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星図盤上のエデン   作者: 絶望の裏の対なる存在
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4*永遠の世界 観測者・バイアス=ザ=ワールド

この世の全てのものは互いに観測することで確かめ合い、互いの存在を認知することで存在が確定する。

故にこの世界そのものに独立した現実は存在せず、全ては観測による認識から生まれる揺らぎ。

個という存在は質量によって仮想上に成り立ったものに過ぎず、全ては全ての物質と共有してこの世が成り立っている。

存在という概念は識別にしかならず、全ては観測によって初めて成立する。



ただ、観測者がいなくても、私がいなくても、

世界も、

あなたも、

そこに変わらず在る。


目を開けていれば、

そこに在ると。

目を瞑ると、

無になると。

要はそれだけの単純なこと。

「この物語も……もうダメねーー」


青空に投影された巨大な鏡。

地上一面に咲く向日葵の真ん中で、仰向けになり私はその鏡を覗き込む。


【世界から隔絶された場所:鏡庭園(ミラー・ガーデン)


私はここをそう呼んでいる。自分が何者か? そう考えたことはいままで数えきれないほどある。けれどその答えは出ていない。


(この世界はいつも同じ風景だし、私以外に生き物は存在しない、というより見たことがない。この向日葵の咲いた風景がどこまでも果てし無く続き、青色の大空がどこまでも広がっている。空に雲は無く、風も吹いていない。暑さも寒さも感じないし、空腹も感じない。たぶん時間も存在していない。ここはまるで静止画の中の様。たくさんの向日葵と巨大な鏡が空に存在しているだけ)


その鏡に映る光景には動きもあり音も存在する。そこに映し流れるのは此処とは違う世界の様子。音は私の脳内に直接流れてくる感じ。そこに映し出される出来事や情景、物事、感情、欲求。そういったものが私の知識となる。私はこれを物語と呼んでいる。

誰が私にこれを()せているのかは知らないし、わからない。でも、ここに映って流れている世界の様子は現実に起こっていることだと思う。確信はない。けれど脳内に伝わってくる音や振動は、私がそこにいて感じているかのような現実味がある。

ただ、そこでどんなに理不尽な出来事や悲しい出来事。辛い出来事。

また、どんなに楽しい出来事や嬉しい出来事。幸せな出来事。

そういうのが視えても、私にはどんなに頑張っても干渉することはできない。

どうせ全てが目を瞑れば無になることもわかっている。


「……所詮、私はただの観測者に過ぎないし」


私はそう呟いて、静かに目を閉じることにした。


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