屋を出て行った。


side-kazuki



俺は、この水島町に昨日引っ越してきた。水島町は、人口5000人の田舎町だ。

今いるこの家は昔は祖母が住んでいたが、祖母が死んで以来空き家になっていた、そこに俺だけが引っ越してきた。前にいた町は、住みにくくなってしまった。

だから、俺はこの町でもう一回がんばってみようと思ってここに引っ越してきた。


「……やべぇ。まだ電気もガスもきてねぇや」


つーか、食材もねぇや。どうする俺。


  1・水と空気

  2・スーパーに行って、食材を買う

  3・餓死


いやいや、脳内先生(冷静な自分)よ3番はないって。

でも、どうするか………。まだ、スーパー開いてないよな。

………よし!!コンビニ行こ。



…………………

……………

………



「…………」


さすがだよ……、…さすが田舎……。


「………24時間、やってねぇ」


開店が10時って、しっかりしろよ。しかも家からここまで歩きで30分って………。

さすが田舎。ああ〜空気がうまい!!俺もう、腹いっぱい。


「なるわけねえだろ!!」


朝から、テンション高いな俺。


「あの〜どうかしましたか?」


俺がほぼマジギレしてると後ろから急に声をかけられた。

チョットマテ。今、俺ヤバクナイカ?

今、自分自身を客観的に見てみると俺ってすご〜く怪しくないか。

時間は早朝、開店してない店の前でマジギレしてる。変人か泥棒の二択だな。


「…………」


俺は、ゆっくりと声の方に向いた。


「?」


そこには、自分と同じくらいの年(15〜17歳くらい?)の少女がいた。

髪は白髪とは違って生き生きとした白で後頭部でくくってポニーテールにしていた。目はややたれ目で、ほんわかした空気を作り出してる。


「あの〜、なにかあったんですか?」

「ベツニ、ナニモナイヨ」

「??」


どうするかな。考えろ、考えるんだ。死んだじっちゃん俺に知恵を貸してくれ。

(注意:一樹の祖父は生きてます)


