ある家令の話
旧版と一切変更してないのでスルーOK
「我が息子ながら覇気がない。あれではワシの代わりに領主は務まらんだろう。お前が領主代行をせよ」
前領主様より領主代行を命じられ5年の時が流れました。とある事故で前領主様が亡くなり、ご子息である現領主様が若くして跡継ぎとなりました。
それまでの領主様は部屋でごろごろして書物を読むか、時々農民に混じって泥遊びする
興味があるのは食べることくらいでした。ぶくぶく太り、武芸の練習もしない。なるほど前領主様が心配するのももっともだと思っていました。
しかしながら、それは間違いだと気づきました。以前より、書物を通し知識を深め、領民に混じり問題点を考えていたのでしょう。
後を継いだ途端、雌伏して時を待っていたように精力的に働き始めました。
公共事業として道路整備をするのを手始めとして、スラム対策として孤児を自ら引き取り、育て始めました。街から子供の物乞いやスリが無くなり、後年領内を支える優秀な人材へと。
税改革や特産品の開発にも着手し、そのどれもが目覚ましい成果を上げました。
けれども、これほどの実績を誇ることもなく常に領民のことを考えていました。
わたくしも年を取り、もうお仕えすることはできません。そろそろ前領主様の元へ参りますが、素晴らしい土産話が出来ます。
これからも草葉の陰から応援しています。領主様。