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となりの領主ちゃん


 あの失礼な元婚約者殿との破談の後、暫くしてお父様は新しい結婚相手を見つけてきてくれました。

 なんとか、行遅れにならずにすみ、内心ほっとしています。


 彼は少々武に傾倒していて、智の方は御座なりです。が、お父様の知り合いで年の近い良い方が他にいないので仕方ないかもしれません。

 彼とは剣の話は合いますが、それ以外はそれ以外は駄目かも・・・。

 けど、一応将来の軍部幹部候補の一人で出世頭でもあるらしい。



 嫁いだのは何の因果か、元婚約者殿の隣の領地です。

 王都に常駐している夫の代わりに見事治めて見せるわよ!


 あの『元』婚約者殿の領地なんか目じゃない程素晴らしい領地にして見せるわ!

 今に見ていなさい! 『元』婚約者殿!

 貴方なんか足元におよばないくらい発展させてやるんだから!


 この領地は王都から隣国へ抜けるルートの中継地点として発展した土地です。

 しかし、お父様の代で起った紛争で生まれたゲリラ勢力が収まった後、盗賊として散ってしまったのです。それが流れてここの街道を根城にしているらしいです。


 まず、手始めにこれを解決して差し上げましょう。ここでの初仕事です。


 街の衛兵たちを率いて早速、討伐に向かいましょう。

「奥さま自ら行かれるなんて・・・」

 元から領地に勤めていた者が引き止めますが、問題ありません。

「これでも、剣には些か自信があります。少なくとも、自分の身は守れますし、足手まといにならないはずです」


 盗賊何するものぞ! 例え、数が多くとも、こちらは正規軍。盗賊崩れには引けを取らない・・・と思っていました。

 が、苦戦しました。わたくし自ら先頭に立ち、なんとか追い払う事が出来ました。しかし、撲滅には程遠い成果です。


 こちらの兵は実家の領地の新兵と似たり寄ったりの錬度でした。軟弱な衛士たちですわね。これがお父様の指揮の元でしたら鉄拳制裁の上、屋敷の周りを10周させられるところですわよ。


 ーーこれは鍛え直さないと。


 次は領地の経営状況の確認です。

 治安の維持は必要最低限・・・やる気はあるのかしら?

 商業復興に力を入れている? 何をやっているの?

 えっ、そんなのやって当り前ですわよ。 何故、それ以上を目指さないの?


 ーー衛兵だけでなく、文官も鍛え直さないといけないの?




 長年連れ添うと、彼の良い所も見つかり、二人の息子に恵まれました。長男は夫の隠居した後を継ぎ、次男は婿へ行きました。次男の行先を思うと心配ですが結婚相手が好きで行ったのだから、親がとやかく言う事は無いでしょう。

 思い残すことはない、と言いたいところだけれど一つだけ心残りがあります。

 もう、恨んではいませんが、ついに隣の領地を見返すことが出来ませんでした。それだけが心残りです。




 ある領地が様々な改革を成し遂げ、話題に上るがその隣の領地も見劣りしない。

 著しい改革こそなかったものの、厳しくも公平かつ堅実な経営で、その領地も善政を敷いていたという。その原動力となったのは王都にいる夫の代わりに領主として手腕をふるった領主夫人だった。

 彼女が嫁いできた頃に蔓延っていた盗賊も、彼女が先頭に立ち討伐を行い数年で撲滅させている。その後は国有数の治安を誇り交易の中継地点として大いに賑わったと云う。

 彼女の代で収入の面も五割増しになったが、隣の領地の発展伸び率を抜けなかったことを恥として誇ることは一切なかったという。





 実際は領主ちゃんではなく、領主夫人ちゃんですが、実質統治しているのは彼女なのでこの題名としました。

 領主の領地は農業メインですが、彼女の領地は商業中心で栄えています。

 なお、彼女が街道を閉鎖するだけで領主の領地は経済的に干上がってしまう土地関係です。しかし、彼女は真面目なので私怨でそんなことはしません。

 本当に努力家で良い娘ですよ。尚、本物語のメインヒロインは当然おばちゃんです。



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