再会
「夢姫~。正門の所で、かっこいい男の子が、呼んでる~」
クラスの女の子が私を呼びに来た。
教室の窓の外を見ると、正門の所に昴さんが立っているのが見えた。
ハンサムだから、立ってるだけでも目立ってて、女の子達がキャーキャー大騒ぎ。
私は、帰りの支度をして外へ出ると、自転車を押しながら昴さんの所へ行った。
「待たせてごめんなさい」
私が昴さんの知り合いだと知って、私を知っている子達は、 ー夢姫の知り合い?彼氏?
と、いろいろ言っているのが聞こえる。
「俺も今、来たところだから。待ってるの正門じゃないほうがよかったかな?」
昴さんは、周りを気にしながら聞いてきた。
「ううん。大丈夫」
「足は、どう?……」
「保健室で、応急手当てしてもらったから、大丈夫です」
「じゃあ、行こうか。後ろに乗って」
昴さんは私の自転車を漕いで私は後ろに乗った。
「昴さん。ごめんなさい。行きも帰りも」
「明日も迎えに来ようか?」
「足が治るまで、バスにしようと思ってるから、大丈夫ですよ~」
これ以上、甘えるわけにはいかない。
「じゃあ、一緒のバスだね。宜しく」
そうだ、昴さんバス通学だったんだ。
足が治るまで、明日から毎日、昴さんに会えるのか~。
翌朝、バス停のベンチに座ってバスを待っていると、昴さんがやって来た。
「おはよう、え~と、夢姫ちゃん」
「おはようございます。昴さん。昨日は、ありがとうございました」
私はお礼を言う。
「足の具合はどう?」
「昨日とあまり……」
と、苦笑いした。
「昨日、遅刻してきたうえに、帰りはさっさと帰っちゃうと思ったら、この子が原因かぁ」
昴さんの後ろから、ひょっこりとこの間、一緒にいた女の子が顔を出した。
この間も思ったけど、近くで見るとますます美人~。
「昴ったら、いつの間に、この子と仲良くなったのよ?」
「つい最近……。あ、夢姫ちゃん紹介するよ。この子は、幼なじみの芹沢蘭。君と同じ高2だから、仲良くしてやって」
うそ~。年上かと思ってた。
「林原夢姫です。宜しく、蘭ちゃん」
私も挨拶した。
「今は、幼なじみだけど、そのうち昴の彼女になるから、宜しくね~」
蘭ちゃんが、昴さんの腕に自分の腕を絡ませた。
蘭ちゃんは彼女になる気、満々みたい。昴さんはその気がなさそうだけど。 バスが来て、私達はバスに乗り込むと、蘭ちゃんはさっさと昴さんの隣に座った。
昴さんは、
「夢姫ちゃん。今日、混んでるし。足、怪我しているんだからここ座って」
さっと自分が立ち上がった。
「でも、昴さんが……」
「俺は大丈夫だから。どうぞ」
やっぱり、昴さんっていい人~。
「……ありがとう」
わたしは、蘭ちゃんの横に座った。
「ねえ、夢姫ちゃん。昴は誰にでも優しいの。だから、勘違いしないでね」
蘭ちゃんが昴さんに聞こえないように、私の耳元で囁いた。
「……」
やっぱり、蘭ちゃんって性格悪い?……。
学校に到着すると、海人先輩が私の所にやって来た。
「林原、おはよう。木内とは話できた?」
「まだ……」
「今日は話せるといいな」
だいたい、先輩にも原因があるんだけど……。昨日は避けられたまま、全然話できなかったし、まさか今日も?
私の予想はあたった。授業中以外、亜衣に会えない。
「はぁ~。今日も、亜衣と話できなかったな」
私はボソッと独り言。
もうすぐ、帰りのホームルームが始まろうとしていた。
「夢姫。ちょっといい?」
今まで避けてた亜衣が、話かけてきた。
亜衣の後について屋上に行くと、
「夢姫、ごめん!!」
亜衣が謝ってきた。
「……亜衣、私の方こそごめん」
「ううん。私も気持ちの整理ができなくて、独りで考えてたら、夢姫のこと避けるようなことになっちゃったし……」
「亜衣……」
私は気まずい顔で、俯いた。
「今日、海人先輩に言われたの。夢姫と話してあげてって……。聞いたよ。お試しで1ヶ月付き合ってほしいって言われたんでしょ?」
先輩、亜衣に話したんだ……。
「夢姫、私ね。この2日間考えてたんだ……。先輩が、夢姫のこと好きだったのはショックだったけど……、夢姫も先輩も大切だし。2人の幸せが一番だから……、私のことは気にしないで先輩と付き合ってもいいよ」
亜衣の顔は、すっきりした笑顔になっていた。
「そりゃあ、先輩のことは、嫌いじゃないけど……」
夢に出てきた運命の人かどうか、わからないし、どうせ付き合うなら、その人とがいい。
亜衣には、夢の話を前に話したことがあったから、さっそくその話がでた。
「振られた私が言うのも何だけど……。前に言ってた運命の人かどうか気になるなら、付き合ってみて確かめてみたら?」
「……」
