unknown
月代、いるか?
あれ、センパイどうしたんですかぁ?もうすぐ授業はじまるんじゃぁ〜?…ま、まさか宮崎教官のところへ!?
いんや、違うよ。そうしたいのは山々だけどな。今さっきの演習でちょっとばかし怪我していてな。それを診てもらうのを忘れてたんだよ。
あ、なるほど。どんなケガをぉ?
右手首を打たれた。多分、軽く骨にヒビが入っていると思う。
拝見しましょう。———さすがセンパイ、本当ですねぇ。でもセンパイ、いくらなんでもエネルギー量子の操作で血管からの出血を忘れるなんて異常ですよ。———はい、もう大丈夫ですよ。
―――ああ、ありがとう。さすがだな、こういうところはA級ライセンサーといったところか。
ええ!!伊達に【《ツインクル》】と言われていませんから!!
ああ、俺も何度か助けられたもんな。恐れいった。
えっへん!!———そういえば、1回生に異常に強い能力者が来たって、あれはセンパイなんですかぁ〜?
さあ?俺より強いやつはいるかもしれないから分からないな。
…一体どんな化物なんですかっ。センパイより強い能力者って。まぁ、いるとしたらAクラスですよねぇ〜。———あ、センパイもう少し話しても大丈夫ですかぁ〜?
あ?…まぁ、宮下先生には言ってるから少しくらいなら。
おかしな生徒がいるんですよぉ。
おかしな生徒?イチローのことか?
イチロー?ああ、伊集院くんね。そこまでおかしいとは思わないけど…。———すいません、これを見てくれますかぁ?
…これは、俺が能力査定の日に鎮圧した生徒じゃねぇか。———『意識不明』…?
あ、鎮圧した生徒ってセンパイだったんですかぁ。そうなんですっ。あの日、センパイが気絶させて以来、昏睡状態なんです。原因が分からないので、私手も足も出ないんですぅ。でも、センパイなら分かるかなとっ。
———『バイタルは正常、問題は脳波に異常あり』。脳幹の損傷は…。
目立った損傷はありません、もちろん真っ先に調べましたよぉ。…まぁ、あるとしたら中脳がぁ…。
中脳?ああ、《ベイズ・オーガン》の1つか。中脳がどうかしたのか?
なんか、円錐みたいな形になっているんですっ。
円錐…?
まぁ、能力者の脳なんて分からないことだらけなので、そこまでおかしなこととは言えないんですが…。でもこんな形を始めて見たのでぇ…。
———まさか…、おい。MRIのデータはあるか?
あ、はいこちらにぃ…。
———今すぐ本部に連絡しろ。
えっ?
だから今すぐ本部に連絡しろ。俺の名前を使えば紅条に話を通せるはずだ。
紅条?…紅条って、紅条緋妃ですか!?協会のトップじゃないですかっ!!
月代、これはお前が思っている以上に深刻なんだよ。
ちょ、ちょっとセンパイ事情を話してくださいよっ!!
お前、《ギアノーバル》っていう増強剤を知ってるか?
え、ええ。教科書にも出るくらいのものですからぁ。確か、【《最凶の薬》】ですよね?…まさか。
そのまさかなんだよ。俺が見せてもらったMRIのデータと酷似しているんだよ。
そ、そんなぁ…。
———まさか、既に使っているやつが出てくるなんてな…。
セ、センパイ、どこへ?
理事長と話してくる。後、治療法なんだが、俺の知り合いを後で呼ぶ。そいつに聞いてくれ。
は、はいっ。
全く…俺には安寧の日々はないのかな。
とりあえず、unknownだけは上げておきます。
これから「その11」に取り掛かります。
では、ご意見・ご感想・誤字脱字報告お待ちしてます。
《修正》2012/02/13 後書き追加。雪子のセリフを修正。
2012/02/13 くろりんさんのご指摘により、一部加筆修正。