再会
ーよおくお聞き。夢姫は17才になったら、運命の人と巡り合って結婚するんだよ。
ーおばあちゃん。私、17才になったのにまだ、運命の人に会えないよ……。
ーもうすぐだよ。
ーもうすぐって、いつ?ね、おばあちゃん!!
その時、おばあちゃんが消えて、背がすらっとした、男の子が現れた。
でも、顔はよくわからない。
ーあなた誰?誰なの!?
と、叫んだけど、声にならない声で目を覚ました。
「また、あの夢か……」
私は、ため息をついた。
死んだおばあちゃんが、いつも言っていた、うちの家系の言い伝えがある。
17才になると、運命の人が夢の中に現れて、現実にその人と運命の出会いをするんだって。
実際、私のお姉ちゃんも、夢の中に現れた人と出会って、結婚した。
でも、私、林原夢姫は、いつも同じ夢を見るだけで、男の子が現れても、いつもよく顔がわからない。
だけど、今日の夢は一つだけ違う所があった……。おばあちゃんの言葉、『もうすぐ』って、言っていた。
本当にもうすぐなのかな……?
「遅れる~!!」
今日は、なぜか朝の夢が気になって、気がついたら、8時近い。 いつもは、自転車通学だけど今日は朝から雨なので、バス通学。
私は、傘をさしながらバス停まで、慌てて走る。
もう少しでバス停というところで、雨で足が滑って転びそうになった。
その時、誰かが走って来て私を抱きかかえてくれた。
「大丈夫?」
男の子が、私に声をかけた。
「は、はい……」
顔を上げると、歳は私より、1つか2つ上くらいの男の子が、心配そうな顔で私を見ていた。
名門校で有名な西高の制服を着ている……。 それによく見ると、きりっとした顔立ちでハンサムの男の子だった。
うわっ~。凄いハンサム~。
私は、ついつい見とれてしまった。
「ギリギリセーフだったね」
男の子がほっとした顔をした。
「あ、ありがとう……」
私がお礼を言った時、
「昴!!」
ロングヘアーの女の子がこっちに走って来た。
目がくりっとしていて、整った顔立ちの、美人さんだ。
「も~、昴ってば。待っててって言ったのに、先に行っちゃうんだから!!」
女の子は口を尖らせながら、男の子の腕に自分の腕を絡ませた。
制服を見るとこの子も西高みたい。
「ごめんごめん」
昴と呼ばれた男の子が、女の子の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「この子、誰?」
女の子は、私に気がついたのかチラッと私を見た。
「転びそうになってたから、助けてたところなんだ」
「ふ~ん」
女の子は、何か言いたそうな顔で、またチラッと見た。
美人なのに性格悪そう……。
「ほら、行くぞ蘭。君は、また転ばないようにな」
昴さんは、私に軽く手を上げると、2人はバス停の方に歩いて行った。
2人でいると、美男美女って感じで絵になる。
仲が良さそうだったし、2人とも恋人同士なのかな……。
「夢姫、おはよう」
学校に着くと友達の亜衣が、元気よく挨拶した。
「おはよう、亜衣」
私も、元気よく挨拶を返すと、
「おはよう。林原、木内」
亜衣の後ろから、坂上先輩がひょっこりと顔を出した。
「先輩おはようございます」
私たちは、先輩に挨拶する。
坂上海人先輩。優しくて、頼りになるから、女の子達からも人気の先輩で、亜衣の好きな人でもある。
「林原、この間言ってた本を持って来たから、貸してあげるよ」
先輩は、私に本を差し出した。
「ありがとうございます」
私は、先輩から本を受けとった。
先輩は、図書委員なんだ。
この間、私が探していた推理小説の本が図書室になくて、先輩に聞いたら、持ってる話になって貸してもらうことになった。
「いいな、夢姫。先輩から本借してもらって」
先輩に聞こえないように、亜衣が小さな声で呟いた。
「亜衣も何か本貸してもらったら?」
