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ある料理人卵の話


 今年で10才になりました。料理人を目指す女の子です。いつかはお父さまを越える料理人になるのが目標です。


「お父さま。わたし、料理修行の旅に出たい」

 10才になったら、旅に出ると決めていました!


「ふ~ん。行きたければ、行けば?」

 お父さまはあっさり返事を出します。

 よし! お父さまの了解が取れました。お母さまはお父さまに反対しないので、そっちも大丈夫です。

「むしろ、オレも行きたい」と言って、おばあさまに睨まれました。


「どこに行くの?」

 一番上の姉さまが聞いてきます。新婚のお姉さまは隣の領地から来た旦那さまであるお義兄さまとイチャイチャして目の毒です。


 一か所じゃなく、色んな場所に行ってみたい。でも、最初の目標はどこが良いだろう。

「う~ん。海とか行ってみたい」

 近くに海がないので話に聞いたことはありますが、まだ見たことはありません。

 海の幸を求めるのも良いかも知れない。この地にも多少入って来るけれど、やっぱり新鮮なものは現地で食べてみたい。


「ひとりで行くわけじゃないでしょ?」

「お母様に頼んで、一緒に行く人を出してもらおうか?」

 お義兄さまがそう提案してきます。彼の出身地の衛兵は屈強で知られています。

 しかし、近年あまりにも平和すぎて、その力をふるう場がありません。そこで、商人の護衛などに訓練を兼ねて貸し出しているらしいです。ぶっちゃけ、この制度になってから襲われたことは1度もないそうですけど。

「う~ん。それも良いけど・・・」

 けれど、その制度は短期間なものです。

 色々なところに行きたいし、年単位でずっと拘束する訳にはいきません。


「ウチのメイドを一人連れて行けばいいさね。子供の一人歩きは危ないからね」

 おばあさまがあるメイドを推薦します、というか、押し付けてきます。


 荷物持ち兼護衛として駄目メイドが付いてくることになりました。料理も出来ない。掃除・洗濯の腕もイマイチ。

 まあ、それでも護身術で巷のゴロツキ位なら圧倒できるくらいの戦闘力はあるらしいです。

 もしかして、使えないメイドの態の良い厄介払いじゃないのかな。


 お父さまはヘルメットをくれました。それをかぶり、マイ包丁を腰に差し、準備完了です。小さな背負い袋に各種調味料も揃え、野営調理もOKです。


 出発の日、ちぃ姉さまが袋に入ったお小遣いをくれました。

 さすが、ちぃ姉さま。

「これ買ってくる」

 ・・・お買い物リストとそのお金でした。



 各地を巡り、様々な食材に出会います。これは、と思う食材は定期的に購入することにし、実家にも送ります。また、その郷土料理を覚え、そのレシピも合わせてお父さまに送ると、料理をさらに美味しく改良してくれます。


 数年の料理修行の旅を終え、お父さまの元で更に研鑽を積みます。

 長じて、自分の店を構えるに至りました。皆さん「美味しい」「旨い」と言ってくれますが、まだまだお父さまを越えることはできていません。

 お父さまはわたしが知る限り、最高の料理人です。





 かつて、近代料理の基礎を築いた伝説の女性料理人がいた。彼女の出自は謎とされているが、ある土地の特産品を多く使った料理レシピが多く残っていることから、そこの出身と目されている。

 彼女の登場とほぼ時を同じくして王都で新たな料理が流行り始めた。それも彼女が流行の火付け役とも言われているが、定かではない。しかし、様々なレシピを残し、現状流布してる料理の3分の1は彼女が考案したものと言われている。

 今日こんにちでも彼女は料理人の最高峰とされ、彼女を越える料理人は出ることはないだろうと言われている。




何処かの三姉妹はこんな性格イメージ


 長女:頭がお花畑のお嬢様

 次女:面倒くさがりで無表情な会計係

(小さい姉さまだから妹は「ちぃ姉さま」と呼んでいる)

 三女:好奇心旺盛な料理人


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