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短編集  作者: Teacup(紅茶)
2/6

恋人じゃあるまいし。

「じゃあかえろっか?」私はそう言ってリュックサックを背負いながら君を誘う。


「おう、いこうか。」いつも通りの放課後の帰り道。小学校から腐れ縁の君と二人で帰るのが楽しみである。


「ん。」 「あぁ。」


そうやっていつも手を差し出しあって、手をつなぎあって帰る。学校から家までの少しの間、そうして帰る。一昨年の梅雨から始めた。


「やっとあったかくなってきたね。」なんて話しながら歩いていると君が、


「そういえばなんで、手をつないで帰ってるんだっけ?」


そんなことを聞いてくるので、「んー?なんでだっけぇ?」とはぐらかして答える。


確かに、幼馴染だといっても私たちは恋人同士ではない。

この二年間そうしていたが、ついに私の好意に気づいてくれたか、と期待しながら


「んー、入学したての時はしてなかったよねぇ。なんでだったかなぁ?」緊張ですこし握る手が力んでしまう


「俺も思いだせないよ。でも俺たち恋人になった覚えはないよな。お前はいいのか?」君の手の力が少し強くなる。


「んー、いいんじゃない?別に好きな人がいるわけでもないしさぁ。」


本当は好きな人、きみだけど。そう思いながらいう。

続けて君が言う。


「学年で俺らが付き合ってるって噂になってるの知ってるか?」君の手の力が少し強くなる。


「うん、知ってるよ。時々友達にも聞かれるけど一応否定してる。」君の手の力にびっくりして力が緩む。


君はそんな私を安心したようにみて、そうか、というので私は、


「まあ、私は君と付き合うのも悪くないと思うけどねぇ。」と、暗に好意をつたえながらもう一度手を握り返してやる。


「俺もそう思うよ。けど俺たち付き合っても今とそんな変わらなそうだな。」君はそう笑いながら握る手を緩めた。


私は少し残念に思いながら


「そうだねぇ。変わらなそう。」という、握る手の力が緩んでしまう。


「まぁ私はしばらくはこのままでいいかな。」「俺もだ、まったく気が合うなお前とは。」


気が合うなんてこと、私の気も知らないで。


家の前に着いて、手をはなす。


「じゃあ、また明日。」「うん、またねぇ。」


いつも通りに分かれる。私の初恋はまだまだ続きそうだった。

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