「ここ、まだあいてませんけど。こんな時間にどうしたんですか?」

「ごめんなさい、刑事さん。出来心だったんです。」

「???」


あっちも、混乱してきてるな。そろそろ、正直に話すか。


「いや、引越したばっかで食いモンとかなかったから買いに来たけど開いてなくてな」

「じゃあ、あなたが今度この町に引っ越してくる人?」

「たぶんそれであってる」

「はじめまして。私、神宮じんぐうまつり。よろしくね、え〜と」

「一樹」

「よろしくおねがいします、一樹君」


そういって祭は、深々と頭を下げた。


「こちらこそよろしくな、祭」


俺も、つられて頭を下げた。


「そういえば、一樹君。引っ越したばっかりで食べ物が無いんだよね」


そう言って祭は俺の顔を下から覗き込んできた。

俺の身長は170ぐらいだけど、祭は160ぐらいしかないので少しだけ上目使いになる。

こいつ、さっきは気付かなかったけどかなり美人だな。

どっちかって言うと可愛い系の美人だな。


「ああ、だから30分かけてここまで来たんだ」


さっきから、俺の腹が飯を要求してくる。


「じゃあ、うちに食べに来る?」

「…いいのか?」


さすがに、今日会ったばかりの人を家に招くのは無用心じゃないか。


「うん!!遠慮しなくていいよ」

「んじゃ、ご馳走になるわ」


…………………

……………

………


「…ここがおまえんち?」


コンビニから10分ほど歩いた所に長い石段があってそこを上りきると、大きな神社があった。


「そうだよ、びっくりした?」


神社は不気味なほど静かで、どこかに本当に神様でもいるんじゃないかと思わせた。


「祭の家って神社だったんだな」

「そうだよ、私はここの巫女なんだよ」


祭の話によると、ここは祭具さいぐ神社。この村の守り神シンキ様をまつっているらしい。


「そういや、何でこんな時間に祭はあんなとこにいたんだ?」


ふとに気になって聞いてみた。


「なんでもないよ」


祭はそれ以上聞いて欲しくないみたいにあきらかな拒絶をしてきた。何があったか知らないがこれ以上は聞かないほうがいいだろう。


「…………」


俺は、肯定も否定もできないまま祭の後について行く。

そして、神社の裏にある普通の民家についた。


「いらっしゃい、一樹君。ちょっと待っててね、今すぐご飯の準備するから」


そう言って、祭は玄関から台所に向かっていった。


「祭、親御さんは?」


家の中からは人の気配が無く、神社と同じように不気味に静かだった。

まだ、早朝のせいなのか家の中は暗かった。


「………私ねここで一人暮らししているんだ」


祭はそれだけ言うと、台所に行ってしまった。詳しくは聞いて欲しくないのだろう。


「…………俺…地雷踏んだか………」


静かな家の中でそうつぶやいたが、すぐに、静寂に戻ってしまう。

玄関にいても仕方ないので俺は、祭の向かった台所に向かった。


「………おじゃまします」


台所につくと、祭がてきぱきと料理の準備をしてた。これは、余談だが祭のしているピンクのエプロンが反則的なまでによく似合っていた。


「そこに座ってて。今日の朝ごはんは焼き魚だよ」


祭は、ものすごく綺麗な笑顔でそう言ってきた。俺にはそれがさっき俺が聞いてしまったことを必死に隠そうとしてるようにしか見えなかった。


…………………

……………

………


「ごちそうさま」

「お粗末さまでした」


祭の作った朝ごはんはとてもうまくって、10分で完食してしまった。

ちなみにメニューは焼き魚、味噌汁、白米、ぬかづけ。ビバ、和食。


「祭、料理うまいな」


さっきまでいろいろと気にしていたが、そんな必要が無いくらいに今は素直に料理の腕前をほめられたのがよっぽど嬉しかったのか、屈託の無い笑顔を俺に向けている。


「そんなことないよ、これぐらい一人暮らししてればできるようになるよ」

「なら、俺もいつかこんなに料理うまくなんの?」


無理だろ。俺は、かなりの不器用だぞ。

塩と砂糖を平気で間違える男だぜ、自慢じゃないけど。

(注意:自慢になる要素がありません)


「たぶんなれるよ」


そういって、またにっこりと俺に微笑んでくれた。やっぱ、祭かわいいな。


「………なんつーか、癒し系?」

「?いきなり、癒し系がどうかしたの?」


いかんいかん、口に出てみたいようだ。


「なんでもない、その冷蔵庫が癒し系だなとおもっただけだ」

「………………」

「………………」


とっさに、台所にあった冷蔵庫を指差して言ってみた。

………俺、危険だな。どこにでもあるような冷蔵庫を指差して、癒し系はないだろ、他に誤魔化す方法は他にもあっただろ。


「一樹君て、なんかちょっと変わってるね」


さっきまでの笑顔が急に不審者を見る目に変わってる。

やめてくれ、そんな目で俺を見ないでくれ。自分でもこの誤魔化し方はイタイなって思ってるんだよ、これ以上俺を攻めないでくれ。


「で、でもそういうところも私は、面白いと思うよ。…うん」


無理やり自分を納得させた感じだな。無理にフォローしなくてもいいよ。

余計に傷つくから。


「そ、そういえばさ、一樹君って年いくつ?」


ありがとう祭、話題をかえてくれて。


「俺は今年で17歳。だから、高校2年生」

「なら、私と同い年だね。ここからだと……水島高校?」

「そう、そこの学校に明日か登校することになってるよ」


水島高校は、この町にある唯一の高等学校で全生徒が300人ほどしかいない学校だ。


「私もそこの学校だから、一緒のクラスになれるといいね」

「だな。俺も知り合いがいると心強い」


おっと、もうすぐ7時半になる。そろそろ引っ越し業者が来る時間だな。


「そろそろ、自分ちに帰るわ。飯ありがとな」

「どういたしまして、また明日学校でね」


俺は、おれいを言って。

自分の家に帰った。








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