友人への告白
「ごめんなさい。でも、好きになっちゃったの……」
ああ、やっぱり。
莉桜が一瞬で凍りついたのがわかった。
「これだけは、どうしようもないの。……あの、ごめんね?」
「それは、あたしの気持ちをわかってて言ってるんだよな」
今まで聞いたことのないような、低い声。莉桜、怒ってるんだろうな。
「うん。莉桜がずっと藤井くんのことを好きなのは知ってる。だから、ごめん。……でも、あなたとは今まで通り、友達でいたいの。……お願い」
「ばかじゃねーの。友達?フン、笑わせんな。……今日から、あたしとあんたは敵だよ」
「そんな……」
「わかったなら、これからは話しかけてくんな。いいか、わかったな?」
う、うん……。
私にはそう呟くのが精一杯だった。そうしないと、目からなにか、熱いものがこぼれ落ちそうで……。
私と莉桜が初めて会ったのは、いつだったのか、もう、覚えてない。とにかく、物心ついた時には一緒にいた。莉桜はちょっと気の強い性格だから、勘違いされやすいけれど、本当はとても優しい人だってことを、私は知っている。
そんな莉桜から、藤井くんのことが好きなことを明かされたのは、たしか幼稚園の時だったと思う。
そう。驚くほど一途なのだ。莉桜は。
私の大切な友達の恋。もちろん、応援していた。でも、高校に入ってからしばらくした頃、だんだんその気持ちは変わっていった。
応援、できなくなってしまったのだ。
最初はそんなことない、と自分に言い聞かせていた。けれど、だんだんそんなごまかしも効かなくなっていった。そして、ようやく、私はこの気持ちを認めた。
それからというもの、悩みに悩んだ。
藤井くんが好きだ。これはもう、どうしようもない気持ち。
莉桜と友達でいたい。これも、どうしようもない気持ち。
この二つの気持ちを両立させようだなんて、私のわがままだってわかってる。けれど、どちらかを選ぶなんて私には決められない。
そして、今日に至る。
……でも、敵だなんてひどいよ、莉桜。今までの関係でいられないとしても、もっと他にはないの?
私たち、友達……でしょう?