私は、亜衣にコソコソと耳元で言っう。
先輩のことになると、亜衣は内気になるんだよね。
「あ、あの。海人先輩、私も探してる本があって……」
「木内も?タイトルは?」
「ロミオとジュリエット」
「あ、それなら図書室にあると思うから、昼休みにでもおいで」
そう、先輩が言ったので亜衣はがっかり。
「おっと。そろそろ時間だ……。2人ともまた、あとでな」
先輩は、さっさと行ってしまった。
「亜衣、残念だったね。海人先輩から本借りれなくて……」
「うん……。でも、昼休みに図書室に行けば会えるから。夢姫、昼休み一緒に来て」
亜衣が、両手を合わせた。
「私、お邪魔じゃないかな?」
「ううん、先輩と2人きりだと、緊張しちゃって、なかなか話せないから、夢姫がいてくれると助かる」
仕方ない、一肌脱いであげますか。
昼休み、亜衣と2人で図書室に行ってみると、先輩がカウンターの所にいた。
でも、女の子達に囲まれていて近くに寄れるような状態じゃなかった。
「相変わらず、凄い人気だね……」
亜衣は、ため息をついた。
「今日はやめて、明日にしようか?」
私は、亜衣に言うと図書室から出ようとした時、
「ここは、図書室だから静かにしてくれないかな。本借りたい人も借りられないから、みんなまた、後でな」
海人先輩が、周りの女の子達に注意した。
「ごめん、海人。またねー」
すると、女の子達が次々と図書室から出て行った。
「は~。やっと落ち着いた。あ、林原と木内。来てくれたんだ?」
先輩はやっと気づいたのか、私達に声をかけた。
「はい、木内。探していた本」
先輩はそう言うと、カウンターの上に置いた。
「あ、ありがとうございます」
亜衣は、ドキドキしながら、本を受けとった。
「あ、そうだ。私、次の本借りてこよ」
私は、2人に気を利かせて、奥に歩いて行った。
亜衣、うまく話せればいいけど。
私も早く夢に出てくる運命の人と巡り合えばいいな……。
「夢姫、今日はありがとう。少し先輩と話すことができた」 帰り道、亜衣と2人でわいわいお喋り。
「先輩とどんな話したの?」
「いつも、どんな本を呼んでるかとかかな……」
「え、それだけ?」
私が聞くと、こくりと亜衣は頷いた。
うそ~。そりゃあ、話していた時間は5分くらいだったけど……。もう少し、いろんなこと話してると思ってた~。
「ごめん、夢姫。せっかく気をつかってもらったのに……。あまり話できなくて」
私の気持ちを察したのか、亜衣はすまなさそうに言った。
「次、また頑張れば大丈夫だよ。それに先輩モテるのに誰とも、付き合ってなうんでしょ?いっそのこと告白しちゃえば?」
と、かまをかけた。
「え!まだ無理……。告白するなんてばれたら、みんなに恨まれそうだし」
亜衣は、不安そうに首を振った。
それもそうか……。でも、告白してくる女の子いっぱいいるのに、どうして誰とも付き合わないんだろう。
ーその夜、また同じ夢を見た。
ーおばあちゃん。もうすぐ、運命の人に会えるって言ったけど、いつ?
私は聞いてみた。でも、おばあちゃんは、また、同じ言葉の繰り返しで、消えてしまったあとに、男の子が現れた。
今度は遠くから、何か言ってるみたいだけど、
何て言っているのか、聞きとれない。遠くだったけどでも、どこかで会ったことがあるような……?
そして、そんな夢が何日か続いた……。
「うわっ~。今日は暑いな~」
9月に入ったというのに、真夏のような暑さ。
私は、急いで学校まで自転車を漕いだ。
何て言っているのか、聞きとれない。遠くだったけどでも、どこかで会ったことがあるような……?
そして、そんな夢が何日か続いた……。
「うわっ~。今日は暑いな~」
9月に入ったというのに、真夏のような暑さ。
私は、急いで学校まで自転車を漕いだ。
思いっきり自転車を漕いだものだから、出合い頭で人にぶつかってしまった。
ガシャーン!!
