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要らぬ気づかいをする女の子の話


 ある日、領主様が大きな豚を買ってきました。

 うわ~、スゴイ。小さい子はその大きさにビックリして涙ぐみます。

 けれど、すぐに慣れてしまっておばさまがはぎ取った豚の顔をお面のようにして遊んでいます。


 領主様はいっぱい食事を作ってくれます。今回も、豚を丸ごと買って、私たちに振る舞ってくれます。

 私を含めみんなたくさん食べるけど、大丈夫でしょうか? 私たちがいっぱい食べるから領主様がお金に困ってないのか、不安です?

 少し前まで、領主様は毎日忙しそうにお仕事をしていました。

 私たちのせいで、領主様は毎日いっぱいお仕事しなくちゃならなくなったんじゃないのでしょうか?

 みんながいっぱい食べている中で私が遠慮して食事を残すと、領主様がさらに肉を盛ってきました。

「好き嫌いするんじゃない! 栄養バランスも考えてるんだから、ちゃんと残さず食え。でっかくなれないだろ」

 思わず、心配で領主様を見上げてしまいました。本当に大丈夫なのでしょうか?


 屋敷のみんなでその豚を食べていますが、私の心配をよそになかなか減りません。

 当り前ですね。だって、元々大人の人より大きかったんですもの。

 毎日同じメニューで、心配したのか領主様が味の感想を聞いてきます。初めての日より今日の方が美味しい気がしますけれど、せっかく作ってくれたのにそんな失礼なことは言えません。

「え~と、領主様の作るものは何でもおいしいです」


 あくる日、領主様が骨を煮ているのを見つけます。肉じゃなくって骨だけですよ?

 やっぱり、お金なくなっちゃったのでしょうか? 大変です。



「はぁ~、エビが食いたい」

 領主様がつぶやくのが聞こえました。


「ねえ、えびって何ですか? 知ってます?」

 その場にいっしょにいた男の子に訪ねてみます。私はその『えび』って、どのようなものか見たことがありません。

「川にいるカラの付いたしっぽがくるっとしたやつ」

 男の子の説明は分かりにくいです。食べられるのでしょうか?

「う~ん。一度食べたことあるけど、泥臭かった。腹減ってなきゃ食いたくない。同じ川でとるなら、魚の方がうまい」

 でも、領主様が食べたいって言ってるのですから、どうしたらとれるのか教えてください。

 彼を含めてみんなでえびを捕りに川へ行きます。

「水草の中にいるっぽい」

 そう言いますが、いっしょに来てくれた男の子は他の子と水遊びしていて手伝ってくれません。

 遊び終わっても「えびよりも、魚を捕まえようぜ」と手伝ってくれません。

「これでしょうか?」

 それっぽい生き物を捕まえる度に他の子に聞いて探します。泥だらけになってなんとか、やっとえびを捕まえることができました。



 ちょっと大変だったけれど、喜んでくれるでしょうか? 領主様。


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