夜
私は、逃げていた。目の前の事柄から。やらなければならないこと、倒さなければならない相手。私は、全てのことから逃げていたのだ。逃げることは簡単だ。何もしなければいい。しらないフリをすればいい。しかし、それと向き合って戦うことは容易くはない。
誰だって、逃げたい。どうして、生きているのかも正直わからない。別に生きる意味を見つけるために私は生きているつもりはないけれど、少しくらいあっても良いような気がする。逃げることは、人生のうちに何度かあっても良いのだろうか。
私は、逃げると同時に走っていた。気がつけば、海に向かっていた。どうして、海に行ったのか。人間は海から生まれてきたとでも言うのか。生まれた場所に私は帰ったのか。
こんな重いことを考えるのは正直、わたしではない。いつでも、おっぱいのことを考える単なる変態で良い。なにが、生きることだ。変態は変態らしい考えをしよう。
そういえば、ひとつ気がついたことがある。私は、逃げる過程において走っていた。気がつくと、体が少し軽い気がする。ほんの一日走っていただけだが、思いのほか体の筋肉がついたような気がしたのだ。実は、逃げているつもりが体を鍛え再戦の準備をしていたようだった。我ながらがんばり屋さんである。むっちり。
もう、辺りは真っ暗であった。朝から逃げ出して、走り走り結局家の前に戻ってきた。帰るべき所は家なのだ。帰る場所があるということは素晴らしいものだと実感してしまった。
しかし、家に帰ってきたということは、奴と私は戦わなければならないということだ。あの因縁の相手と。
しかし、私は進化した。たった一日であったが昨日の自分とは比べ物にならないような筋肉を手に入れた。
しかし、私は勝てるのだろうか。奴に。私は、必死に勝つイメージをした。イメージトレーニングというのはとても大切である。不安を和らげるだけでなく、本番において体の動きに違いがでる。人間というのはある程度予測されたものに対してはスムーズに体が動く生き物らしい。
私は、マンションの入り口にある自動ロックの番号を押して、中に入っていた。
自分の部屋の前にたち、ドアノブを握った。
そして、ドアノブを回すと、重たい音をぎいぎいと響かせながらドアが開いた。少々私の住んでいるマンションは、築25年は突破しようとかというバブル期に建てられた産物であった。
「おかえりなさい」
私の同居人が出迎えてくれた。しかし、私にとっては奴との対峙が控えていた。こころなしか顔は強ばっていた。
「いる……のか」
私は、問うた。
「うん……奥に」
「わかった。今度は逃げないから。」
私は、意を決した。そして、靴を脱いで部屋へとあがり私は新聞紙を手に取った。新聞紙を手に取った瞬間、同居人は何かを言ったような気がしたのだが、時既に遅し。私の脳内は既に戦闘態勢となり、狂戦士として覚醒していた。
しかし、次の瞬間予想だにしない出来事が起こっていた。
「う、う、うわわわっわわわわわ!!!!」
私は、盛大な悲鳴と声にならないような叫びを繰り返しながら、靴を履いてまた逃げ出したのだった。
わたしは、改めてゆっくりと同居人の発した言葉を脳内再生した。
「ああ、言い忘れてた。ゴキブリだけど、なんか二匹に増えてたよ」
そんなことを言った気がした。
わたしは、二匹のゴキブリが羽を羽ばたかせ私に向かって飛んできたその目の前の光景に絶叫し、ふたたび夜の町へと走っていったのだった。
今度は……殺虫剤でも買ってこようかな
おしまい
なんか、逃げている自分を肯定したくて、こんな話を書いてみました。
やらないといけないことがあるんですよ。夏までに。
相手がゴキブリってオチでね。笑っちゃいますね。そんくらいで逃げるのかと笑。つか、海なんか行かないで、殺虫剤買ってこいよ。気がつくの遅いという。
若干の24みたいな感じですかね。朝昼晩。
また、気が向いたらなんか書こう。
失礼しました