私は、思いっきり自転車ごと倒れてしまった。
「いたたっ……」
私は、お尻をさすった。
「ごめん、大丈夫!?」
と、男の子の声がしたかと思うと、手を差し出された。
「はい……。私こそ急いでたものだから……、ごめんなさい」
手を貸してもらって、立ち上がった。
「あれ?君は……」
「……?」
私は、顔あげると男の子の顔を見た。
「あっ……」
そこには、この間の男の子。昴さんがいた。
「あ……。この間はありがとうございました。ごめんなさい!!それに、また迷惑かけちゃって……、怪我はないですか?」
私は慌てて、ぺこっと頭を下げて謝りながら聞いた。
「ごめん、俺のほうこそ急いでたものだから。でも、これでも運動神経はいいほうだから、この通りピンピンさ」
昴さんは、ガッツポーズをして見せた。
「よかった~」
私は、へなへなと座り込んだ。
「ほんと、ハプニングが多いね君は」
「あははっ……」
私は苦笑い。
「じゃあ、私はこれで」
お辞儀をすると自転車を起こして、押して歩き出した。
「痛っ……」
自転車で転んだ時、足を捻ったみたい。
「大丈夫か?」
昴さんが、私の方へ駆け寄って来ると、自分のハンカチを広げると私の足首に巻いて固定した。
すごく、手際がいい。
「ありがとう。えーと」
「まだ、名前言ってなかったね。昴、真鍋昴。高3です。あまり名字で呼ばれるの好きじゃないから、みんなには下の名前で呼んでもらってるんだ」
と、自己紹介をした。
私も自己紹介をする。
「す、昴さんは、こうゆうこと、上手なんですね」
「俺、医者志望なんだ」
昴さんは、ガッツポーズをして見せた。
「よかった~」 私は、へなへなと座り込んだ。
「ほんと、ハプニングが多いね君は」
「あははっ……」
私は苦笑い。
「じゃあ、私はこれで」
お辞儀をすると自転車を起こして、押して歩き出した。
「痛っ……」
自転車で転んだ時、足を捻ったみたい。
「大丈夫か?」
昴さんが、私の方へ駆け寄って来ると、自分のハンカチを広げると私の足首に巻いて固定した。
すごく、手際がいい。
「ありがとう。えーと」
「まだ、名前言ってなかったね。昴、真鍋昴。高3です。あまり名字で呼ばれるの好きじゃないから、みんなには下の名前で呼んでもらってるんだ」
と、自己紹介をした。
私も自己紹介をする。
「す、昴さんは、こうゆうこと、上手なんですね」
「俺、医者志望なんだ」
照れくさそうに、頭に手をやった。
だからか……。こんなハンサムな先生がいたら病院が好きになりそう。
昴さんが私の変わりに自転車を押した。
「その足じゃ無理だし。変わりに、俺が自転車で学校まで送くるよ。後ろに乗って」
「えっ!でも、昴さんが学校に遅刻しちゃいます」
「気にしなくていいから、それに俺にも責任あるし」 と、いうことで結局、送ってもらうことになった。
「ごめんなさい。会ったばかりの人にこんなこと……。それに、2人乗りしてたらこの間、一緒にいた彼女に怒られそう」
自転車の後ろに乗りながら、この間一緒にいた彼女の顔が思い浮かんだ。
「あの子は、幼なじみなだけで、彼女じゃないから。それに、彼女いないし」
ふ~ん。幼なじみだったのか~。
でも、昴さんは気がついてないみたいだけど、彼女は昴さんのことが好きだよ。絶対……。
「ありがとうございます。送ってくれて」
学校に到着すると、お礼を言う。
「よかったら、帰りも迎えに来るよ」
「そんな、迷惑かける訳には……」
「さっきも言ったけど、俺の責任でもあるから、今日だけそうさせて」
ハンサムなうえに、責任感が強くてなんていい人なの~。
お言葉に甘えて、帰りも迎えに来てもらうことになった。
「おはよー、夢姫。ちょっと、誰よ今の人?」
昴さんと別れた後、亜衣がニヤニヤしながら聞いてきたので、とりあえず、亜衣に説明をしておく。
「イケメンでお医者さん志望なんて、いいじゃない~。でも、海人先輩には負けるけど」
亜衣ののろけに私は、少し苦笑い。
「その後、先輩とはどう?進展あった?」
「進展って言っても、話す機会が増えただけかな……」
毎日のように亜衣に誘われて、一緒に先輩がいる図書室に行ってるんだよね。
「これも夢姫のお陰だよ。それで、今日も一緒に図書室行ってくれないかな?」
「いいけど……。そろそろ自分でも行ってみたら?」
先輩が注意してから先輩の周りに囲んでいたた女の子達が、図書室に集まらなくなって、話せる機会が多くなってきたから、さすがに、そろそろ私はお邪魔虫だと思うんだけど。
「夢姫。私、先生に呼ばれてるから、先に図書室行ってて」
昼休み、お弁当の時間が終わると、亜衣はいそいそと、職員室に行ってしまった。
私は仕方なく、先に図書室に行った。
「お、今日は珍しいね。林原、独りなんて。木内は?」
海人先輩が、優しく微笑んだ。
「亜衣、先生に呼ばれてて……。あとから、来ますよ」
先輩、亜衣のこと気にしてる?もしかすると、脈あり?
