第一話『 単語帳 』
ポケットにはあの金属球が入っていた。
「 ―――――――!!?? 」
いきなり金属球は光を発し、形状を変えた。
「 単語帳・・・・・? 」
それは紛れもない、紙でできた単語帳だった。
めくると、
『 Magic Word Book 』
と書いてある。
「 魔法の単語帳? 」
まためくる。
『 │Description(説明) 』
「 説明・・・・・? 」
ふと思って、そのページをちぎる。
すると、聴覚にノイズが入ったように、ジジッという音がしたあと、
『 あなたの名前を発言してください。 』
機械的な音声が聞こえてきた。
俺は、言われたとおり、発言した。
「 ・・・・・・・│佐倉 碧。 」
『 記録しました。
ではこの単語帳について、説明します。 』
『 この単語帳は【知識】です。
あなたが見たり聴いたりした【力】を自動的に記録していきます。
この単語帳はあなたに与えられた【力】なのです。
この力を与えられた人は、この町に住んでいる中学生・高校生全員です。 』
『 来月、この世界は大きく変わるでしょう。
それに備え、私【達】は地球に【力】を与えました。
近い未来に私【達】への影響を最小限に抑えるために。
これで説明を終わります。 』
と言って、その音は消えた。
この単語帳は、俺たちに与えられた【力】といった。
【力】が必要になる理由。それはわからない。
ただ、私たちへの影響を最小限に抑えるために。
と言っていた。
単語帳を見ると、『 │Description(説明) 』のカードをめくったあとにあるのは、『 │Floating(浮遊) 』
俺は眉をひそめる。
浮遊というのは、何かを浮かす。ということなのだろうか。
と考えていると、カードが増えた。 『 │Description(説明) 』のカードが戻っている。
「 不思議な単語帳だな。 」
俺は制服に着替え、学校へ向かった。
単語帳をポケットに入れて。