9＊運命の体現者
時間が止まり、
概念が静止した。
式で成り立つこの世界に訪れた静寂。
虚無へと同期するそれは絶界にも等しい。
形あるものはいずれ壊れる。けれど、その瞬間がいまであったのかは疑問でしかない。
「私が、もっと上手くやっていれば。結果は変わったものになっていたかもしない.……」
後に運命の意思そのものとなる者は途絶える世界の中心で最後に思う。
(もし、これが悪い夢なのなら早く覚めて欲しいと……)
そして願った。
(もしやり直せるのなら今度は絶対に失敗はしないと……)
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言葉にならない音が聴こえてくる。
それが何を言っているのか理解など到底できない。
多分言葉などではなく それはただの音なのかもしれない。
意識が徐々に薄れていく。
それでもまだ音は止まない。
その音はまた繰り返される。
そしてまた繰り返される。
そしてまた繰り返される。
そしてまた繰り返される。
何度も……何度も……,。
やがて意識がなくなってくる。
音も静かになるように遠くなる。
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そしてやがて自分の意識かなくなるとともに、音も聞こえなくなる。
そうして再び意識を取り戻したとき。