それしかないのかな……。「先輩、せっかくお試し期間くれてたんだし……。あ~あ、私が付き合いたい……」
亜衣は、羨ましそうな顔をした。
しばらく考えてから、
「……わかった。付き合ってみる」
亜衣の勢いに負けて、答えを出した。
海人先輩にも返事をしたら、凄く喜んでくた。
「じゃあ、来週の日曜日にデートしないか?映画のチケット貰ったところなんだ」
先輩が、私にチケットを見せた。
観たかった映画だ~。
1ヶ月、お試しとはいえ、やっぱり彼女になったんだし、先輩のこと知るためにもデートしたほうがいいかな……。
とりあえず、行くことに返事をした。
先輩とデートなんて、先輩の取り巻きの女の子達に知られたら、大変だ……。
「遅れる~!!」
私は遅刻しそうになって、慌てて走った。
あれから、随分、足の痛みが引いて、少し走れるようになったけど、念のためまだ、バス通学にしている。
「あまり、走るとまた怪我するよ」
振り向くと昴さんが、ニコニコしながら、立っていた。
「おはよう、昴さん!」
毎日、バス通学しているから、前より随分、昴さんとも仲良くなったんだ。
「あれ?蘭ちゃんは?」 蘭ちゃんが一緒にいないことに、気づいた。
「蘭は、風邪引いて休みなんだ。夢姫ちゃんと2人だけで話すの久し振りだね」
自転車で転んだ時以来だ。
いつも蘭ちゃんが一緒にいてなかなか2人だけで話す機会がなかった。
「足のほう随分、よくなったみたいだね」
「お陰様で。だから、そろそろ自転車通学にしようかなと思って……」
「そうなんだ……。朝、逢えなくなるの寂しくなるね」
昴さんに、そんなこと言ってもらえるなんて嬉しい。
私と昴さんが、バスに乗ると結構、お客さんがいっぱいで、ちょうど、2人分の席が空いていたので座るとすぐに、おばあちゃんが荷物を抱えて立っているのが見えた。
荷物、重そう……。
「おばあちゃん、ここどうぞ」
私は、さっと席を立って、おばあちゃんに席を譲った。
「ありがとうございます」
おばあちゃんは何度も頭を下げた。
「偉いね、夢姫ちゃん」
昴さんは感心しながら、私を見た。
「そんなことは……。この間、昴さんだって、怪我している私に席を譲ってくれたじゃないですか」
「そうだけど。なかなかできることじゃないと思うよ」
昴さんは、また感心している。
私は、照れた顔で昴さんを見た。
海人先輩とのデートの日がやって来た。映画館で待ち合わせして、2人で映画を観た。
「面白かったな」
先輩は、満足そうに言った。
「先輩、最後の方は寝てたじゃないですか~」
恋愛系の映画だったから、仕方ないけど、寝息をたてて、寝ている先輩の顔を思い浮かべながら、クスッと笑った。
私達は、映画館から出る。
「あれ?昴さん?」
出てから間もなく、昴さんと蘭ちゃんが、後から出て来るのが見えた。
「夢姫ちゃんも、同じ映画観てたんだ」
と、言った後チラッと海人先輩の方を見た。
「あれ?もしかして海人?俺だよ昴」
昴さんが、海人先輩に声をかけた。
「昴!?久し振り!!かっこよくなってるから、全然気づかなかった」
昴さんと海人先輩が、ガシッと抱きしめあった。
「昴。知り合い?」
蘭ちゃんが、きょとんとした顔をした。
「中学一緒だったんだ。部活も一緒だったし。海人はバスケまだ続けてるのか?」
「今はやってない。昴は?」
「俺は、まだやってる」
へぇ~。2人ともバスケやってたんだ……。でも、中学一緒なんて驚きもいいとこ。
「それより、林原と知り合いだったとは初耳」
「バスが一緒だったんだ」
「そう言えば、林原、足を怪我してしばらくバス通学だったな」
なるほどと、頷いてる。
「それより、昴。この子誰?彼女か?」
海人先輩が、ニヤニヤしながら蘭ちゃんを見た。
「あ、彼女……」
昴さんが何か言いかけた時、横にいた蘭ちゃんが、
「彼女で~す」
昴さんの腕に自分の腕を絡ませた。
「いつの間に、彼女できたんだよ~。俺も人のことは言えないけどさ」 海人先輩は、、2人をちゃかしながら言った。
「……なんだ、お前ら付き合ってたのか」
昴さんは、私達を見た。
「昴さん、海人先輩とは……」
1ヶ月だけお試しで付き合ってることを話そうとしたら、
「そうなんだ。最近付き合い始めたんだ。ね?」
海人先輩が、私の肩を抱いた。
先輩は、お試し期間で付き合っていると言うのが気まずみたい。
私も戸惑ったけど、とりあえず口裏を合わせた。
でも、昴さん。この間は蘭ちゃんのこと彼女じゃないって言ってたのに。今度は否定しなかったな……。
きっと蘭ちゃん、昴さんに告白して付き合い始めたんだね……。
チクンッ!!
……???
なんか、胸の奥がいたい。
私、昴さんのことが好きになってるんじゃ?
まさかね……。




