14話 海千山千沼にも千年の差
「やっぱり耄碌したか?あんたみたいな因業ババアに言うわけないだろ。」
「生意気な事を言ってるんじゃないよ。もうあたしが聞いしまったんだ。細かい事は分からなくても儲け話が何処にあるかは知られたのさ。このババアに相談に来た時点でお前の負けは決まりだよ。」
「はっ!お生憎様。クズ魔石が関係していると知っただけじゃあ金にはならないのさ。タイミングを逃して大損でもしてろ。」
「ほぅー、タイミングがある事なのかい。そりゃ良い事を聞いたねぇ。そうするとクズ魔石に新しい使い道でも見つかったかねぇ。」
「ッ!勝手に言ってろ。そんな曖昧なじょ『お前、都合が悪くなった時の誤魔化し方がいつも一緒だと言わなかったかい。』なっ!何言ってんだ。その手にのるかよ。」
「あのゴミに使い道があるとすると特別な販路でも見つけたかい?違う?・・・なら魔道具屋の嬢ちゃん絡みかねぇ?お前はいつも底が浅いんだよ。あたしがその気なら近隣のクズ魔石を買い占めちまう事だって出来るんだ。せっかく儲け話に一枚噛ませてやるんだから少しは誠意を見せな。」
言葉に詰まった時点で図星だと言っているような物だ。それにこのババアなら本当にクズ魔石を買い占めて嫌がらせをしかねない。それではアントニオの計画は何の意味もなくなってしまう。
「くそ!この業突くババアが。」
「はっ!ありがとよ。それで、喋るのかい?それとも諦めるかい。」
腹いせに罵って見ても、格付けが済んでしまっては歴戦の商人にはそよ風程度もダメージも与える事が出来なかった。
「ケルベロスに喰われちまえ!分かった教えてやるよ。だが俺の分を受け取ってからだ。一枚噛ませるなんて言ってあんたじゃ全部持っていかない保証はないからな。俺の儲けがないならこの話しは無しだ。」
「やっと商人の顔になったじゃないか。いいよ。お前の欲しいだけ集めてやるさ。」
アントニオはニヤリと笑う顔を殴りたくて仕方がなかったが、頭の中で銀貨を数えてなんとか耐えきる事に成功した。
その後、クズ魔石としては相場の三倍近い値段で買わされるに至り、何故殴らなかったのかとしばらく後悔する事になる。




