もう、こんな目などいらない
「うるさい!バカ!このババア!」
1人の少年が言い放った瞬間そこをトラックが横切る。
「またやってしまった。」
ぽつりとつぶやいた1人の少女。ババアと言われていたがピチピチの17才である。名前は佐倉楓
彼女は10分以内に死んでしまう人がわかってしまう目を持っていて、それを彼女の意思とも関係なくいってしまうのだ。
死因はわからない。10分以内のいつかもわからない。それを本人に伝えても彼女も本人も運命を変えることも出来ないのに。
しばらくしてパトカーと救急車が来るが少年はすでに肉片と化しており、トラックも少年を引いたことを知ってか知らずかもうその場にはいない。
「あ、そこのふとっちょのおまわりさん、もうすぐ死んでしまいます!」
叫んだ時には遅かった。――遅くても関係はないのだが。警官は転び、腰につけていた銃も転がり暴発し頭部を貫く。
「今日も人が死んでいく・・・・・・」
血を流す警官を頭を抱えながら見つめる楓。
「ちょっと君、いいかな?」
死んだ警官と同行していた男に話しかけられる。
「あぁ、もういやだ・・・・・・」
楓は遠い目をして男についていく。さしずめ、職務質問をされる、今月だけでも何回目だ。なんてことを考えているのだろう。
パトカーに連れ込まれる楓。そんな彼女は生まれた時からではなく、つい二か月前にこの目を手にしてしまったのだ。
なんてことのない日曜日、覚えのない包みを開けたとたん。こんな目になってしまった。
警官を説得した楓がパトカーから出てくる。「それじゃあ、気を付けてね。」という言葉を背に元の進路に戻っていく。
今日こそ死体を見ることなくたのしくモールで買い物をしようと、特にそうならない根拠のない決意をして家を出て7、8分歩いたとたんこれだ。
「今日は大丈夫だと思ったのになぁ。」
この二週間、実は毎日人の死ぬ現場を予知し、予告し、見た。4日5日したころには家にこもるようになったが何かが吹っ切れたらしい。
「それに二人も連続で、またグロい死に方するし。」
ぼそぼそと独り言をいう彼女。
なぜ彼女の周りでよく人が死ぬのか、なぜ彼女にこんな目がついてしまったか。その真実も包みの送り主も、誰1人わからない、知らない。
「あー、もういい!さぁ!楽しく買い物するぞ!・・・・・・はぁ。」
そう、空元気を出しながら歩みを強める。
彼女はこれから、いつまでこの目と付き合わなければいけないのだろうと考えながら、道を歩く。深いため息をついて。