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1*界現視(かいげんし)の老人と少年・アス=ミライ
「お前ももう15歳になるのかのぅ?」
虹色の瞳の老人が僕に言う。
「ーーはい」
僕が応えると老人は雲一つない青空を仰ぎ見ながら呟いた。
「アス。お前もそろそろ『世界』を造ってみてはどうじゃ?」
「はい」
もう一度さっきと同じ声音で僕は答えた。
そして老人は僕にはわからない言葉で詠唱を始めた。
するとその手のひらには透きとおった色の球体が現れ始める。
「アス。これが世界の元 (スフィア)じゃ。よく見るんじゃぞ」
人指し指でその球体を僕に示した。
「この澄んだ色を白に変えるか黒に染めるか、それはお前次第じゃての。この始まりの色をよ〜く見て、決して忘れずにするんじゃぞ」
僕は頷いて、その球体を老人から受け取った。
これが、世界を現し視る者『界現視』の力。
1*プロローグーー界現視の老人と少年ーー