ある料理を始めた娘の話
今日は母さまのお手伝いに挑戦です。今まで小さかったからって、手伝わせてくれませんでしたが、今年で片手で数えられる年を越えます。わたしもちょっぴり大人になりました。
母さまの指導の下、玉子焼きにチャレンジです。父さまみたいなふんわり玉子焼きを作って見せます。
母さまの方が張り切ってる気がするけれど、どうして?
タマゴをいっぱい用意して卵割りから挑戦です。いっぱいを育てることになったので、いっぱいとれるようになったんだそうです。
「やってみる?」
母さまに促されてタマゴを握ります。
え~と、皿のとがったことこにぶつけて表面に傷をつけてから、その傷に指を入れて割るんですよね。
父さまも心配して見に来ているけれど、心配ご無用です。イメージトレーニングは完璧です。
皿の角に卵をぶつけてヒビを入れます。
--グシャッ
あれ? どうして? 潰れてしまいました。力の入れすぎかな?
「殻を取り除けば、大丈夫よ。もう少し優しくね」
母さまが手本を見せてくれるけれど、簡単そうにやっています。
なかなか上手くいきません。悪戦苦闘していると父さまも手本を見せてくれました。
「ヒビを入れる時は角じゃなく、平らなところに打ち付けるんだ」
あれ? 平らなところで良いの? 何で母さまが驚いてるの?
「慣れると、こうできる」
父さまは片手づつ2個同時に割っている。カッコイイ! すごい!
いつか、わたしもやってみたい。でもまず両手で割れるようになることからですね。
父さまはどこかへ行ってしまい、母さまと玉子焼きに挑戦です。
大きなお鍋しかありません。のぞき込むと、そのまま身体が入ってしまいそうです。
油を入れて温まったら、乳と混ぜと砂糖・塩で味付けした卵を流し込みます。危ないからと、母が後ろから抱きかかえてくれます。
後ろの母さまとおしゃべりをしながら、長い棒でかき混ぜます。
戻ってきた父さまがわたしを抱きかかえて、母さまを叱ります。どうしたのかな?
母さまはしょんぼりしています。代わって、父さまが率先してやり方を指示します。。
今度は鍋じゃなくて、わたしの顔の半分ほどもあるお玉を鍋代わりにして挑戦です。これなら母さまの手を煩わせることもないね。ひとりだとかまどの位置が高いので、踏み台を使ってやってみます。
大きな鍋と違ってすぐに熱くなるので、手早くかき混ぜないと焦げてしまいます。
父さまの作る料理はすごく美味しいから父さまが直接教えてくれるのは、とても嬉しいです。あっ、でも・・・母さまやみんなの作る料理が不味いって事じゃないからね。
だから、元気出して、母さま。
数日後、父さまが包丁も作ってくれました。
「ありがとう! 父さま」
よ~し、期待に応えて頑張っちゃうからね。すぐに上達して父さまと母さまをビックリさせよう。