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英雄に安寧の日々はない  作者: ハンス
プロローグ
1/30

全てが終わり、全てが始まる日。

 荒野。


 そうとしか言えない程荒んだ光景が少年の目に映る。


 ある者は大剣を相手に突き刺し息を絶え、またある者は祈りを捧げるかのように佇んでいる所を後ろからサーベルを刺され、その生命を終えていた。


 周囲を見回せる高台で座っている少年に、一人の少女が後ろから肩を置いた。


 「全て…終わったな…。」

 「ああ…。やっと…、全て…、…な。」


 《能力者(シビル)》。

 

 それは“不可能”を”可能”に変えてしまう存在。


 国家はその者たちを所有、研究した。


 そうして能力者が出現して約100年が経っていた。


 すると。


 とある能力者が国家に失望し、世界を変えようと仲間に呼びかけ、革命を起こそうとした。


 最初は小規模の小競り合いだったが、徐々に戦火は広がり、ついには一つの大陸を焼け野原にしてしまった。


 そしてついには全世界を巻き込んだ大戦となった。


 《能力者大戦(ラグナロク)》。


 しかし。


 2130年12月10日。


 ラグナロクが始まって15年後。


 そう例えられて過言ではない凄まじい大戦を、ある少年の手によってようやく幕を降ろされた。


 天乃川(あまのがわ)悠介(ゆうすけ)


 弱冠8歳にして世界で数少ない大国の軍と渡り合えるレベル10(絶対能力者)によって、悪夢は終わった。


 生まれ持った天賦の才と濃密な体験、そして大戦の終結を共に願い散っていった仲間たち。


 「早く戦争を終わらせたい。」


 失ったモノは多かった。


 しかし、戦争は終わった。


 終わったのだ。


 悲しみと嬉しさが入り交じった気持ちを抱えている少年に、また手負いながら数人の女が背後に着地しました。


 「…ユウスケ、これからどうするの?」

 「そうだな…。」

 「悠は誰よりも頑張った、だからこれからは私たちに任せて好きなことをして欲しい。」

 「…俺、学校に行きたい。」

 「学校?なぜなのカナ?」

 「俺。まだ8歳だし…、それに…さ。」


 悠介は血で滲んだ写真に写った少女を見た。


 「責任…取りてぇんだ。」

 「…だが。それは貴様のせいではなかろう?」

 「分かってる。…だけどよ、あいつに死ぬ前に頼まれたんだ。」


 写真をそっと抱き、この写真の持ち主が消えていった海を見た。


 「神奈(かな)を幸せにしてくれ…ってさ。」



 ―――今から7年後。物語が始まる。


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