「先輩、私借りたい本があったんだけど……、タイトルは銀河鉄道の夜」
「それなら奥の方にあったかな」
海人先輩は、図書室の奥の方を指さした。
亜衣を待っている間、私は本を探すことに。 はじからはじまで、探して行くと上の方に、あった!
私は、思いっきり手を伸ばした。
背伸びしてとろうと思っても、捻った足が痛くて、なかなか届かない。
「ん~、あと少しなのに……」
小さな声で呟いた時、誰かが後ろから、本に手をやった。
「はい、どうぞ」
後ろを振り返ると、海人先輩が本を差し出した。
「ありがとう」
私は、本を受けとる。
「林原、足どうした?」
「あ、うん。ちょっと、自転車で転んじゃって……」
「大丈夫か?つらかったら、俺チャリだから、帰り送ってこうか?」
「大丈夫です。それより、亜衣が先輩と一緒に帰りたがっていましたよ」
私は、亜衣の代わりに代弁した。
「どうして、木内が?」
「それは……」
まだ、亜衣は告白してないのに、言うわけにはいかない。
「ごめんなさい。今日は先約があって……」
お辞儀をして、逃げるように、慌ててその場から離れようとした。
でも、足の痛みで、よろけてしまった。
「危ない!!」
先輩が後ろから、慌てて私を抱きかかえた。
はぁ~。なんで、私ってこう、そそっかしいの……。
「よかった~。転ばなくて」
先輩はほっと一息。
「あ、ありがとう」
「大丈夫か?保健室に行ったほうがいいんじゃないかな?俺、連れてくよ」
先輩は心配そうに、私を見た。
「自分で行けるから……、先輩は、図書委員の仕事があるし。それに、もうすぐ、亜衣も来ると思うし……」
「……」
海人先輩は何も言わずに、聞いていたけど、急に私を抱き締めた。
「……!!」
私は訳が分からず、呆然とした。
「さっきから、木内のこと気にしているみたいだけど、俺は林原のことが好きなんだ……」
「えっ!!」 またまた、呆然とする私に、海人先輩は、
「よかったら、俺と付き合ってくれないか?」
そう言った。
まさか、先輩が私を好きだったなんて……。
「でも、あ、亜衣が、先輩のことが好きって……」
私は言葉に詰まりかけた。
ガタッ!!
「……!!」
音がした方へ目をやると、亜衣が青ざめた顔で立っていた。 私は慌てて先輩から離れた。
「……木内、ごめん。俺、林原のことが好きなんだ」
「……」
動揺する亜衣に、先輩は言った。
「亜衣、ごめん。でも、私。先輩と、付き合うつもりないから……」
きっぱりと、言ってのけた。
「……もう、いいよ。私、先に教室戻ってるね」
亜衣は、いたたまれなくなって、図書室を出て行った。
「亜衣!!」
追いかけようととしたけど、先輩に腕を掴まれた。
「その足で追いかけたら、余計に悪化するだけだぜ」
「……」
「それに、俺と付き合う気がないのは、よくわかったけど、俺のこと嫌いかな?」
「嫌いって訳じゃ……。」
そりゃあ、先輩みたいな人が、彼氏だったらって思ったこともあった。
「じゃあさ。お試しで、1ヶ月だけ付き合ってみないか?付き合ってるうちに、気持ち変わるかも知れないし。それから、改めて返事くれないかな?」
海人先輩は、そう言ったけど、亜衣の気持ちを考えるとそう言う気分にはなれない。
「木内の事が心配なら、話合ってからでもいいから。考えといて」
海人先輩は、そう言ったけど、教室に戻ってから、亜衣と話しようと思っても、避けられてしまった……。




