第三部
変態勇者と聖なる秘宝 第三部
股間の魔術師を倒し、魔王軍のアジトを突破したカイトと聖女エリナ。二人は人気のない森の中を歩いていた。
「まさか、聖女様まで変態だったとは…」
カイトはまだ、エリナの言葉が信じられない。
「ふふ、勇者様は驚かれましたか?でも、それは仕方のないことですわ。この秘宝の真の力は、変態性に宿るのですから…」
「でも、どうしてそんな力が…?」
「この秘宝は、かつて魔王に敗れた勇者が、己の変態性を昇華させて作ったものですの。魔王の絶対的な力を打ち破るためには、常識を遥かに超えた力が必要だったのです」
カイトは呆然としながら、手にした秘宝を眺めた。
「つまり…俺は、伝説の勇者の後継者ってことか?」
「そういうことになりますわね。…ところで勇者様、そろそろ何か試してみませんか?」
エリナが意味深な笑みを浮かべる。カイトは嫌な予感がした。
「何をだ?」
「もちろん、聖なる変態の秘宝の力をですわ!二人で協力すれば、新たなスキルが覚醒するかもしれません」
「え、二人で…?どうやって…?」
エリナは、カイトの耳元にそっと囁いた。
「…こうするんですわ」
スキル名:聖なるイチャイチャ(ホーリー・イチャイチャ)
「まさか、こんなスキルが…!」
カイトは驚きを隠せない。聖女エリナとの合体技で覚醒したスキルは、敵をイチャイチャさせることで戦意を喪失させるという、とんでもないものだった。
その時、二人の前に魔王軍四天王の一人、「絶対零度の氷使い」が現れた。
「ふっ、下品な勇者め。この俺が貴様らを凍らせてくれる!」
氷使いが手をかざすと、あたり一面が凍りつき、鋭い氷の槍が二人に向かって飛んできた。
「エリナ!今だ!」
「はい、勇者様!」
二人は固く手を取り合い、聖なるイチャイチャのスキルを発動した。すると、二人の周りにハート型のオーラが広がり、氷使いを包み込んだ。
「な、なんだこの力は…!」
氷使いは、ハートのオーラに包まれると、なぜか体が熱くなるのを感じた。そして、カイトとエリナがイチャイチャし始めた。
「勇者様、もう…!」
「エリナ、大丈夫だ!俺に任せてくれ…!」
二人が見つめ合い、甘い言葉を交わす度に、氷使いは悶絶し、全身から冷や汗が吹き出した。
「や、やめろ…!やめろぉぉぉぉ!俺は…俺は氷使いだぞぉぉぉ!」
氷使いは、自分が熱くなること、そしてイチャイチャを見せつけられることに耐えられず、ついに意識を失った。
「…ふぅ、どうにか勝てたな」
カイトは息を切らしながら言った。エリナは、彼の顔を見つめ、そっと唇を近づけた。
「勇者様、お疲れ様でした…」
二人の間に、甘い空気が流れる。カイトは、秘宝の力で覚醒したもう一つのスキルを思い出した。
* スキル名:聖なる唇
* 効果: 触れた相手の唇を、一瞬でとんでもない感触に変える。
「いや、待て!今はダメだ!」
カイトは必死にエリナの唇から顔を遠ざけた。
「どうしてですの、勇者様…?」
「…いや、その…」
カイトは、エリナの唇をじっと見つめ、思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「今ここで俺のスキルが暴走したら、とんでもないことになる…」
二人の旅は、まだ始まったばかりだった。