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領主を継いだので手駒を育ててみた


「たっぷり食って、さっさと育てよ」

 栄養たっぷりの促進料理を作り、ガキどもに食わせてやる。

「坊ちゃん。いきなりそんなに食べさせると逆効果ですよ」

「そうなのか?」

 ちっ、面倒な。オレとおばちゃんズだけでは手が回らない。他の仕事もあるし、5人は多すぎたか?

 服はオレの子供の頃に着ていてボロくなった古着を着せてやった。新しい服を買うなんて、これ以上金を掛けてやるもんか。



 ・・・それに、良く考えたら、優秀な手駒を育てるための手駒がいない。どっかに居ないか、良さそうなのが?


「おい、お前。暇か? 暇だろ?」

 兵士を捕まえ、一応予定を聞いてやる。

「今度は、何スか?」

「この間のガキどもの教育を任せてやる。喜べ。外に出たくないんだろ? ちょうど良いじゃないか」

「教育って何するんスか?」

「そりゃ、読み書き、計算は当然として、オレの代わりに仕事を任せられるように。・・・まあ、将来家令くらいできるように・・・」

「無理に決まってるっス」

「何だ・・・。使えない間抜けか・・・」

 見た目通りか。ガッカリだよ。

「子守り位ならできるだろ」


 ってことは、オレが形になるまで育てなければならないのか。

 はぁ~。

 後で楽するための投資だ。こいつらが育てば、次にさらってくるガキは任せられるはずだ。

 ビシビシいくぜ! さっさと覚えてオレを楽させてくれよ~。




 1ヶ月も経つと、子供特有の元気さを取り戻す。体もふっくらしてきて食事を手ずから食べさせる手間も掛からなくなった。

 となると、ガキがもう少し欲しいが、どこから調達してくるか?


 この国は建前上は奴隷制度は禁止だ。しかし、貧しい農村では端金で子供が売られていく。その先は他国で奴隷として使役されている事例も少なくない。

 そういうのを買い取っても良い。ぶっちゃけ王都の中の上の食堂一食分の値段と同額だ。

 買いあさってやるぜ!


「近々売られる予定のガキ知らない?」

 ここでも頼るのはおばちゃんネットワークだ。井戸端会議の噂に上がっていないだろうか。

「まあ、無い事も無いですが・・・」


 あるのか? 聞いておいて、何だが・・・ビックリだ。どこまで網羅しているんだ? おばちゃんネットワーク・・・



 通常は街の商人経由で子供を売るらしい。奴隷制度は禁止なので建前上は労働力の青田刈りだ。


 当該の家は歩いて二時間程度の農村の外れにあった。オレは馬に乗れるので20分程度かかった。

 おばちゃんの言っていた日に訪ねると、道路工事では見たことないオッサンが出てきた。腰が悪く、参加できなかったらしい。


 商人もいた。ガキは男の子で街で見かけるガキと拾って来た時のみなしごの中間くらいの体格だ。

 この商人と交渉を始めるところだったようだ。

「領主様。こんなあばら家に何の御用で?」

 商人がそう言うが、お前の家じゃないし、お前が言う事じゃないだろう? 何となく、気に入らん・・・が、用件が先だ。


「ガキを有料で引き取りに来た」

 商人を無視して、オッサンに声を掛ける。

「領主様? これは既に私がこれから引き取るところで・・・・」

 商人が五月蝿い。オレはこのオッサンと直接話しているんだ。

「ちなみに、いくら?」


 安っ!? そんな安くて良いの? 想定の半額だぞ。


「じゃ、この商人の提示した1割増しで買うぞ」

 オッサンに提案する。


「はあ? 何故領主様が子供を? いやそれより・・・。なら、私はそのさらに1割増しで」

「じゃ、そのさらに1割増しで・・・」


 ガツンと2倍とか言えば向こうも引き下がるかもしれないが、ちょっともったいない。どの位の値をつけるつもりだ?


 ちょっとづつ上がっていく値段にオッサンが待ったをかける。

「お待ちください。領主様にお売りします」

 商人が吃驚した顔をする。商人はこちらを恨めしそうな顔で睨みつける。そして、諦めて出ていく。

 おいおい。仮にも商人なら表情を隠すマネくらいしたらどうだ?


 だが、ラッキー。最終的に最初の二倍になったが、元が想定の半額だったから、予定額だ。

 

「遠く離れた土地で苦労する子供を偲ぶより、せめて目の届く場所にいてくれれば・・・」

 オッサンは自分の子供の頭を撫でる。

「ふ~ん。じゃ、通いでいいや」

 別に絶対、屋敷に住まわせなくちゃいけない訳でもない。部屋を用意するのも手間だし、昼間だけ来てくれればいい。

 いや、むしろ布団を用意する金が掛からないでお得だな。

 ちょっと通いに時間はかかるけれど許容範囲だろ。


 金を渡して、「じゃ、明日から来てくれれば良いから」と馬をとばして帰る。




 ーー数年経つと、ガキを拾ったり買い取ったりして屋敷が賑やかになる。


 洗脳し終わったガキは成長して、オレの仕事の直接の手伝いする者だけでなく、屋敷の下女、街の兵士、農業指導者。変わったところでは商人見習いになった者もいる。

 代わりに減った奴もいる。家令は加齢で亡くなった・・・のではなく、王都の連絡役が必要となるため今はあっちにいる。

 兵士は・・・下女の一人に手を出そうとしておばちゃんに追い出された。

 元々屋敷にいたおばちゃんは新たな下女を管理する立場へ。通いのおばちゃんは必要なくなったので今は来ていない。


 俺の息のかかった手駒でこの領地を支配してやるぜ!



 最近少し気になるのは、下女の一人。たまに睨まれている気がする。親類をどっかの貴族に殺されてここのスラムに流れてきた元孤児だ。

 ちなみ、スラムはもうない。元々数が少なかったところに、オレが来る度に強制移動させて働かせてたら、そのうち誰も住み着かなくなった。

 ま、それはともかく・・・あの下女はもしかして、貴族に恨みを持ってるのか? オレの洗脳がまだなのか?


 新作のデザートを喰らわせて洗脳強化してやるぜ!

 ・・・が、渡す前に逃げられた。

「気のせいですよ。坊ちゃん」と、おばちゃんは言うし、実害はない。

 まあ、良いか。



 ほぼ使わないのに新たな時間の単位の概念を入れると説明が面倒なので、今回は1日24時間制を採用しています。


 あと、領主は武芸が苦手でも馬くらいは乗れますよ。以前行った王都も馬で行きました。

 家令は若くないので馬車で移動です。


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