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第4章 見つけた者たち
月の裏側に現れた構造体は、1日ごとに姿を変えていった。
幾何学的に変形し、最後は“目”のような形をとった。
各国の調査団は騒ぎ始め、ピラミッドは立ち入り禁止になる。
だが、リナはもう後戻りできなかった。
彼の祈りが、彼女の中で目を覚ましていた。
「迎えが来たんだ」と、リナは呟いた。
その夜、石が静かに割れ、中から一枚の金属板が現れる。
それは、リナだけが読める言語で書かれていた。
「もしあなたがここに立ち会うのなら、あなたもまた、“帰還者”の一部なのだろう」
彼女は理解した。
これは「彼を迎えにくる話」ではなく、
「彼の祈りが、次の生命に受け継がれる話」なのだと。